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26 ディエット(1)


 雪が溶けだんだんと暖かくなりだした。

 花が咲き草木が芽吹き始めた。

 暖かくなってきたのもあり、猫の姿になることも減った。

 なんぼ暖かくなったかといって、夜は寒いので猫の姿になっている。


「そろそろ街を目指したいけど――」


 洞窟の中にあるものどうするかで悩む。

 戻ってくるなら置いてても良いだろうが、街に行くと今回のようなことが無い限り、ここには戻って来ないだろう。


「うーん……塞いで置いとくか」


 オークション会場に連れて来られたときは、気絶していたからどれくらい経っているか分からない。意識があれば何時間経ったくらいの距離、何日経ったくらいの距離などである程度把握は可能だがそれが出来ないのが辛い。

 だが、川の近くにはだいたい町は無いにしても集落くらいはあるはずだ。

 目標は街道を見つけることだが一番良いのは集落だ。見つからないと気落ちせず、川沿いを下りながら集落を目指す。



   ◇◇◇



 あれから数日下っていると、猫耳ならでは聴力でもうっすらだったが人の声が聞こえた。


「――!」

「ん?」

「―?――!!」


 男女の何かを言い争ってるような感じだ。

 身を潜めながら声の元へ近付いていくと、やはり男女がいた。

 違ったことは言い争いではなく魔獣を狩っていた。


「腕もらい!」

「アホ!腕落としたら素材価値下がるだろうが!!」

「良いじゃない!六腕熊シックスベアーの皮なんて嵩張るだけなんだから!」


 そういいながら男の方が首を綺麗に落として倒した。


「だからな?こいつの皮は防具系じゃなくて日用品に使われんだよ!!」

「でも皮より魔核、お肉の方が高く取引されるじゃない」


 凄く言い争ってる割には手際よく剥ぎ取っている。


「はぁ、それはもういいがそれよりも」

「ええ、そこにいるやつ出て来なさい」


 え、まじですか?

 この距離でバレるの?

 俺、10mくらい離れた位置で見てたんだけど……。


 背中に冷たい汗をかきながら考えていても、状況は改善されるわけでもなく、刻一刻と状況は悪化していった。


「出てこないならこっちから行くわよ!」

「おい!そこなでしなくても――」


 男の方は止めようとしたが女の方は止まらず斬りかかってきた。

 斬りかかるのが見えた瞬間、土衣コスチュームで服と帽子を作り次に石斧ストーンアックスを過剰に込める。

 訓練中にミスで魔力を込めすぎると土が真っ黒になったことがあった。いろいろ検証していくうちにわかったことが、強度が異常なくらい上がること、制御を失うと粉塵となり煙幕のようになることがわかった。


「オラァ!!」


 身体強化もしているのか一瞬で詰め寄られた。

 相手が剣を振り下ろすと同時に斧を下から振り上げて剣に当てる。

 もともと鍔迫り合いのような事をするつもりがなかった。

 そんなことをしても押し負けるのは俺だし、そもそも戦うきがない。

 剣と斧がぶつかると斧の制御を失い、爆発した。


「うわっ!?」

「大丈夫か!」


 剣を避けてすぐに木の上に行く。

 男の方がすぐに風魔法で土煙を飛ばし視界を確保していた。


「お嬢ちゃん降りてこい!」


 土煙を直でくらったのもあり、額に青筋を浮かべていた。

 

「落ち着け!」

「落ち着いてられるか!こっちは土まみれにされたんだぞ!」


 俺の方は粉塵もコントロールして、服と帽子に違和感がないように移動させる。


「あんな小さい子にこっちから斬りかかったんだぞ!端から見たら俺達が悪い!」

「だ、だが……」


 流石に幼女相手に本気で斬りかかった手前強く言い返せていない。


「すまなかった。話がしたいから降りてきて欲しい」


 応じるのも吝かではないが、誘拐されたのと斬られかけたのもあり余り降りたくない。


「い、いや、流石に不安なんですが……」

「だが覗き見してた君も悪い部分もあるだろう?」

「うっ……」


 確かにそれを言われてしまったらなにも言い返せない。

 ここは諦めて降りることにした。


「降りてくれてありがとう。僕の名前がエイブリットだ。で、こっちが――」

「ニーナだ」


 魔術師の格好をしており、澄んだような蒼い瞳をもち、髪は短髪で鮮やかというよりくすんだレモン色をした男がエイブリット。胸と関節、手、足に金属製の防具を身に付け、武骨なクレイモアを背中に携え、血のような紅い髪と目をした女がニーナだ。


「リナです」


 不服そうにしながら名乗っていた。

 ヘソ出しで少しグッと来たが、警戒は解かずにこちらも名乗り経緯を話した。


「盗み見したのはすみません。ここがどこだか分からないので、戦闘音が聞こえた方に向かっていたらまだ戦っていたので身を潜めていたんです」

「わかんねぇって事はないだろ?近くに街があるんだし、そこに住んでんじゃねえのか?」


 え、街あるの?

 それならもっと早く動いてればよかった……。

 でも、魔法の練習ができたって言うこともあるし悪いことばかりではない。そう悪いことばかりではないのだ!


「い、いえ、数ヵ月前に誘拐されて――」

「え!?じゃあ君はこの森で数ヵ月も生活してたのか!」


 聞いたところによると、この森は『贄の森』と言うらしい。

 数年前、邪教徒がこの森で悪魔召喚を行った。

 魔法陣や贄など、いろいろ欠陥だらけの召喚だったこともあり失敗に終わるが、一部は成功してしまっておりそれが森の動物たちを魔獣化しているとのこと。

 傍迷惑な話だが、もともと村だったが魔獣の討伐のため人が集まった。人が集まると商人も来。そうしたら経済も回り潤う。

 そのおかげで街にまで発展した。

 今では魔獣の素材が高値で取引されるようになった。


「邪教徒もたまには良いこともするもんだよな」


 笑いながらニーナが言うが運が良かっただけだと思う。

 それにはエイブリットも苦笑いながら同意していた。


 今は街に戻っているが住んでいたというのがインパクトが強すぎて誘拐のことが抜け落ちてるみたいだ。

 個人的にはどっちでも良いが、奴隷ということは絶対にバレてはいけない。

 外面は善人だろうが腹の中では何を考えてるのか分からないのだから。

 ふと前を向くと話ながらだったことでいつの間にか街についていた。


「ここが旨い物だろうが何でもあるディエットだ!」

「何でも揃うんですが割高なんだよ」


 ニーナが長所と街の名前を教えてくた。

 そして溜め息混じりに短所を教えてくれるエイブリット。



 どうやって入ろう……。



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