23 冬越し(1)
町に行くにも保存食や飲み物がないと死ぬし、早急に確保しないと。
滝の裏側の道を通り出ると雪が降っていた。
「もう降りだしたのか……」
屋敷で働いていた時もこれくらいの時期には雪が降っていた。
だが屋敷の方では積もっても1cmくらいだったが、ここでは初めての冬だからどうなるか分からない。
「やっぱり考え直すか……」
町に向かうのは春くらいからの方が安全に行けるか。
下手に町を探しに行って凍死や遭難はしたくないし。
「そうと決まれば冬越しの準備をしないと」
枯れ葉や木の枝を集め、土魔法の【粘石】でまだまだ歪だが箱を作り、そこに枝と枯れ葉を分けて入れていく。
両方が3箱分集まると今度は狩に行く。
「形を剣に作り生み出せ〈石剣〉」
地面から石が寄せ集まり、剣の形になると溶けて凹凸のない剣が完成した。
切れ味は悪くないが見てくれはそこらの石なので白、黒、赤など統一感が皆無の状態だ。
それでも最初の頃は刃がついていなかったり、酷いときは剣の形にすらなっていなかった。それを思うと成長したと実感がわいてくる。
「感傷にふけってないで動物を狩らないと冬が超せんしな」
まだ日は上っているが冬だと日が沈むのが早くなるから急がないといけない。
作業服を纏わせながら作り森に入ると息を潜め作りおきしておいった投げナイフで鳥類仕留めていく。
蔦で編んで紐にしていた物で鳥を縛り血抜きする。
川が近いので流れてしまわないよう固定して冷してから他の動物を狩に行く。
一発目から上手く2羽獲れるなんて幸先が良いな。
屋敷での経験が活きた結果だ。
あんなに努力して身に付けた技術が活かせなかったら泣きたくなる。
屋敷では週1で昼間夜間関係なく森に入り何かしら獲ってくるという課題があった。それは5歳くらいの時からなので1年前くらいからやっていたがこれが以外に大変だった。
何かしらなので植物でも動物でもなんでも良かったのだが、動物は追い付けないは植物は毒性の物と見分けが付かない。
消去法で動物はを選んだが隠密は直ぐに見付けられるので身体強化で長距離から石をぶつける方法で狩りをしていった。最初は上手く行かなかったが5ヶ月自主的にも森に入ったりし、練習したことにより今では100発100中とまでは行かない迄も60%の確率で当たるようになった。
「お、鹿発見!」
2頭の鹿が茂みの奥にいた。
投げナイフ足を攻撃して行動不能にするのも良いけど、やっぱりこっちに誘き出す方が無難かな。
紐を足元の木に結んでおき、来たら引っ張れるようにしてから石で3方向の木にぶつける。
音のなってないこちらに勢いよく走って来たのを茂みの隙間から確認し、紐を引っかけれるように位置を調節する。
「ヅッ!!」
身体強化していても2頭分は流石に無理だった。
1頭は転ばせ、2頭目がそれに躓き転けてしまう。
直ぐに首に剣を刺し止め兼血抜きをして戻る。
「手に怪我はしてないけど普通に痛かった」
ボヤキながらも小走りで1頭ずつ運んでいく。
川についたら内蔵や毛皮など食べれない部分は近くの地面に埋めて処理する。鳥も同様に処理して洞窟に持ち帰る。
思ってたより獲れた量が多すぎた。
「鹿2頭獲れるとは思わなかったな」
腐らすのは勿体ないし保存食も作っておきたかったのもあり薫製を作る。
「まぁ今日はこれだけ食べてあとは薫製にでもしよ」
魔法で簡単には形を変えれるので薫製器をてきぱきと作る。
本当にシンプルなものだが一応できた。
量が量なので大型の物を作り今日の食べる分以外は薫製していく。
「ふわぁ……今日は思ったより魔力使ったしさっさと寝よ……」
火の元と空気穴の確認をしてから枯れ葉の上でぐっすりと寝た。




