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My Life & Your Life  作者: 長谷川 健人
第一章 〜希望を照らす朝焼けの太陽〜
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第一章 ボディに要注意

國嶋が学校を出たのは午後六時を少し過ぎたくらいの時間だった。

校門を出る前に誰かに声を掛けられた気がしたがその時のことはよく覚えていない。

そんな彼の住む家までは片道十数分とあまり離れてはいない。かといって彼の住む家には午後七時と言う門限がある。それに間に合うように帰れるはずだった。そう、帰れるはずだった。


「うぅんんん!!!」


頭の上で手を組、背伸びをする國嶋。

そんな彼の前には人っ子一人いない道が続いている。そんな道を一人で歩く。

少し歩くとある程度の車が行き交う大通りと交差する十字路に差し掛かる。


ドッン!、と。

十字路を左に曲がろうとした所で頭に何かにあたる。


「痛ってぇなー」


何かにあたった頭を押さえながら声のした方に顔を向ける國嶋。そこには、國嶋より大きい、いわゆる不良と呼ばれるような人が立っていた。

よく見ると、ぶつかった不良の後ろにもう二人の不良のような者が立ってる。


「でぇ丈夫ですか、兄貴?」


「あぁ大丈夫だ水田みずた。問題ない。それよりも‥‥」


國嶋の方に視線を移す兄貴と呼ばれる不良。

兄貴に続くように水田と言う不良も視線を移す。

そして、もう一人。黒人で大きめの不良も二人に続いて視線を移す。そして、


「そこのガキ、この俺様にぶつかってんだぁ!」


「そうだ!兄貴にぶつかっ…」


「静かにしろ、水田。今は俺様の時間だ!」


水田と言う不良に少し怒りめの口調で言う兄貴。

それに彼は少し退きながら黙る。それにより、辺りは静まり返る。


「おい!ガキ。お前、誰にぶつかったかわかってんのかぁ?」


「……?」


少し考えて首をかしげる國嶋。しかし、何も思い浮かばない。この行動が頭にきたのか兄貴が動き始める。


「あーもう!わかんねのかよ。しゃあねぇから教えてやるよ。俺様はこの地区最強の男 最上もがみ 佑哉ゆうやだ。覚えておけ!」


「最上…最上って、誰だっけ?」


「ってお前、稀少能力レアスキル肉体強化ボディエバリティー』を使えるこの地域で一番のあの最上様だぞ!」


「???」


地区の事情については特に興味のなかった國嶋は、この地区を縄張りにしている不良グループについて何も知らなかった。

そんな状況で、現状を全く掴めていない國嶋に呆れた最上は、自分の隣の水田ともう一人の黒人に指示を出す。


「水田とボディ。捕らえろ!」


「了解です。兄貴」


「OK。BOSS」


なんだか違う国の言葉が聞こえたが、今はそこに首を突っ込んでいる場合ではない本能で察した國嶋は、全力で逃げ出そうとする。

しかし、そう上手くいく訳はなくすぐにボディと言う黒人不良に捕まり呆気なく最上の元へ連れていかれる國嶋。

そして、最上の前に投げたされる。


「お前さぁ、マジで逃げられると思った?まずさぁ希少能力者レアリストがいるって時点で他の奴らもヤバイと思えよなぁ」


「……、」


「おっ!なんだ、なんだ。俺様に向かってその目付きは。俺様とヤンのかぁ?」


「……、」


何も言わない。もちろん、ここで謝れば少しは許してもらえるかもしれない。しかし、それを國嶋自身のプライドが許さない。

とても惨めだ。見ている最上らはそう思った。


「水田、ボディ。もう見飽きた。そいつを好きにしていい。終わったら、そこら辺に捨てとけ!」


「了解です。兄貴」


「OK。BOSS」


即答だった。二人に迷いの様子はない。

またも『逃げよう!』と思った國嶋だが前方には最上。後方には水田とボディの二人がいる。


「おい、お前!こっちにこい!」


水田に手を取られ路地裏へ強引に連れて行かれる。だが、ボディがついてこない。


「おい、ボディ!行くぞ!兄貴の言うことが聞けないって言うのか!」


