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NIGHTMARE PROTOCOL《ナイトメア・プロトコル》  作者: α星人
なんか異世界に飛ばされた編
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4/14

戦闘開始! 再戦のスライム!?

 

 魔力を見つけてから三日が経過した。

 俺はこの三日間、魔力と回路を使って多くの事を試した。

 そして俺の目の前には粉々に砕かれた大岩だったものが落ちている。

 

「やばいなこれは……」


 魔力の感覚を覚えてからはとんとん拍子にことが進み、魔力コントロールを覚え、今では拳に魔力を込める事によって大岩ですら簡単に砕く事ができるようになった。


 いくらなんでもヤバすぎだろこれ……。

 しかし一つ残念なことは何度試してもファイヤボール的な魔法と呼べる魔法が使えなかったこと。外部に魔力を放出しようとしても全くダメだった。

 

 けどこれだけの膂力があれば、求めていたパワーには充分。少し調整したらすぐに異世界探索をできるな。


 さて、行きますか。


「新たな景色を見にな!」



 ☆ ☆ ★ ☆ ☆



 また一つ夜を超えて朝日が昇る時間。

 俺は少しの名残惜しさ感じながらも湖を後にした。


「さてと、探索再開だ。久しぶりの外の世界! 楽しみだな!!」


 今後の目標は二つある。

 一つ目は、このでかい森を抜ける事だ。どれだけかかるかはまだわからないが、とりあえず目標は1ヶ月以内だ。

 

 そして、二つ目は魔力を集める事だ。

 この世界で生きていくにはどうしても力がいる。問答無用で襲いかかってくるスライムさんみたいなのが沢山いるかもしれないからな。まぁ、今のところ見かけないが。

 

 本当は湖の修行をもっと長く続けて行くつもりだった。しかし俺の予想を大きく上回る早さでとんでもない力を手に入れてしまった。そして俺の中で修行よりも外を旅したいという、欲求が勝ってしまった。

 

 だが今のままだと正直言って、まずい。

 

 例えば俺の右拳に他の部位で使ってる魔力を集めれば岩を砕けるようになる。でもこれでは他の場所は弱くなってしまう、それじゃダメだろ。今の俺はただ瞬間的な火力を手に入れただけ。


 対抗策にはなるが、本当に強くなりたいなら魔力量を増やして全身を強化するしかない。


 今わかってる魔力を集める方法は一つだけ。

 とにかく動き回って光球とのエンカウントすること。でも、これはたぶん無理。ここはあまりにも広すぎる。


 だから俺は前にも考えはしたが、あまりやりたくなかった事を試すしかないのかもしれない。そう俺が試したいの事は、俺に襲いかかってくるモンスターを倒すことだ。

 

 よくない考えだが、ゲームみたいにスライムを倒したら何かを落とすかもしれない。そんな風に思ってしまうのはここが異世界だからか、いや単純に俺がやばいのか? 


 いや自分からスライムさんとかに襲いかかる事はしない。本末転倒だし。でも襲いかかってくるなら迎撃はする。できれば仲良くなりたいが。


 んー、まぁ深く考える必要はないか? 

 俺はただこの綺麗な異世界の探索を楽しむ。そして、あわよくば魔力を手に入れる、以上。


 そう考えると楽しい事しかないな! 


「やっぱり来てよかった! 異世界!!!」

「ポヨ?」

「ん? ポヨ……?」

「ポヨポヨッ!」

「こ、この音はまさか! ス、スライムさん!?」


 俺は、もはや懐かしすら感じる水音に後ろへ振り返った。


「フフッ、まさか俺に会いに来てくれたんです……え?」

「ボヨっ?」

「いや、お前誰だよ!?」


 そこにいたのはスライムさんとは違う、赤色のスライムだった。いや色違いとかいるんかい!! 別にいいけどさ! でもこんなに早くモンスターと出会うとか、ついて無さすぎる。いや違う……むしろチャンスだ! 再び訪れたんだ。


 前のスライムさんとはちがう。スライムレッドさんは、きっと俺の事をわかってくれる筈。


「は、はじめまして。いきなりなんだけど、できれば君と仲良くしたいんだ。ダメかな?」

「ブヨ」

「ハハッ面白いなスライムレッドさんは」

「ブヨォォォォォ!!!!」

「ですよね!?」


 一瞬で2本の異様に長い腕を持つ人形に変化し、叫びながら俺に向かってスライムレッドさん。めっちゃバケモンやん……。


 いや知ってたよ。

 友好的なモンスターじゃないのは最初から分かってたよ!? 二度目だしさぁ! でもやっぱ一人は寂しいやん!! チクショウ!!  


