[8]呪われた薬師と浄化の瞳
微グロ表現あり。本作読んでる時に忠告があるので分かりやすいかと思います
「んっ、ふぁ〜」
起き上がって欠伸をした
(昨日はご飯も食べずに寝ちゃった。それにこの本物凄く興味深い内容だったし、けどいつの間にか寝ちゃってた)
コンコン/
「はいっていいわ」
「失礼します。ソフィー様昨晩はご飯も食べずに寝ていた様でお腹は空いてませんか?」
グゥー
「、、、あ、」
「では直ぐに支度するように言ってきます。その間に顔を洗ったりなどこちらに用意しておりますので良ければお使いになってください」
「えぇ、ありがとう」
「それでは失礼します」
するとメイドは出ていってしまった
(そういえばお風呂にも入ってないな。お風呂借りれるか後で聞いてみようかな)
パシャパシャとぬるま湯で顔を洗う。
(お湯加減気持ちいいな。私が元いた国ではキンキンに冷えた水だったから尚更だわ)
タオルで顔を拭く。
(ん?これは……)
『肌がモチモチになる乾燥から守る肌バリア〜天使の肌に生まれ変わる〜』
(な、なにこれ……肌に塗るものなのかな?肌って書いてあるしでも勝手に使っていいのかな?)
私は気になって手の甲に少しつけてみるとツヤツヤとしてまるで生まれ変わったようになる
(凄いわ。私の国だと少なくともこんなもの無かった)
「ソフィー様」
「ひゃっ!ひゃいっ!」
「すみません。ノックさせてもらったのですがお返事がなかったもので勝手に開けさせてもらいました」
するとメイドの目が私の持つ物にうつる
「あの勝手に使ってすみません」
「違います!咎めている訳ではなくってこれ保湿剤っていってとっても良いんですよ。水とか使う私たちの手にも馴染んであかぎれとか出来にくいんです!それにお顔にも使うこともできるので是非使ってみてください!少し取り出すだけですーっと伸びるんです!全身に使えるってなんかいいですよね!」
私は言われた通りに少し手に取って顔につけてみた
「もちもちになってる……」
「凄いですよね!これは今トレンドですよ!貧民の方も買える価格で売っているんです!リード様はそれを知って私たちに定期的にくれるんですよ」
「リードは貴方たちを大切にしているのね」
「はいとっても。リード様には一生ついて行くつもりの所存です!」
「それはいいことね」
「はい!」
「「………」」
「あ!うっかり話し込んでしまってすみません!朝食をお持ちいたしました」
「ここで食べるの?」
「もしかして嫌ですか?」
「その、みんなで食卓を囲わないのかって」
「リード様は今朝早くから魔物討伐に出かけております。なのでおひとりでの朝食になってしまうんです。すみません」
「私ね、この国に来て初めてみんなと食事をするっていうことをしたの。それがなんだか胸が暖かくなるような感じがしてね。だからどうかなメイドさん達もって思ったの」
「そんな!!私達にはそんな食事を一緒にされるなんて」
「ダメなの?」
「ダメというか……その統括者様は国の象徴とされる方々なのです。ですからそんな凡人などと一緒に食事をするのは滅相もないというか」
「私はまだ統括者じゃないわ」
「ですが、時期統括者様になられる方ともなれば」
すると後ろから見知った姿が声をかける
「ララ、こんなことは滅多にない申し出ですよ。ソフィー様謹んでお受け致します」
ルシアがスカートを摘んでお辞儀をする
「メイド長が言うなら……」
「あの、私そんな強要みたいな形にしたい訳じゃなくって、ただみんなと食べられたらなと思ったの」
「それでしたら暇な者を呼んで食事に致しましょう。ソフィー様もそれで大丈夫ですか?」
「えぇ、大丈夫よ。ただ無理はしなくていいのよ私の我儘だもの」
「そしたら今すぐに準備をするのでその間にシャワーなど済ませてしまいましょうか」
「良かった。丁度お風呂入りたくって」
「ララそしたら皆に声をかけて準備をしてきてください。私はソフィー様の湯浴みの手伝いを致しますから」
