永遠市
●バンドとしてはもちろんのこと、「作詞家」としての実力も充分に感じられる。
【収録曲】
1.インヒューマンエンパシー
2.下を向いて歩こう
3.アンチノミー
4.ごめんねオデッセイ
5.君はまだ夏を知らない
6.自由に向かって逃げろ
7.スワイプ
8.俯きヶ丘
9.カシオピア係留所
10.超新星
11.クレプトマニア
12.ディザスター
13.まっさら
約1年半振りとなるamazarashiの新作アルバム。前作からあまり間を空けずにリリースされた印象があったのですが、それでもなお全13曲・1時間強となかなかのボリューム。彼ら(特に、バンドの中心人物である秋田ひろむ)の「創作意欲」が伝わってくるようです。
作風に関しては、「ギターロックやヒップホップ等の要素を取り入れつつ、滑舌良く言葉を多めに繰り出していく」というお馴染みのスタイル。ある意味マンネリ……なのかもしれませんが、語彙の多さは折り紙付きで、不思議と「飽き」というものを感じさせません。「『いつか必ずうまく行く』 ならそのいつかを教えて」(自由に向かって逃げろ)や「没後評価されて喜ぶ 作家なんているもんか」(ディザスター)等といった印象的なフレーズの組み込み方も見事と言えるでしょう。
特に良く感じられたのは『アンチノミー』と『君はまだ夏を知らない』でしょうか。前者は「感情は持たないでください」という歌い出しで一気に引き込まれますし、後者は随所に現れるノスタルジックな描写が秀逸。テーマ自体はさほど珍しくないのかもしれませんが、言葉のチョイス一つ一つが明確に「amazarashiらしさ」へと繋がっているのではないでしょうか。
個人的には「もう少し曲数を絞った方が良かったかな」と思うところもあったのですが、良い意味で相変わらずの力作と言えるアルバム。バンドとしてはもちろんのこと、秋田ひろむの作詞家としての実力も充分に感じられた一作でした。
評価:★★★★★