0 産まれたて
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「お、俺は何も悪くねえ……」
「お前が飛び出してきたのが悪いんだからな!?」
降りて来たトラックの運転手がそんな事を言って逃げて行った。
「い、いた……い…………」
痛すぎて、頭の中がクリアになっている。
左腕に感覚がなく、両足は少し力入れるだけで痛みが走った。
首だけ起こし体を見て見ると、左腕は無く、両足はありえない方向に向き、一部は折れて突き出てきてもいた。
――なんか見た瞬間に血の気が一気に引いて来た……。
呼吸も乱れ、さっきまでのクリアな思考が今の現状を見て、鈍り始めてきた。
――そういえば。
視線を右手に移し、手の中にあるものを見た。
――体が冷たい?呼吸はしてない……。
手の中にいたのは猫だ。
道路に飛び出した猫を助けようとして自分も飛び出して事故にあったのだが、体温は自分も同じくらい冷たくなっているのでわからず、呼吸はしておらず、死んでしまった。
――あ、意識を保つの……。
◇◇◇
少し寒い。
さっき俺は死んだはずじゃなかったか?
それに体に痛みがない……。
「オギャァァァ……!?」
オギャァだと。俺は少し声をだしただけだぞ。
「■■■■■」
「▲▲▲▲▲▲」
目を開けると二十代後半の男性が眉にシワを寄せて悩み、二十代前半の女性が悲観的な顔でこちらを見ている。
「アァブゥ……」
意図してではないにしろ、声を出そうとすると赤子の声が出て恥ずかしい。それに視界に入ってる人達がものすごく大きくて色が無いように見えるような……?
あぁ、駄目だ……。
もう少し情報が欲しかったが意識が保てなくなり、寝てしまった。
◇◇◇
何日ぐらい寝てしまったんだ?
というかお腹減った……。
「オギャァ……」
お腹減ったと言っても、オギャァ、と声が出て、手は小さい……。これって赤ちゃんに生まれ変わってる感じだよな。
「▲▲▲▲▲▲」
メイド服を着た女性が俺の声を聞いて母乳を与えに来てくれたらしい。
メイドがいるってことは、かなり大きい家ということはわかった。だが産んでくれた両親は日本や外国でも日常でドレスを着て生活するってことは無いだろう。そう言うのを踏まえて考えると、俺は異世界転生してしまったのか。
授乳されながらこんなこと考えていても可愛らしく見えるが、最初は哺乳瓶とかがないのかと考えたが時代的に無いだろうと判断し、恥ずかしさを紛らすために考えてるにすぎない。
「▲▲▲▲▲▲▲」
乳から口を離すと背中をトントンと叩いてくれてケプッと可愛らしいゲップが出た。
それが終わると、ベビーベットに戻しまたどこかへ行ってしまった。
誰も俺を見てないことを確認すると、体を起こし手や足、体などを至るとこを調べたが布オムツの中は確認できなかった。
早く六歳くらいまで成長したい……な…………。
体は疲れていたのか眠ってしまった。
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