「分かりました。メイド長それでは食事の時にお会いしましょうソフィー様」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
【浴室にて】
「あ、あの私ひとりで大丈夫、だから、、」
「私にお任せください!直ちに綺麗にして参りますので!」
(ぜ、全部見られてしまった……)
「お湯加減はどうですか?」
「平気よ。丁度いいわ、」
「そしたら髪を洗っていきますね。その間に腕などの筋肉をほぐす為に私の分身を幾つか用意します。個体差があるので気に入らない分身体がいたら仰ってくださいね」
「は、はい」
(な、なんかお貴族様の暮らししてるみたい……)
「ソフィー様何処か痒みなどはないですか?」
「大丈夫よ」
「では指のマッサージしていきますね」
「はい」
「う〜ん。魔力回復はしているけどちょっと魔力が荒れていますね」
「なら安定するお香を焚いてみましょうか」
「そうしましょう」
「健康状態はあまりいいとは言えませんね。体も細く癒えているとはいえ古傷まである。それにかなり痩せ型になっている。これで大きな魔力を有しているとかなりの負担でしょうに」
(隣で真剣に分析しないでください!)
「爪もついでに磨いちゃおうか!女の子は可愛くいかないと!」
「ツヤッツヤにしないとね!」
「魔族でこんなに綺麗な瞳をしたものを私は見たことがない。あのただ襲ってくるだけの馬鹿な魔物とは大違いなんだろうね!」
そしてなんやかんやあってお風呂からあがることができた
「体重が軽すぎる……」
「髪質が繊細で細い……栄養が足りてないのでは?!」
「う〜ん!爪綺麗になっていいね!」
「体にはこの保湿剤!」
「塗っていく〜!」
「でも胸の発育は良い……と」
(、、、なんか聞こえたような)
そしてなんやかんやで服に着替える事に
「これは新しいお洋服になります。着心地は保証します」
「素足だと冷えとかありますよね。タイツはどのデニールに」
「80は心配」
「保険かけて120にしましょう!」
「靴は戦闘したせいでボロボロになっちゃってるからこの靴で」
「靴擦れの心配は?」
「一流の職人にソフィー様専用に作ってもらった代物よ!」
「なら安心ね!」
「髪は少し切るとして……」
「後ろは切りそろえて少し梳こう」
「前髪もきちんとしてあげて」
「下ろしていると何かあった時面倒ですよね」
「2つ結びとっても似合うと思うわ」
「切れにくいゴムで結ってあげましょう」
「そしたら軽くお化粧してあげて」
「血色良く」
「頬にチークを少し」
「唇はリップで十分ですね」
「完成よ!これは私達の成功の賜物ね」
「写真撮ろ〜!」
「可愛く〜。ほら笑顔笑顔」
パシャ
「うんうん!いい感じ!」
「いい感じになったし戻ろうか〜」
「久々にいい仕事した〜!」
次々にルシアの影に分身体が姿を消していった
「どうですかソフィー様」
「こんな事までしてもらって私、」
「似合っていますよ」
ニコっとルシアが微笑みかけてくれる
鏡に映る私はとても綺麗だと思った
コンコン/
「準備が出来たみたいです。では行きましょうか」
「う、うん」
私はルシアとララと共に大広間へ向かう
「この屋敷で1番大きな部屋なんです。それにテーブルを沢山並べてみんなで食べれるように急いで準備しました。それに使用人達はみんな喜んで引き受けてくれたんです。ソフィー様と食べれるってみんな息巻いてましたよ」
「迷惑をかけてなかったら良いのだけれど……私もみんなと食べれて嬉しいわ」
「迷惑だなんてそんな事ないですよ!」
「そもそも私達と共に食事をして下さるなんてそれこそ光栄な事なのですから」
ルシアは微笑んでそう言ってくれた
「ここが大広間の部屋のドアになります。開けますね」
キィィ
広い部屋にはテーブルが並べられ食事が置かれている
そして皆が笑顔で食卓の準備を終えて各々話などをしたりしていた
「皆さん。今日は時期統括者様になられるソフィー様と食事できることを光栄に思うと共に楽しい時間を作りましょう」
ルシアの言葉に拍手がおきる
「ソフィー様一言言ってはいかがでしょうか?」
