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優しい嘘

作者: かぐや

ネタバレあります。

まだ作品を見ていない方や興味のある方は

見ないでください。

私には何でも話せる人がいました。

だけどいつも大事な事は話せませんでした。

小さな真実に大きな嘘を混ぜ込んで私を苦しめる子がいました。

その子が私の友達でした。

その子のウソが嘘だとばれても

私のキズは傷ついたままでした。

大丈夫なふりをするべきなのに

胸が苦しくなって泣きたくなる時がありました。


「先入観」この言葉に何度も苦しめられました。

そのたびに自分を押し殺して我慢しました。

友達はみんな親しいふりをして、陰で私の悪口を言います。

私にはそんな友達しかいないのです。

私は姉に相談しました。

姉は「だったらいっそ一人でいる」と言いました。

何事も難無くこなす姉が羨ましかったです。

私は目をつむりました。

事故で死んだ父に会いたくなりました。

私はたまった涙が溢れだしそうで心配でした。


初めて人を殺したいと思った時

周りにいる子はその状況を見て笑いました。

私はその時に見た表情を今でも忘れることができません。


私は勉強が大っ嫌いでした。

本を読んでいても集中できず

気がついたら何度も同じ行を読んでいました。

ですが勉強をしなければなりませんでした。

なぜなら勉強ができないと

みんなが私の言うことを信じないからです。


私は聞き分けのいい子でした。

ダメだと言われたことは素直に従う子でした。


ある時母はお昼にジャージャー麵を作ってくれると言いました。

ジャージャー麵は母の好きな食べ物でした。

だけど、私にとってジャージャー麵はトラウマの塊でした。

目頭が熱くなって涙が頬をつたりました。

母は言いました。

「ありがとうはよく言いけど、嫌とは言えないの。

 あなたは掛け替えのない人なのよ」と。

だけど、私はこれ以上続ける気はありませんでした。

涙がますます膨らんでいきます。

ごめんなさい。

お母さん。


私はもういい子ではありません。

だから、すべてを許していく気はありません。

許したほうが心は安らぐことは知っています。

けれども私は

楽になるからいくのではなく

自分の体がこれ以上、ここを求めないからいくのです。

それでも、私と長い間一緒に笑ったこともある人たちですから

憎しみだけは捨てていきたいです。

自分勝手ですみません。

それで、毛玉を残しました。

完全に許してからいけなくてごめんなさい。



うつ病。

黒い影は長い間まとわりついてきました。

貴方はこの影に憂鬱な名前を付けてくれました。


私は貴方を貴方は私をよく知りません。

貴方がよく見かけた影は見えないと思います。

しばらく隠すことにしたのですから。

けれども今日私に付きまとうこの黒い影が

明日になったら大きな黒い海になって私を吞み込むことを知っています。

だから、そうなる前にいこうと思います。

表面だけをみて判断しないでください。

貴方は何も知らないじゃないですか。


最期に夢を見ました。

ひもをかける瞬間に母と姉が私を止めて慰めてくれる夢を。

母の懐でぎゅっと目をつむり三回目のベルの音を聞く鮮明な夢を。

そうです。その瞬間にそんな夢を見ました。

思い通りにならない体に、目の前がかすれて怖くなります。

何もかもごめんなさい。

もう逝きます。












優しい噓。

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