秘匿
話しているうちに、シオンはそのあまりのばかばかしさから彼が嘘を言っていないと判断し信用する事にした。
シオンはフェラクリウスが敷いてくれた外套を少し彼から引き離してからありがたく包まり、背を向けるようにして横になった。
思っていたほど臭くは無かった。
外套のぬくもりのせいか、この男に疑いを持っていたこと自体が申し訳なく思えてくる。
そばでパチパチと燃える焚火の音と遠くで響く夜鳥の唸り声が耳に障り、旅慣れていないシオンは眠れなかった。
「…ねえ、アンタはどうして王都に向かってるの?」
シオンが背中越しに話しかける。
その問いかけに、冷静になったフェラクリウスは言い淀んだ。
答えははっきりしている。声高に叫びたい程に。
だが、それをこの子に話すべきか。
ええケツとやりにいく。
「…子供にするような話じゃない」
「なんだよ!聞きたくない事ばっか
一方的に話しておいて!
子供にするべきじゃないのは
さっきの話だろ!!」
それからシオンがどれだけ食い下がっても、フェラクリウスが返答する事は無かった。
先程までの話題が適切でええケツとやりに行くのが何故不適切だったのか。
その胸中は彼が口を閉ざしてしまった以上知る術は無い。