「もちろんよ」
私は1歩前に出て話し始める
「皆さん。私の急な申し出にも関わらず準備をしてくれてありがとうございます。私もこの食事を通して皆さんと仲良くなれたらなと思っています。そしてここで過ごす2週間の間お世話になります」
スカートを持ち頭を下げると大きな拍手がおきる
「そしたら皆さん席に着いてください。ソフィー様の合図で皆で頂きましょう」
「ソフィー様こちらです」
椅子をひいてくれるララに感謝をすると「えへへ」と嬉しそうに笑って席に着いた
「皆が席に着いたので、ソフィー様お願いします」
こくりと頷く
「頂きます」
「「「「頂きます」」」」
皆が各々と食べそして話す姿に私は胸が高鳴るのを感じた
「ソフィー様がリード様の………」
「確かにそれもありですね」
「こんな美しい方がいてくれたら毎日頑張れちゃいますね」
「貴方達、ソフィー様がいる前で何を仰るのです?少しは慎むことですよ」
「はい。メイド長」
「なんの話?」
「恥ずかしながらの話。私達の主リード様の花嫁にとメイド達が話していたのですが、姿を見てより一層花嫁候補に名をあげているのです」
「わ、私がそんな、務まるわけないわ」
「ご謙遜なさらずにソフィー様。貴方様の実力はかなりのものですから。それにリード様が女性に対して友好的な事はほとんどないのです」
「リード様は女性に興味がないのでしょうか?」
「あの方のことですから女性よりも戦う方がお好きなのでしょう」
「戦闘狂なのは相変わらずなのですね」
メイド達の中で笑いの渦がおきる
そんな中で話をしながら食べていると大広間のドアが開いた
皆が注目するなか屋敷の主リードがそこにはいた
「皆居ないとおもったらここにいたのか」
リードは空いている椅子を転送魔法で引き寄せてから少し遠くに座り足を組んで私たちの方を見る
「リード様お帰りになられるのだったら一報を入れてくれさえすればお出迎えにあがったというのに」
「そんなことはいい。なんでソフィーと食事をして俺とはしてくれないんだ?」
「え?」
皆が同様する
「俺はひとりでいつも食べてるのにソフィーとだけは仲良く食卓を囲うんだな」
そっぽを向いてしまった
「リード様……」
ルシアが駆け寄ってリードをぎゅっとする
「可愛いです主!私達と食事したかったんですか?可愛すぎます!!」
「やめろ!」
「てっきり私達はリード様から倦厭されているのかと」
「そんな事はない!俺だって、」
「言葉にしなくともこの場にいる者共は伝わっております!」
周りをみると涙ぐむものから滝のように涙を流す者までいた
わたしは椅子から立ち上がるとリードに近寄る
「リードも一緒に食べよ?」
「今すぐ主様の分も用意しますね!」
ルシアは勢いよく部屋を出ていった
「リード様が私たちと食事をしたかったなんて……!」
「この生涯に一遍の悔いなし…!」
「成長されたんですね!」
「なんか変な伝わり方してるな、まぁいいか」
(良くないと思いますけど……)
「ソフィーこっち来い」
手をちょいちょいと手招かれる
「?」
「宝石貸して」
「はい」
私は宝石を服から取ってリードに手渡した
「……簡単に大切な物を渡したりするなよ」
「ご、ごめんなさい」
「まぁ、盗ろうとか思ってないから安心しろ」
と言いつつ宝石の裏に何かをはめてからリボンを付けた
「これで安心だろ?ループタイだっけそんな感じ。ソフィーここ座って」
「え、あ、ど、どういう?」
「全く」
クイッと手を引かれてリードの膝の上に座らせられる
「あの、わ、私」
「大人しくしろ。付けらんないだろ」
(こんな人が大勢いる場所で、、、)
「よし。付け終わった………うん、こっちの方がいいな。それに髪とか爪綺麗にしたんだな似合ってる」
「ありがとうございます……」
リードはじーっとこちらを見つめてから口を開いた
「にしてもだ、軽すぎる。貧民の人でもこんな軽くないのに」
「食事はちゃんと取ってるよ」
「それじゃなきゃこちらが困る」
「そんなに軽い?」
「俺からすれば赤子も同然」
(赤子宣言された!)
