裏メニュー 配膳準備
毎度お越しいただきありがとうございます
ここからのお話は、先の表メニューをより楽しんでいただけるよう揃えました裏メニューとなっております
表のそれぞれの料理を田部瑠笑側の視点から見たものです
お楽しみいただけること心より願っております
それではどうぞよろしくお願い致します
我が社に新入社員が入ってきた。3年ぶりの新人だった。
その新入社員の教育係を課長から任されたのは、私だった。
彼の名は、米田穂積。真面目な性格で仕事覚えが早く、先輩社員のウケも良かった。
彼が入社してあっという間に1年が経ち、彼の仕事も板についてきた。率先して成果を出してくる事も増えた。
積極的に仕事に向かう姿はこちらも刺激になる。私も一緒に頑張ろうとやる気になれた。
彼とは仕事終わりに呑みに行くようになり、そこでプライベートな事も聞くことが増えた。
聞くと、住んでるところは私の家の近所らしい。
そんなある日、私が彼の食事を奢っている事を気にしていたらしく「御礼がしたい」と言ってくれた。
「料理を作るので家呑みしませんか?」
その誘いにもちろん、二つ返事で了承して彼の家に招かれた。
彼の家で、用意してくれた料理を見て驚いた。見た目も美味しそうで、種類も何種類もあった。見た目に反せず、どれも絶品だった。私の好みを考えて作ってくれたとの事だった。
その心遣いがとても嬉しかった。さらに、彼が私の仕事ぶりを尊敬してるなんて言ってくれたりもしたら、意識せずにはいられなかった。
彼の真面目なところ、正直なところ、細やかな気遣い、いろいろなところが魅力的に見えていた。
ただ、会社の先輩と後輩である。
いきなり好意を向けられても迷惑なだけかもしれない。どうしたら良いのか、頭の中を考えがぐるぐる回る。
そう思っていると、彼は空いた皿に唐揚げを盛り付けて微笑んでくれるのだった。
いや、ホント、そんな事されたら好きになっちゃうじゃん?
それからしばらく彼の家にご飯を食べに押しかけるのだった。
そんなある日、帰宅のタイミングが合わなかったのか穂積くんのいない時に家に来てしまった。
すぐ来るだろうと思って待っていたら、そんなに待つことも無く彼が帰ってきた。
しかし、まだ暑い中で待たせてしまったのを心配してくれた。「喉渇いて無いですか」とか「体に熱こもってないですか?」とかだいぶ心配させてしまったようだ。
玄関先で待つくらいならと合鍵まで渡してくれた。彼がいなかったら部屋に入ってて良いそうだ。
『……え? これはどういう意味なんだろうか? 信頼してくれてるだけなんだろうか?』
これから追々、確認していこうと思う。




