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せがれの想い
夕食のあと、フェラクリウスは寝室に案内された。
そこはジジイのせがれの部屋だった。
ベッドに横たわり、フェラクリウスは物思いに耽っていた。
(数年前、この部屋でせがれは
黒レースのフリフリパンティーを履いていた…)
(せがれは何故、女装などしていたのだろうか。
女を抱きたいという気持ちはわかる。
だが自分がなってどうする。俺には理解出来ない。
俺の考えが古いのだろうか。
…そこに何か、新しい世界の理があるのだろうか)
(受け入れ、理解する時代が来ているのかもしれんな…)
(せがれはこの部屋で、何を思ってパンティーを履き
ドレスを着て街へ繰り出したのか)
(せがれは女になりたかったのか…?
それとも、パンティーが履きたかったのだろうか…)
(俺にはわからない。
後者しかわからない…)
部屋主の性癖に思いを巡らせているうちに、せがれの情念にあてられたのだろうか。
腹の奥底からマグマのようにふつふつと湧き上がる感情に息を乱した。
フェラクリウスはたまらず夜の剣に手をかけた。