「そういうリード様も軽いですよね」
1人のメイドが笑っていう
「は?!いつの話してんだ!」
「多分私リード様のこと抱っこ出来ますよ。メイドでも体力が付くんですから!」
「リード様はほとんど食べませんもんね」
「嫌いなものはなくても少し食べればいいと勝手な論文を作ろうとする始末で」
「一応リード様も私たちと同じなんですからね」
バンッ!!
「主!食事を持ってきました!」
リードはソフィーを持ち上げてから降ろす
「主の膝の上……」
「ルシアは重いからダメ」
「重くないです!平均です!」
「はいはい。食事するぞ〜」
リードの席を作るとまた皆で食べるのを再開した
(ほんとにリードの食事の量少ないな)
すると宝石が光ウエルが姿を表した
「ふぁあ〜、なんじゃ?人が多いのう」
「おはよう。ウエル今は皆で朝ごはん食べてるの」
「そうなのか」
そう言うとウエルは私の腕を伝い首に巻き付く
「美味しそうなスープじゃな」
「食べてみる?はい」
スプーンですくってあげる。
「美味しいのう!」
嬉しそうに尾を振る
「でしたら後ほどウエル様の分もお部屋に持っていきましょうか。ウエル様程なら支障はありません」
「良いのか?ならばもらうとしよう」
「良かったね」
そして食べ終わった者は各々片付けをしていった
(私食べるの遅い……?)
すると察したようにリードが話す
「ゆっくりで良い。彼らは仕事があるからゆっくりしている暇があまりないでもこの時間だけは少なくとも休めたんじゃないか?」
「そうだといいけど」
「ソフィー様は1口が小さくて可愛いですね。それにちんまりとした感じとかあとはお人形さんみたいな白い肌に綺麗な赤い瞳」
「皆はこの瞳が綺麗と言うけれどわたしは一応魔族だし、両親達にはこの目はよく嫌われてたから、その、」
「魔族だろうと関係ないですよ!私その瞳すっごく好きです。綺麗だし宝石みたいで大好きですよ」
「そしたらララ」
「は、はい!なんでしょうか!」
「ソフィーが屋敷にいる間はソフィーの面倒を頼む」
「良いんですか?!私尽力致します!」
「よろしくお願いしますね!ソフィー様」
「えぇ、こちらこそ」
笑って言うとララはそれ以上の笑顔で返してきた
「するとこれからの予定は?」
「食後に動くのは良くないから終わったあと30分後に俺の部屋に来るといい。その間に面倒な書類とか終わらしておく」
「分かりました」
「じゃあ、また」
使用人達は一斉に頭を下げてリードが部屋を出るといそいそと片付け始める
私は急いで胃に詰めて「ご馳走様でした」という
「あ、食べ終わりましたか?そしたらこちらをお飲みください」
「これは?」
「先程メイド長がソフィー様を身体検査した時に魔力の不安定さを薬師についでに相談に行ったんです。それがこの薬です」
「、、、毒々しい見た目をしているわね」
「『良薬は口に苦し』ですよ。ソフィーさま」
「ウエル口開けて」
「ダメじゃ。これはきちんと本人が飲まないといけないのじゃ」
「……1口じゃd」
「ダメですね」
禍々しい色をした薬をソフィーはじっと見つめると匂いを嗅いでみた
「っ!これ飲んだら私この世とバイバイしちゃうわ!」
「大丈夫ですよ!多分?」
すると後ろからリードが現れる
「どうかされたんですか?リード様」
「すまん。ここに書類を置きっぱなしにしてたから戻ってきたんだ」
「そうだったんですね」
書類を取ってからこちらに近づき私がもつカップの中を見る
「ゲッ、なんだこれ」
「魔力を安定させる薬らしいです」
確認したあと私の手からスっと取り上げて一気に飲み干してしまった
