12 薬草採取(1)
どの棚にあるかは、分かるんだけど……。
身長が圧倒的に足りない。
脚立を探すがそれすら見つからない……。
普通は子供が働くような所でもないから平均的な女性の身長でも届くように作られている。
「他の人に頼むしかないよな……」
ドアを開けて、廊下に顔を覗かせて見るが人っ子一人おらず泣きそうになる心を胸に本棚の場所に戻り、沈み込む感覚で心を落ち着けて前から現れる猫の姿になっていく。
この姿も可愛いけど俺自身がモフれないのが残念だ。
こちらの世界に来てからというもの――まぁ、六年しかたってないが――モフモフと触れ合うという機会に巡り合えていない……。
猫でも溜息はつけるが、人間臭い所を見られるとこの姿でうろつく時に奇異な目で見られたく無いという心情もある。
そんな事を考えるより今は、一刻も早く薬草図鑑なる物を落として紙に載っている薬草を調べなくてはならない。
それにしても俺みたいな子供を雇ってくれる冒険者ギルドって、労働基準法やらは大丈夫なんだろうか?
まあ、考えても出ない答えはそこらに放り捨てて、見ていきますか。
そのまえに人間に戻り、帽子をまず被る。
そして服に手をかけた所で、ギィィ、という音が耳に入る。
注意散漫は本当に怖いね……。
あと一歩遅かったら耳を見られている所だったよ……。
「……君どうして裸なんだい?」
「汚れてしまったので」
こいつロリコンか?
俺みたいな幼女の裸など見て顔を赤らめるのは犯罪一歩手前だぞ?
あっ!?早くスカートと履かないと!!
今の所、阿保みたいに長い髪のおかげでバレてないがいつ気付かれるか分からない状況だ。
背中には冷や汗をかきながら着替えているのでシャツが冷や汗にくっつくのが気持ち悪い。
「着替え終わりました」
「あ、ああ、それよりどうしてこんな所に?」
「それより言う事はありませんか?」
「……え?」
いや、謝れよ。
俺は見られても平気だけど、他の人に先の一連を見られてたらお巡りさんに直行で連れてかれるぞ?
「……いえ、何でもありません」
数分待ってみたが謝りや感謝の言葉は無かった。
感謝は求めてはいないけど……。
「ここにいたのは薬草採取を頼まれ、取り方を調べるのも勉強だと言われました。それで読んでいたら背中が汚れてしまい脱いで汚れを取っていました」
「そ、そうか……大体の事情は分かった。君は可愛いんだから服なんて脱いでたら攫われてしまうかもしれないんだから気を付けなよ?」
「はい、ありがとうございます」
はぁ、やっと行った……あのロリコン…………。
「足音も結構離れたし読んでいきますか」
20分も時間をかけ覚えていく。
でもこれだけだと不安ではあるんだけどな……。
どっかに紙でもあれば良いのだが、そううまい話は無いのだ。
部屋中歩き回り捜したが見つかりはしなかった。
記憶力は良い方ではない、というか凄く悪い。
前世でもテストは下から数えた方が早く、テストが良くても順位は中の下といったところだ。
「しょうがないな……」
溜息を一つ吐き、机の上にペンぐらいあると思い見たらなかった……。
ペンすら無いのに絶句してしまったが、無い物に頼らずに頭に叩き込むことにする。
10分経過……。
まだ覚えれられない……。
20分経過……。
やっとのことで5個覚えれた。
30分経過……。
後、2個で全部だ…………。
40分経過……。
やっと覚えれた!
「もし間違って毒草を持ち帰ってたら怒られよう!」
まず、こんな依頼を子供にさせるのが間違ってると思う。
◇◇◇
廊下で誰とも会わずに出てしまった。
もと来た道を戻ったはずなのだが裏口に出てしまった。
でも中に入るのは猫の姿だったけど外に出してもらえるか心配だな。
何はともあれ行ってみないと分からない状況だから、行くが出れなかったら……考えないようにしよう。
「すみません」
「?……ああ、どうしたんだい?」
周りをキョロキョロと見てから後ろを振り返りようやく見つけれたようだ。
「あの、ギルドの依頼で薬草採取をしに行きたいのですが一番近くの山はどの辺ですか?」
「それなら北西に行くと良い。あそこなら大抵の薬草もある。だが、あそこには魔物も結構いるから気を付けろよ」
「出来れば魔物がいない所が良いのですが……」
「いない所なんてあるわけないだろ」
少し呆れられた顔をされた。
「魔物の生息が少ない所なら少し遠いが南東に行ったら良い。だがその歳でそれも女の子で冒険者やるなら魔物とも戦えるようにならないとダメだぞ」
「アハハ……ソウシマス…………」
かたことになりながらも返事をして森に向かう。
俺を冒険者と間違えてくれたようだが、俺だってこんな歳というより耳や尻尾が無ければそれなりにまともな仕事をしているよ!!
それにこの仕事も良く分からん上司的存在に押し付けられただけだし……。
「一応基礎的なことは館で訓練されてるけど、やっぱり怪我したくないから戦いたくないな……」
そんなことを思いながら人や馬に踏みしめられ、土がむき出しになっていた道を進んでいたが、だんだんと草が多くなりしまいには、草が腰までの伸びており動きを阻害される。
「ナイフの一本でも持ってこればよっかたかな……」
でもまぁ、まだ腰だしね!
「前見えね~」
奥へ進むごとに草が高くなり、大人なら腰のあたりの位置になる。
これは本格的にナイフが欲しいな……。
しょうがない。ここは木の上に登って行こう。
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