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ナイトメア・プロトコル!   作者: α星人
第二章 エルフの里とヤバい来訪者編
11/12

五話


「は……?」


 ありえない。

 こんなバカデカい木が目の前に来るまで気づかないなんて、絶対におかしいだろ。

 

 このデカさだぞ?? 見上げても見上げても天辺が見えない。幹の太さも普通の木の何十倍? いや百倍くらいある。そこら辺の落ち葉でさえ俺の事を軽く潰せるデカさだ。


 なのに、さっきまでは何も見えなかった。


「これらは精霊の結界です」


 俺の疑問を察したのかベティさんが答えてくれる。


「精霊……?」


 1度ワードだけ出ていたが、精霊とは……? アニメとかではよく聞くが……この世界のはさっぱりだ。


「精霊とは自然──大地や木々が魔力を得る事によって昇華した。意志を持った魔力体のこと。私たち森人とは共存関係にあります」


 ベティさんが細かく説明してくれる。が、俺とベティさんが喋るたびに、後ろから突き刺さる殺意の視線のせいで一割も理解できない。


「精霊は神に近しい存在。知識が豊富で魔法が得意。この神木を守る結界も精霊たちの力によるものです」


「ほへぇ……」


 精霊ってすげぇ……! なんとか説明を噛み砕く。てかこのでかい木、神木って名前なのか……。


「ベティ様、そろそろ」


「そうですね、行きましょう」


 話を切り上げエアリスさんが徐に神木の幹に手を翳す。

 するとたちまち、陽翠色の魔法陣が展開される。


 光を放つ魔法陣。

 それも文字列や数式のような陣じゃない。


 七色の花のリースが百合と似た花の蕾を囲んでいる。


 そしてエアリスさんの魔力が流れ込んだ瞬間、陣は淡い光を放ち脈打った。


 すると中心の蕾が震えだし、一枚、また一枚と美しい花弁がほどけていく。


「おぉ……!」


 この世界に来て色々とあったし、見たりしたが、こんな綺麗な魔法陣があるなんて、美しすぎる!! 


 俺は、すかさず魔法陣の隅々まで脳内メモリに保存した。


 てか一体なんの魔法陣だ、これ。


「では、ベティ様。上で長老がお待ちです」


「えぇ行きますよ、刃」


「えっ!? 行くってここには、何も!」

 

 ベティさんが突然俺の手を引いて、そのまま魔法陣に触れた。


「眩しっ!!」


 魔法陣の光がみるみるうちに増していき、そのまま体が光に飲み込まれる。

 

 あまりの光の強さに耐え切れず、瞼を閉じる。  

 

 直後、足元が消えたような浮遊感、上下左右の感覚が無くなる。まるで空に放り出された気分だ。


 でもそれは一瞬のことすぐに感覚は戻った。だが少し違和感があった。まるで別の場所に立っているかのような。


「着きましたよ、刃」


 ベティさんの声に、瞼をあげる。


「これは……」

 

 森の香りは消え、代わりに乾いた紙の匂いが鼻腔を突いた。視界いっぱいに広がるのは、数えきれないほどの本。


 見上げるほど積み重なる本の塔の下で、銀髪のエルフが頁を捲る音を響かせていた。

 

 彼は本からゆっくりと顔を上げ、こちらを見た。


「ようこそ、異邦の旅人よ」


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