「まっず」
カップをテーブルに置く
「これ作ったのは?」
「別棟にいる薬師様が作られたと」
「これは魔力なんて安定させる薬じゃない。普通にあいつの嫌がらせだ。いや、それ以上か仕事をする前に一発食らわせるしかない。しかもこれ魔族が飲めば死ぬやつだ」
「っ!……そ、んな」
「そんなものを私は飲ませようとしてしまったのですか…ごめんなさい!ソフィー様。私の首だけで足りるでしょうか」
「首だなんて」
「作った本人を問いただす。それに殺人未遂でもあるわけだから首繋いで待ってろよ」
「作り方間違えちゃっただけなんじゃ、、」
「あいつは優秀な薬師だ。間違いなんて起こすはずがない。それにソフィーに毒ならウエルが気付くはずなのにそれがなかった何かしらの魔法で上書きでもしたんだろう」
リードの顔が険しくなる
周りの空気がとても重くなる
「すまないがソフィー、一緒にきてもらえるか?もちろん安全は保証する」
「私が何故殺されかけたのか知りたいから着いていくよ」
「お灸を据えるのならば我も同席しよう。可愛いソフィーにそんなことをするとは怒りが収まらぬ」
「そしたらこの薬を飲むといい。胃が痛くならないようにする薬だ。これは毒でもないから安心しろ」
私は受け取るとそれを飲んだ
少し特殊な味がしたがそれ以外はほとんど何もない
「特殊な味がするだろ?」
「うん。なんていうのかな……変な味というより特殊な味って表す方が分かりやすいというか」
「そうだな」とリードは言ってから私の手を取った
「ララ、ルシアにこの事を伝えて他の仕事をするように言っておいてくれ」
「分かりました」
それでもララは顔が真っ青なままだ
「ララ、気にしないで。今回はリードのお陰で助かった訳だし、あなたのせいじゃないわ」
「ソフィー様」
「それじゃ行くか」
「うん」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
『外の別棟にて』
「そういえばその薬師さんはどういう人なの」
「伝え忘れてたな。あいつは魔族に強い恨みを持っている。でも今まで内に留めておくだけだったから油断していた」
「魔族にどんな恨みが?」
「自分の村を魔族に蹂躙されたらしい。両親も兄弟も全て目の前で遊ぶように殺されてその上に呪いもかけられた」
「呪い?」
「あぁ、「悪夢の呪い」寝ても誰かが自身に助けを乞うがそれが全く報われない。家族、兄弟、周りの者が夢に出てきては殺されたりと最悪な夢を見るらしい。しかも強力な呪いで誰も解くことが出来ないんだ。多分呪いが専門の魔族種にやられた可能性が高い。だから彼は寝ても安眠を取れたことがない呪いにかかってから17年も経っている
効力は弱まるばかりか強くなる一方で、事象の書き換えができるイリヤですらお手上げ状態だ。」
「……それ私なら呪いを解けるかも、見て見ないとだけど」
「確かに同じ魔族なら、と思うけど」
「魔族というより私の瞳が関係あるの。この瞳ただの飾りじゃないのよ。古代の本で読んだものなんだけどこの瞳には呪いの類とかを浄化することが出来るの。ただただ赤い瞳だけじゃダメなんだけど私は浄化できる対処みたいなの」
「やり方とかは分かるか?」
「簡単よ。私のこの目を食べるか。一定の量の血を飲むか。私の目を食べた方が早いのだけれど血だと数回飲まなきゃいけなくて」
「いや、それは流石に」
「大丈夫よ。前にそれで治療してあげたことが何回かあるわ。ちゃんと目も再生してるでしょ」
ソフィーは自身の目を指さす
「全くソフィーは自分の身を顧みないな」
