6.俺は試されている
フラグしばらく出ないかもしれません(汗
みなさんどうもフリゲートです。
今週は仕事が落ち着いているので、なんとか投稿することができました。
じわじわとブクマが増えておりましてうれしい限りです。
今後もしくよろ。
「神崎さん、どこに行くつもりなの?」
「決めてないわ。」
「え?」
「どこか適当に空いてる教室に入りましょう。」
「は、はぁ。」
行く先も決めてないのに俺を連れ出す行動力には驚いた。
神崎さんはクールそうに見えて案外何も考えていないタイプなのかもしれない。
「この教室は空いてそうね。ここにしましょう。」
そう言って神崎さんは教室の中に入っていく。
そして手際よく椅子を移動させて、机を挟んで対面に座る場所を作った。
「ここ座って。」
「うん。」
ミーティングと言っていたし、雰囲気的にも告白をされるわけではなさそうだ。
そもそも出会って日も浅いし、その可能性は限りなく低いのだが。
しかし、対面になると緊張する。
顔を正面から見ないといけないし、目も合う。
そして何より匂いが俺の理性を刺激する。
なんで女子ってこんなに良いにおいがするんだろう。
本当にシャンプーとかだけでここまで仕上がるのだろうか。
「あなたトアルマドリーダが好きなのよね?」
「そうだね。」
「じゃあスタメン言ってみて。」
「いきなりだね・・・えっと、キーパーはテイラーで・・・あ、でも最近トワルクも獲得したから・・・」
俺は最新の情報や豆知識を交えつつ現在のスタメンを言いきった。
「上出来ね。じゃあ今からミーティングを始めるわ。」
「お、おう・・・その前に一つ質問いい?」
「まあいいわよ。」
「神崎さんもトアルマドリーダが好きってことでオッケー?」
「もちろんよ。この話の流れで分かるでしょう?」
「ご、ごめん。一応確認したくてさ。」
なんでちょっと呆れられているのか分からないが、これで神崎さんも俺と同じ趣味があるということが確定した。
展開は一方的であったが、今回はフラグに感謝しよう。
「ではまず最初の議題ね。補強ポイントはどこだと思う?」
「うーん、現状だと左サイドが手薄だと思うな。それと中盤の・・・」
「さすがに分かってるわね。私は・・・」
最初の議題からかなり盛り上がった。
まさか女子とこんなにサッカートークができるとは思わなかった。
正直言ってかなり楽しい。
「神崎さんもやっぱり本物だね。」
「当たり前よ。」
そう言って神崎さんは足を組み替える。
魅惑的な絶対領域が俺の理性を攻撃してくる。
正面だと余計に見入ってしまうから厄介だ。
「見たいの?」
「えっ・・・?」
「さっきから私の脚のほうをチラチラ見てるでしょ?」
まさか神崎さんがいきなりそんなことを言ってくるなんて思わなかった。
ますます神崎さんのことが分からなくなる。
しかし、俺が見ていたのは事実だ。
下手な言い訳は見苦しいし、見せてくださいっていうのも変態すぎるな。
見たくないっていうのも逆に失礼かもしれない。
なんて言うのが正解なんだ?
あまり沈黙しているのもよくない。
「見たくないって言ったら嘘になるかな。」
「あら、正直なのね。」
「下手に否定するのもダサいからな。まあ言い訳としては本能的に動くものを目で追ってしまったってことにしてくれると助かる。」
「いいわ。別に。」
「次からは気づかれないようにするわ。」
「うふふ。あなた、面白いわね。」
神崎さんが笑った。
対する俺は内心ひやひやしていた。
いきなり変態のレッテルを貼られるところであったし、
ほぼ初対面の女子に冗談をぶち込んでしまった。
結果としてはうまくいったようだが、危ないところだった。
「見せてあげてもいいわよ?」
「からかうのはよしてくれ。」
「今度は素直じゃないのね。」
「俺にも理性があるからな。」
「ふーん。じゃあ次の議題に移るわ。」
「そうしよう。」
なんとか神崎さんの攻撃を乗り切って後半戦につなげることができた。
俺はそこから意識的に神崎さんの首から上を見ることにした。
もう同じ失敗は繰り返さない。
「ところで神崎さんはギャレスが好きなの?」
「そうよ。」
「どうしてギャレスなの?」
「ちゃんと周りが見えてて状況に応じてプレースタイルを素早く変えれるとこよ。」
「あー分かる。縁の下の力持ちタイプだな。ギャレスがいるからモラウドが自由にやれてるとこもある。」
「分かってるじゃない。あなたとは考えが合いそうね。」
「それはどうも。」
「ちなみにJリーグには興味あるのかしら?」
「俺は海外派だからあまり詳しくないけど、サッカー自体が好きだからね。もちろん興味はあるよ。」
「そう。」
「神崎さんは?」
「あるわ。ところで神崎さんって長いわね。香織でいいわ。」
「いや、さすがに出会って間もない女子を呼び捨てにはできない。」
「真面目なのね。私が良いって言ったのよ。」
「そう言われてもな・・・じゃあ神崎さんは俺のこと稔って呼べる?」
「呼べるわよ。み・の・る」
軽く攻撃したつもりだったのに、カウンターを食らった。
不覚にもドキッとしてしまった。
俺のポーカーフェイスは崩れていないだろうか。
神崎さんは攻撃力が高めのようだ。
しかし、出会って2日目から呼び捨てなんてできない。
クラスメイトにもう呼び捨ての関係なのかと思われてしまう。
「せめて香織さんにしてくれないか?」
「ダメよ。これからもミーティングはするんだから、ピッチネームは短いほうがいいでしょ?」
「え?これからも?」
「嫌かしら?」
「いや・・・そんなことはない。」
「じゃあ観念するのね。」
「じゃあミーティングというか2人の時だけもいいか?さすがに教室ではまだ呼べない・・・」
「気にしすぎね。まあそれでいいわ。・・・そろそろ時間ね。」
「ああ、教室に戻ろうか。」
「そうするわ。」
こうして緊張の第1回ハーフタイムミーティングは終了した。
これからも神崎さんのミーティングは続くらしい。
俺はその時ちゃんと名前で呼べるだろうか。
しかし、2人の時だけ名前呼びとかまるで付き合いたてのカップルじゃないか。
まあ神崎さんにその気はなさそうだけど。
俺にもそんな気は無いし・・・いや、神崎さんなら・・・いやいや・・・
昼休みだけで神崎さんのいろんな一面を見た気がする。
まだまだ神崎さんの人柄はつかめないが、既に次のミーティングを楽しみにしている俺がいた。
神崎さん分かりにくいですが、稔への好感度は高めです。
なぜならトアルマドリーダのファンだからです。
神崎さんも意外に単純でしたね。
サッカー分からない人にはきついかもしれませんが、しばらくは神崎さん編で行きたいと思ってます。
適度にエロを混ぜていくぞい。