4.フラグは折れるのか~後編~
やっと一人・・・
どうもみなさんフリゲートです。
仕事が忙しくてなかなか執筆が進まない状況です。
大変申し訳ありません。
長い目でみていただけるとありがたいです。
ではどうぞ!
翌日の朝も大成と一緒に登校して教室に向かった。
自分の席について、軽く周りに挨拶をしておく。
そして、隣の席の神崎さんにも挨拶をしようと目を向けた。
するとそこには今一番警戒すべきものが立っていた。
「お、おはよう・・・」
「おはよう。」
動揺して少しぎこちない挨拶になってしまったが、神崎さんはクールに返してきた。
しかし、今はそれよりも神崎さんの頭上のフラグを気にすべきだ。
まさか単純に時間でフラグが立つなんて思わなかった。
もしかしたら昨日の時点で何かしらフラグを立てるようなことをしてしまったのか?
(まぁいいだろう。フラグは折らせてもらう!)
「稔殿!おはようでござる。」
「ああ、おはよう。えーと・・・」
「剣持三郎でござるよ!昨日自己紹介したばかりではござらんか!」
「ごめん。覚える気なかったわ。」
「ひどいでござる!せめて聞いてなかったくらいにしてほしいでござる。」
「あーそうか!覚える気なかったわ!」
「ござぁあある!」
「はーい、みんな席について!授業を始めますよ。」
三郎とコミュニケーションを取っていると、先生が入ってきた。
相変わらず神崎さんのフラグは健在でそこには消しゴムという文字が浮かんでいる。
これからフラグを折る方法を考えなくてはならない。
しかし!消しゴムなんて限定されたものから考えられる状況はひとつ。
授業中に落とすもしくはわざと落として拾ってもらうというラブコメの王道的展開だ。
一見クールな神崎さんがその程度でどうにかなるとは思わないけど、用心するにこしたことはない。
そして、そうと分かれば消しゴムを落とさないようにすればいいだけだ。
極論を言ってしまえば今日は消しゴムを使わなきゃいい。
まさにイージー。これは難易度イージ―フラグなんだ。
ここで俺のへし折り力が試されるといっていい。
とりあえず消しゴムはずっと筆箱にしまっておこう。
コツン・・・
(ん?足になんか当たったような・・・)
足に微妙な違和感を感じて、下を見てみる。
するとそこには消しゴムが落ちていた。
(回収早すぎぃ!)
しかし、まだ神崎さんの消しゴムと決まったわけではない。
前の席、もしくは三郎の物かもしれない。
とりあえず隣の神崎さんを見てみる。
(うん。バッチリ目があったね。あれは拾えって言ってるね。)
まあ足もとにある消しゴムを拾わないっていうのも無理だし、
しょうがなく消しゴムに手を伸ばし拾うことにした。
よく見ると消しゴムのカバーにはサッカー選手がプリントされているようだ。
「あ、ギャレスだ・・・」
「!!!」
思わず俺の知っているというか大ファンのチームの選手だったので口に出してしまった。
しかも、ちょっとマイナーな選手。この選手の消しゴムなんてあったの?
そして俺が選手名を口にした瞬間に神崎さんの目が一瞬光ったように見えたけど気のせいだよね。
「はい。」
「ありがと・・・」
消しゴムを渡したけどクールな対応というか普通だ。
危ないところだった。確実にフラグを回収したと思ったけど大丈夫そうだ。
(ん?フラグの文字が・・・済?になってるぞ・・・)
おそらくだ。おそらくだがこれは回収済みってことだよな。
へし折るどころか早々に回収しちゃったよ。
というか消しゴムが落ちてくるなんてどうやって止めればいいんだよ。
確かに落ちてるの無視したらそれこそフラグと心を折っちゃうけどさ。
フラグさん・・・もっと詳細を希望するよ。
だがしかし、回収したからとはいえまだ何も起こってはいない。
そもそも何のフラグか分かってないし、本当にただ消しゴムが落ちるということだけのことかもしれない。
とりあえずは下手にアクションを起こさずに様子を見よう。
「じゃあ今日はここまで。号令お願い。」
1時間目が終わった。
正直フラグのことで頭がいっぱいで内容はほとんど入ってきていない。
「ねえ、あなた?」
神崎さんがこっちを向いて何かを言っている。
なので、俺は神崎さんとは反対側の窓の方向を見ることにする。
「そっちには誰もいないでしょ。カンザキ・・・だっけ?」
こうなるともう逃げることはできないので答えることにする。
「そうですけど、何かご用でしょうか?」
「なにそれ?仮にもクラスメイトでしょ?他人行儀すぎない?」
(いや、神崎さんには言われたくないわ!)
「ああ、ごめん。ほぼ初対面の女子とはどういう風に話せばいいか分からなくてね。」
「まあいいわ。あなたギャレスを知ってるの?」
「んー知らない。」
「嘘よ。さっき消しゴムを拾った時に確かに聞いたわ。『ギャレスだ』って。」
「すみません。言いました。」
(あれ、俺弱くね?)
「モラウドやロモスならともかくギャレスを知っているということはあなたトアルマドリーダのファン?それともただのサッカー好き?」
「うーん・・・両方かな。」
「あら、そう。ふーん。分かったわ。」
「それだけ?」
「・・・」
神崎さんは一方的に質問をしてきたが、俺に問いに答えることはなかった。
ちなみにトアルマドリーダとは言わずと知れた海外のビッククラブである。
銀河系軍団と言われ常にトップレベルの選手を揃えることで有名だ。
俺はサッカーが好きだし、何よりこのチームのファンだ。
まさか女子でこのチームのマイナーな選手を知っている人がいるとは思わなかった。
余計なフラグは立てたくないが、サッカー好きの女子は正直それだけでポイントが高い。
そして、にわかではなくおそらくガチだ。そこも評価したい。
よって俺はそれだけで惚れそうである。案外俺ってチョロい。
(神崎さんとのフラグは折らない方がいいかもしれないな・・・)
あんなに警戒していたのに今後が少し楽しみになってきた俺であった。
いやー登場人物を増やすのって難しいですね。
まだまだ稔にはいろんな女の子から絡まれてもらわないと困るのにな・・・
とりあえずしばらくは神崎さんとのお話になりそうです。
その間にも1人か2人は新キャラ登場させます。
生徒会にも入りたいし、お嬢様とも出会いたいですよね?
そうなるまで少し・・・いや、かなり待っててくだちい。