「私の身一つでその人が幸せになるのなら嫌なことじゃないわ。でも痛みだけは何回やっても慣れないものね」
「血はどうなんだ?」
「血は確かコップの半分くらいを何回か飲まなきゃいけないんだけど、そうね大体3回くらいかしら?でも全く美味しくないから目を推奨するわ。それに血だと私が倒れちゃうの目だったら3日で元に戻るから」
「流石にどちらも取りたくない選択だな」
「リード」
ソフィーは意を決したようにリードの目を見つめる
「目の前の人を治せるのなら私は自分を顧みないわ。だからもしその決断をする時は止めないでほしいの」
「我はソフィーを止めはしない。じゃが、痛みを伴うともあるのならばリードお主の出番になるのではないか?」
「確かに俺の魔力を注げば痛みは殆どない、だが」
「言いたいことは分かるわ。でもまだ決まったわけじゃないから」
「確かにそうだが、頭が痛いな」
「リードは優しいのね。初めはとっても怖い人かと思ってた」
「大体の俺の第一印象「怖い人」なのは慣れた」
「ふふ、あ!あれがその薬師さんがいる別棟?」
屋敷とは違い塔のようになっている
「そうだ。そして名前は『シルファ』」
「シルファ……」
「とりあえず中に入る。俺の傍から離れないようにして」
「分かったわ」
ギィィ
重いドアをリードが開ける
「階段が連なっているわね」
「そうだな。でもここを押すと…」
壁の1部を押すと隠し部屋が出てくる
「これは」
「奥が部屋になっているがこの手前の装置を使う。さ、乗って」
「うん」
乗ると上へと上昇し始める
「すごい技術ね。勝手に昇り降りしてるのかしら?」
「この技術は俺もあまり分からないんだけど浮遊魔法を改造したものらしい」
「そうなんだ」
しばらくするとある部屋の前で止まった
「ここだ」
「も、もう?緊張するわね」
コンコン/
「おやぁ?リード様ではありませんか。どうしたんですか?」
クマが出来ている彼はリードに微笑んでから後ろにいる私を見ると目が鋭くなる
『天樹ノ囚』
ドンッ!
ザシュッ/
(?!)
リードに突き飛ばされたと理解した途端にさっきまで居た方を見るとツル草が切れ端となって朽ちていった
「リード様どうしてあの魔族を庇うのです?!僕がこうなったのは魔族のせいだと理解しているのでしょう!?」
剣に絡まったツルを見えないスピードで切り刻むとその剣をシルファの首に向ける
「シルファお前の境遇は理解している。だがソフィーに手を出そうと言うものならその首斬らせてもらう」
「何故庇うのですか……」
「シルファが仮にもソフィーを殺したとしてその呪いも憎いという思いが無くなるのか?」
「そんなものッ!魔族なんて全員殺してしまえばいい…!」
「呪いを解く事が出来る魔族が居たとしても、か?」
「は?、、、」
私は立ち上がってシルファに近づく
「私は貴方の呪いをとくことが出来るわ。見た時に分かった私のチカラでシルファ貴方を治せるわ」
「ふざけた事を……!僕を馬鹿にするのもいい加減に……」
シルファの手を取る
「信じれなくて良いの。魔族の私に同情されるのも嫌かもしれない、でも私には治せる貴方のその呪いも」
ソフィーは少し笑って見せた
「お前みたいな魔族にどう治せるっていうんだッ!」
「少し気持ち悪い方法なんだけど私の目を食べれば治るわ」
「お前が、……?」
「うん」
「今までは赤い瞳を持つ魔族を片っ端から殺して喰ってきた。…………でも治らなかったんだ」
「ただ赤い瞳があるだけじゃダメなの。でも私の目は確実に治すことが出来るわ」
「…………」
