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2品目 親子丼

「お腹空いたよ、穂積くん。」


 日もすっかり落ちた夕飯時。今日も当然のようにオレの家にいる田部さん。

 会社帰りの田部さんはテレビを観てくつろぎながら話しかけてくる。


「晩御飯、何にするの?」

「今日も食べていかれるんですね。今夜は親子丼です。」

「え? 親子丼!? 食べたい!食べたい!」


 メニューを聞いた田部さんの顔にパッと花が咲いたような満開の笑顔になる。


 親子丼とは言ったものの、我が家の冷蔵庫に生の鶏肉はない。あるのは業務用スーパーで買ってきたチキンナゲットだ。


 一人暮らしにはスーパーで売ってる鶏肉のパックは大きすぎる。日持ちさせる事を考えると、チキンナゲットのような加工食品は使いやすい。必要な分だけ使用できるので、オレの冷蔵庫のレギュラーになっている。


 今夜はそれを使って親子丼にしよう。


「チキンナゲットを使った親子丼ですが良いですか?」


「何それ、初めて聞いた。穂積くんが作ってくれたものなら何でも良いよ!」


 田部さんは屈託のない笑顔で答える。その言葉に、オレの心は温かくなった。

 オレはキッチンに向かい、調理し始める。


◇ ◆ ◇ ◆ ◇


 半玉分の玉ねぎを薄切りにする。食感を残したいなら繊維に沿って縦切り、柔らかく煮込んだのが好みな横切りにする。田部さんは縦切りが好みだ。


 卵2個分の溶き卵を用意する。白身は切るように溶いておく。あまり溶きすぎないように気をつける。


 フライパンに水1カップ、砂糖小さじ2、醤油大さじ2、みりん大さじ1、顆粒だしを好みで入れる。


 先に薄切りにした玉ねぎを入れて中火で3分、玉ねぎが透き通り、火が通ってきたらチキンナゲットを8個を入れる。


 ひと煮立ちして甘辛い香りが立ち昇ってきたら溶き卵を三分の二ほど回し入れる。


 卵が少し半熟になったら火を止めて残った卵をかけて蓋をする。


 余熱で卵がトロリなるのを待っている間にご飯を用意する。炊飯器には艷やかに炊き上がっている炊きたてのご飯がある。


 丼にご飯が準備できたら、なるべく卵を崩さないように盛り付ける。

 具材を盛り付けたら、最後に青のりを一振り。これで香りも見た目も鮮やかな親子丼の完成だ。


「美味しそうな香りー! もう出来たの?」


「ちょうど出来ましたよ。アツアツのうちに食べましょう。」


 インスタントの味噌汁をケトルのお湯で溶き、出来立ての親子丼と一緒にリビングのテーブルに持っていく。横長のテーブルにはオレと田部さんの2人分が並んでいる。そこに隣り合わせで座る。


「じゃあ、食べましょうか。」

「そうね♪」


 そう言うとふたりは同じタイミングで手を合わせる。


「「いただきます」」


 お互いの顔を見て小さく笑い合った。


 丼に箸を入れると、ホカホカの煮汁が染み込んで湯気を上げるご飯と卵が持ち上がる。ナゲットの衣も適度に味を吸い美味しそうに色付いている。

 立ち昇る醤油とナゲットの香ばしい油の香りが先に鼻をくすぐり、食欲をさらに加速させる。それに我慢できずに大口開けて食べてしまう。


「穂積くん。慌てなくても大丈夫だよ。」


 少し笑って田部さんはオレの頬をそっと指で拭った。その瞬間、田部さんとの距離が近づいた事にドキッとする。


「ほっぺにご飯粒つけて、穂積くんかわいいっ!」


「可愛いなんて……」


 自分の事を可愛いなんて言われてしまい恥ずかしくなる。


『可愛いのは田部さんですよ』本当はそう言いたかった。

 笑顔で食べている姿を見ているだけにして、その言葉は喉の奥に引っ込めてしまった。

本日の材料


・チキンナゲット:8個

・玉ねぎ:中玉 半分

・卵:2個

・砂糖:小さじ2

・醤油:大さじ2

・みりん:大さじ1

・顆粒だし:適量

・水:1カップ

・青のり:数振り


チキンナゲットは煮込む前に解凍したものを入れてくださいませ

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― 新着の感想 ―
更新頻度が高いため文章に安定性があります。 今回も美味しそうです。(でも今回もちょっとジャンクね) 田部さんの手料理も見たくなる今日この頃でした⭐︎
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