同僚の面々の話③
「おはようございます。」
そう言ってオフィスに出勤してきたのは部下の山田くんだ。
「おはよう、山田くん。」
「おはようございます、課長。あれ、今日はなんだかうちのチーム寂しくないですか?」
山田くんは空いて人気のない席をみて聞いてきた。たしかに、5つデスクがあるうちの2席に人のいる気配がない。
「田部ちゃんが昨日交通事故に遭ったんだって。怪我は無いそうなんだけど帰宅が今朝になってしまうから休ませてほしいってさ。」
「そりゃ大変! 怪我が無いなら良かった。」
山田くんは大げさに見えるくらい驚いている。
「あとは穂積くんなんだけど……」
言い淀んでしまった私を不思議に思い山田くんが聞いてきた。
「なんかあったんですか?」
「いや、それが穂積くんは何ともないんだが…… 『とても大切な人が交通事故で怪我をしてしまって病院に迎えに行きたいんです』って理由でお休みなんだよ。」
私がここまで言って山田くんは察してくれたようだ。
「それってつまりは田部を迎えに行きたいって事ですよね。」
「そうだろうね。あのふたり仲良いと思ってたけど付き合ってたのか。」
「田部はそう言ったら否定してましたけどね。でも、明らかに両想いですよ。」
それを聞いて何だか嬉しくなる。部下のふたりが仲良くて付き合ってて……もしかしたらそのまま結婚まで……なんて話になったらスピーチ頼まれたりしちゃうのかな……と妄想が捗ってしまう。
「課長? 課長? 妄想が口からでちゃってますよ。」
「んっ!? すまん。」
妄想に浸り過ぎてしまったようだ。今はそんなことより、田部くんの快復を祈っておこう。