苦虫を噛み潰したような顔をして黙りこくってしまった
「リード短剣とか持ってない?」
私の言葉を察したようにリードは短剣を手渡す
私は部屋に少し踏み入って周りを見ると空のカップがあるのを発見する。それをもってリードの元へ戻る
「これを持っておいてくれる?」
「痛みはないようにするから安心しろ」
「うん!」
私は思い切って手首を切った
シュッ/
ボタボタボタボタ
血はカップの中に滴り落ちやがて半分の所までやってきた
「えっと、血を止めなきゃ」
ウエルが腕まで這って来ると傷を舐める
スゥゥっと傷が治った
「ありがとうウエル」
それから短剣に付いた血を拭ってからリードに返しカップを受け取る
「シルファ……信じられないのなら試してみるだけよ」
「これは……」
「私の血。勝手にカップ借りてごめんなさいでも治せるって保証を知ってほしくて」
カップを渡すとシルファは受け取るが私とカップの血を交互に見ると助けを求めるかのようにリードを見る
リードはため息を着いてからカップを奪った
「え、あ、ちょ、!」
シルファの口を強引に開けて私の血を流し込む
「オボボボ」
シルファは抵抗していたが急に動かなくなった
「シ、シルファ!」
「大丈夫だ。失神してるだけ」
「全然大丈夫じゃないじゃない!と、とりあえずベッドまで運ばなきゃ!」
リードと一緒に失神したシルファを運んだ
椅子があったので2人で座る
「あの、強引に飲ませなくとも……」
「強引にやった方が良かっただろ。ほら本人も満足そうな顔をしている」
「なんか死んじゃったみたいな表現やめてよ!」
「はぁ、とりあえずソフィーの血で効果を発揮するかどうか、だな」
「少しは効果あるはず、、、多分、」
「多分かぁ」
と良いながら先程のカップを持っていた。すると「少し残ってる」といい飲む
「あ、私の血」
「、、、血の味だ」
「だって血だもの……」
「魔族だから少しは違うのかなっていう好奇心」
「いつか毒でも好奇心で飲みそうね」
「毒は効かないから安心しろ。そして毒は全部不味い」
「経験者は語る……」
ーしばらくしてー
「全く目、覚まさないな……」
シルファを見つめてボソッと呟いた
「起こすか?」
「え?」
「無理やり起こそうって話」
「そんなこと出来ないわよ!もう!リードは考え方が極端なんだから」
「こればかりは仕方ないよな。今までそうやってやってきたんだから」
「否定するつもりじゃないのよ」
「別に否定されたって思ってない」
リードはシルファが書き留めていた薬草の本を読んでいる
一方私は勝手にシルファの日記を読んでしまっていた
(心の叫びが聞こえるような字の書き方。ずーっと苦しんできたのも分かるわ
夢だとしても助けられない命を何度も見るのは苦痛でしかない。だからあんなに目の下にクマが出来ているのも納得出来るし、私と同じ色の瞳をもつ魔族の目を片っ端から食らっていたのね。何年も何年も何年も
でもやっと報われるのよ。だから目を覚まして……)
私の思いを受け取ったかのようにシルファの目が開く
「ここは……僕の」
ソフィーが覗き込むとシルファが飛び起きてソフィーとシルファの額がぶつかりお互いに額を抑える
「お前は魔族の……」
「良かった。目が覚めて」
「!…俺は確か……リード様に無理やりお前の血を飲まされてうぅ、気分が」
「失礼ね」
「シルファ」
「はい」
リードに向き直るシルファにリードは質問した
「失神した時変な悪夢とか見なかったか?」
「そう言われれば……目覚めが全然違います」
そしてシルファは私を見てから感謝する