 あー、こうなったらとことんやってやるよ! 


「かかってこいヤァ!!」

「ボヨォ!!!!!!」


 うん! 声量では俺の負け☆。

 いや、そんな場合じゃないな。

 

 内心ふざけていた俺の顔面に高速で向かって来る赤く太くゴツイ拳。その拳の攻撃を俺はギリギリで回避した。


「あっっぶねぇ!!」


 クッソ、なんだよ今のは!? 腕が伸びた? しかも、後ろの樹木が木っ端微塵。 当たってたら大ダメージどころの騒ぎじゃねぇ、こんなの卑怯だろ、普通に!!!

 いやスライムなら伸びて当然なんだけどさ! でも生物としてはどうなんだよ!! 


 こんな異世界で

「そんなこと言っても仕方ないけど、な!!」


 次々と繰り出されるスライムの可変式連打をなんとか辛うじて躱す。てか、この腕一体どこまで伸びるんだよ。間合いが全く掴めない。不規則で攻撃パターンも読めない。未だに、攻撃を受けてないのは目を魔力強化してるおかげだな。

 

 このまま続けば俺の集中力が途切れるし魔力もやばそう。んでもって大きく傷を負えばほぼ強制的に回復力強化に魔力を持ってかれる。そしたら頼みの綱の魔力強化も使えないでゲームオーバーだ。


 つまり? 今の俺はかなりまずいってわけだな。


 どっかのタイミングで前に出なきゃ、俺の拳が届かない位置から一方的にヤられる。


 だったら足に魔力強化を使って一気に距離を詰めて……その後更に魔力を拳に移動して……いやダメだな魔力の移動は一瞬とはいえ時間がかかる。その一瞬で何が起こるかわからない。


 てか、躱しながら考えんのいくらなんでもキツすぎるか、集中力がもたない、意識が腕から逸れる。


 そんな時だった。

 遂に俺の頬にスライムレッド拳が掠り少量の血が流れる。


「痛ッ、やばいなこれ!!」


 次いで横薙ぎに一閃されたスライムの右腕を俺は地を這うように体勢を低くし、回避する。


 ヤバい! マジでヤバい!! 攻撃の速度が徐々に上がって、クソッ!!


「グッ!!!!」


 思考を許さないほどの速度。避けたはずのスライムの左腕が直角に曲がり俺の左腕に直撃し、宙に浮いた体は木に激突する。


「クッソ痛いな……」


 はぁ、舐めてたわけじゃないがここまで強いなんて予想外だ。スライムはただ伸びる手を振り回してるだけ。元いた場所から全く動いてないのにこれだ。


 もしかして、このスライムは、スライム中でもかなり強い個体なのか? 青スライムとは比べものにならないぐらい強い。あと全体的にキモくてやばい。


 だがそれよりも……もっとやばいのは攻撃を受けた左腕だ。これ確実は骨が逝ってる。もう使い物にならないかもな。死ぬほど痛いし……泣。

  

「はぁ……」

 

 絶望でため息しかでねぇ。

 いや本当にどうしたもんか。このままじゃすぐに魔力を回復持ってかれて、さらに状況が悪化する。

  

 吹き飛ばされたお陰でかなりの距離が取れた。いま全力で逃げれば生き残れる確率は五分は硬い。


 でも、すげー癪だよな。せっかく軽快な一歩を踏み出したところだってのにスライム一匹に尻尾巻いて逃げるってのは。


 俺がしたいのは、この異世界を楽しむ事だ。この先モンスターが出る度に逃げ回ってたらそんなもん夢のまた夢。話にならない。


 日和って前に出なかった。そしたら左手折られて このザマだ。

 

 だったら次は? 

 

 そんなもん決まってる。攻撃は最大の防御。こっからは俺のターンだ。

 

 さて、やる事は一つ。

 回復に魔力を持ってかれるまでの間。何を使ってもあの赤いスライムをボコボコにする。


 そうと決まれば……。

 俺はスライムに砕かれた木々たちの残骸の中から一本の手頃な枝を拾い上げる。 

  

 こんな土壇場だがやらせてもうぜ、身体以外の魔力強化。


「今日から俺はソードマスターだ」


 こっちは左腕壊れてんだ。ステゴロは卒業させてもらう。

 

 俺は、この棒切れ一本に命を賭けるんだ。


「待ってろよ、今ナタデココにしてやる」


 そうして俺は両手が動く最低限の魔力を残し、あとは全て足に移動させ、弾丸のように駆け出した。 


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