「……、」


「おい!何か言えよ!」


「……、」


ボディは何も言わない。ずっと最上のことを見ているだけ。水田も我慢の限界を超えたのか、最上の方を見つめる。


「あーもう!わかった、わかったよ」


嫌々と言った感じで返事をする。


「ボディ、俺様のことは心配すんな。今はお前に与えてやったことをやればいい。お前は水田とそいつを捨てに行け」


「OK。BOSS」


黙り混んでいたボディが、最上の言葉には反応した。するとすぐに、ボディが水田から國嶋を奪う。そして、路地裏へ連れて行く。

ボディを止めるように最上が声をかける。


「ボディ、やり過ぎるなよ」


「……、」


國嶋が会ってから初めてボディが最上の言葉に返事をしなかった。そのまま、國嶋を引きずるように路地裏へ強引に引き込んで行く。

後を追うように水田も路地裏へ向かう。

路地裏へ入る手前で足を止める。


「兄貴、行って参ります」


と一言残して路地裏へ姿を消した。


ーーー路地裏


ドン!、と。

國嶋が壁にぶつかる音が鳴り響く。


「痛ってぇ!」


背中を強く壁にぶつけて苦しむ國嶋。

そんな彼は気にせず、水田とボディは会話を始める。


「ボディ、こいつどうする?」


「He will kill」


「おいおいおい、『殺す』なんて駄目だって。それじゃあ、兄貴の名前が汚れちまうよ。だから今回は駄目だ!」


「……、」


睨み付けながら黙る。


「わかった、わかったよ。2、3発なら殴って良いぞ。でも、殺すなよ!」


言葉を聞くなりボディは動き出す。倒れている國嶋の元へ行き、Yシャツの襟の辺りを左手で掴み、上に持ち上げてから、右手に拳を握る。

そして、握った拳で持ち上げた國嶋の左頬を握った拳で思いっきり殴る。


「ぐぅはっッッ!!!」


口から唾液が飛び出る。頬は一度で真っ赤に腫れ上がる。

殴ったボディ本人は先程と違い少し笑みを浮かべている。そして、また殴る。


「ぐぅはっッッ!!!」


意識が朦朧とする。視界が真っ白になってくる。

そんな中、國嶋の耳に水田とボディの会話が聞こえてくる。


「どうする、ボディ?もう一発いくか?」


「Yes」


再度拳を握る。今まで以上に強く。今度は顔の正面に拳を持ってくる。


ドッン!、と。

今までよりも一層鈍い音が鳴り響いた。

國嶋の最近ぐらつき始めた歯が、ポッンといい音を響かせ、今まで奇跡的に残っていた最後の乳歯が抜けた。それと共に國嶋の意識はとんだ。


ーーー最上側


コッン、コッン、コッン、コッン…と路地裏の方から不規則に足音が聞こえてくる。


「戻って来たか」


路地裏へ続く道の壁に寄りかかる最上。

彼の寄りかかる壁の横の道から、水田とボディの二人が姿を現す。


「あいつはどうなった?」


「あいつは、ボコボコにして捨ててきました」


「そうか。じゃあ、行くか」


寄りかかるのを辞める最上。直ぐ様その両横に水田とボディがつく。そして、ゆっくりと歩き始める。


ーーー國嶋側


「うゥゥゥ………。あーマジで痛かった」


意識が戻り、顔を押させながらゆっくりと立ち上がる國嶋。

何分、何十分気を失っていたのかを確かめるために右腕に着けている腕時計を見る。


「えっ、えええええええええっっッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!」


國嶋が大きな声を出す。なぜなら、彼のしている腕時計の針が指していた時刻は、午後六時五十五分。門限五分前。

両手で頭を抱える國嶋。そして、


「あ、ああああああああああああああああああああああああああああッッッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!」


一人寂しく、絶叫する。そして、足から崩れていき、また頭を壁にぶつける。


「痛ってぇーーーー!!!!!」
















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