「すみません。いきなり攻撃とかしてこんな良い目覚めは久しぶりです」
「あぁ、でも応急処置みたいな感じなの。だから治すには私の目を食べることなの」
「それは……」
シルファは私の目が治らないと思っているのだろう
「私の目は3日程で再生するから気にしなくていいの。ただ目を取ると出血多量になるから止血剤がほしいわ」
「止血剤なんてすぐにでも作れますけど、殺されそうになった相手になんで優しく出来るんですか?」
「えっと……よく分からないわ」
「え?」
「殺されそうになったとしてももう過ぎた話でしょ?だから気にしてないし助けられる人が居るなら手を差し伸べるだけよ」
「ソフィーはそういう奴なんだよ。自分が悪いことをしたと自覚があるならそれに報いるように努力をしろ」
「は、はい」
「まぁ、話はこのくらいにしましょう。そろそろ準備しなきゃ」
「必要な物とかありますか?」
「鋏と止血剤それに血を受け止める大きな器あと眼帯、鏡と手袋が欲しいわ」
シルファは言われた通りにそれらを準備した
「何処でやるんですか?」
「ここだと汚してしまうかもしれないわね……」
「なら僕が使ってる処置室を使ってください」
「ありがとう」
処置室に入るとソフィーはベッドの上に座り机を持ってきてふぅと息を着いた
「久しぶりだから緊張するわね。リードよろしくね」
「あぁ、そのあとの処置もついでにしてやるから」
「ありがとう。手当苦手だから助かるわ」
ー■以下微グロ表現あり■ー
ソフィーは目を見開いて手袋をした手で目を取り始める
グチュグチュ
目を奥の方から取り出すように手を動かす
ゴキュグチュグチュ
様々な神経と繋がっていて苦戦を強いるが上手く取れた
パチン
だらんとたれた目を鋏で切る
それから止血剤を打ち込んだ
鏡に映る片目の無くなった自身を見る
「これでいいはずだわ」
「こんな血腥い匂いは戦場意外で嗅ぐとは思わなかった」
「でしょうね。ふふ、そしたら処置をお願いしても?」
「もちろんだ」
リードは血が少し垂れる目を軽く綿で拭いて目の中は清潔になる魔法をかける。それから眼帯をつけてあげる
ソフィーは鏡を確認して頷いた
「ありがとう完璧よ」
処置室を出てシルファの元に戻ると彼はぐったりしていた
「あー……」
リードは急いで換気をした
「こいつ血の匂いとかダメなんだ。忘れてた」
「はい。シルファ私の目」
「水で洗浄したから大丈夫よ」
「これで呪いとも別れられるのか……ありがとうソフィー様」
「良いのよ。でもまずは食べて見ないと分からないよね」
「うん……いただきます」
勢いよく口に放り込む
クチュゴリゴリ
と音を立てて噛み砕いてから飲み込む
「う〜ん。すぐ効果とか分からないよね。体に変わりはない?」
「はい。今のところ大丈夫です」
「なら本人を魔法か何かで寝させれば良いだけか」
「その必要はなさそう……です。もう眠、気、、が……」
バタリ
シルファは寝てしまった。とりあえずベッドに運び込む
「悪夢から覚めますように」
私はそう彼に良い片付けをする
「鋏は綺麗にしないと、あとはこの器も……」
「ソフィーお前もベッドに横になってろ。片付けはオレがやっておくから。それに片目を今は失った状態だからなれるまでは大人しくしとけ」
「ふふ、そうね。分かったわ」
ベッドに横になるとウエルがソフィーの無くなった片目の方を尾で撫でる
「良く頑張ったのう」
「ありがとう」
「片目が無くとも我が片目の役目を果たそう」
「それはありがたいわね。よろしくね」
「あぁ、我に任せよ」
「うん」
しばらくすると私は眠ってしまった