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レビュー執筆日:2020/9/23

●「現代性」「ノスタルジー」「力強さ」という三つの柱が見事にみ合って生まれた傑作。


【収録曲】


1.拒否オロジー

2.とどめを刺して

3.夕立旅立ち

4.帰ってこいよ

5.さよならごっこ

6.月曜日

7.アルカホール

8.マスクチルドレン

9.じょじょう

10.死んでるみたいに眠ってる

11.リビングデッド

12.独白

13.未来になれなかったあの夜に (long edit)

14.そういう人になりたいぜ


 amazarashiを「今時のバンド」と思っている方は少なくないでしょう。曲中に歌詞を多く詰め込む傾向がある点は現代的ですし、今作の収録曲で言えば、ポエトリーリーディングの『拒否オロジー』や『独白』だったり、ロック色の強い『抒情死』だったり、ピアノをメインにしてしんみりとつづる『そういう人になりたいぜ』だったりと、様々なジャンルの曲を聴かせてくれる点においてもそう。また、「メンバーの顔を隠して活動する」というスタンスに関してもある種の「匿名性」を感じられ、その点からも非常に「今っぽさ」を感じられます。


 その一方で、これは個人的な感覚なのですが、どこかしらおもむきのある「昔っぽさ」も感じられるんですよね。ボーカル・あきひろむの一音一音はっきりと分かりやすく歌い上げるスタイルは昭和の歌謡歌手を彷彿ほうふつとさせますし、『夕立旅立ち』や『帰ってこいよ』の歌詞で見られる「地元」と「都会」を対比させる表現も非常に歌謡曲的。先程挙げた『そういう人になりたいぜ』においては曲中の庶民的な描写からいわゆる「四畳半フォーク」を連想させます。そういった「昔っぽさ」と冒頭で挙げた「今っぽさ」が絶妙に混じり合って、独特な「amazarashiワールド」が築き上げられているのではないでしょうか。


 また、随所に見られるメッセージ性の強い歌詞も非常に印象に残りました。『独白』では「言葉を取り戻せ」等といったリスナーを鼓舞するかのような表現が随所に見られますし、『とどめを刺して』の「君を脅す君にとどめを刺して」や『未来になれなかったあの夜に』の「醜いままで恨みを晴らして」「足りないままで幸福になって」のようにネガティブな表現を絡めながらも力強さを描き出すフレーズには胸を強く打つものがあります。また、こういった歌詞からも分かるように、今作の根底には「傷付きながらも希望を追い求めようとする意志」というものが存在し、それがアルバムとしての「一貫性」を高めているように感じられます。


 「現代性」と「ノスタルジー」、そして「力強さ」という三つの柱が見事に噛み合って生まれた傑作。「流行りの音楽が好き」という方も、「最近の流行りの音楽にはついていけない」という方も、この一筋縄ではいかない独特な雰囲気を体感してみてはどうでしょうか。


評価:★★★★★

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