表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

童話シリーズ

ニートな俺が異世界に召喚されたらチート魔法使いでした。

ある所にとても優しくて繊細な青年がいました。

彼は成長するにつれて、人とかかわることで傷つくことが多くなりました。

青年は次第に部屋に引きこもるようになりました。

そんな彼を両親は理解できず、嘆きました。

青年は人に理解されたいと願うと同時にとても寂しくなりました。

彼は次第に別の世界に行きたいと強く思いました。


そんな青年の願いを神様は聞き届けました。


ある日、彼が目覚めると知らない世界にいました。

青年は大層驚きましたが、元の世界に戻りたいとは思いませんでした。

彼は暫くの間、街で住み込みで働きました。


しかし、青年には膨大な魔力があることを旅の賢者によって見抜かれました。

彼は賢者に師事をすると、スポンジのように知識を吸収していきました。


やがて独立をすると、優しい青年は沢山の人の願いを叶えて歩きました。

時には不治の病を癒し、恐ろしい竜を倒し、人々は彼に感謝しました。

青年は次第に天才魔法使いと噂されるようになりました。


そんな時、彼のもとに王宮に仕えるよう王命が下りました。

青年は王宮なら民衆を守る為に自分の力を使ってくれるに違いないと思い、従いました。


彼の力は王宮の魔法使いの中でも飛びぬけていました。

おまけに青年は一生懸命働いたので王様や王妃様の覚えも大層めでたかったのです。

彼には貴族としての地位や財産が授けられました。

青年に沢山の人々は群がり、媚を売りました。


そんな中で彼は虚しくなったのです。

青年の力は王族の権威を確立させるために使われ、

彼が望んだ様に人のために使われることはめっきり少なくなりました。


そうして、月が綺麗な晩に青年は姿を消しました。


それから彼は長い長い旅に出ました。


犯罪の多い荒んだ国、

治安のいい安定した国、

農業を中心に運営をしている国、

美しい伝統工芸を作ることで有名な国、


青年は沢山の国を回りながら、誰にも言わずささやかに人を助けました。


子供が熱を出した時は、治癒の魔法をかけました。

悩み苦しんでいる人には、相手の話を聞きました。

畑が干からびて困っている人がいる時には雨を降らしました。

夜盗に困っている村では、悪意を持っている人は入れないように結界を張りました。


青年は、旅の末に東の果ての村にたどり着けました。

そうして、そこの優しく芯の強い女の子と結婚をしました。

幸い村は平和そのもので、青年が大きな魔法を使わなくてはならない事態は起きませんでした。


青年は、心の底から幸せだと思いました。


結婚して暫くした頃、彼が仕えていた国で大きな戦争が起きました。

青年の仕えていた国の敗戦は濃厚でした。


彼は、一度仕えた主君を完全に見捨てることはできませんでした。

青年は奥さんに向かって、必ず帰ってくるから待っていてくれと言って沢山の金貨を渡しました。

奥さんは黙って頷きました。


王様は、彼が戻ってきたことを喜びました。

そうして、彼は激しい戦いに身を投じることになりました。

青年の魔法はすさまじく、沢山の戦果を挙げ、その結果勝利することができました。

王様からは褒美としてなんでも好きなものをやると言われました。

彼は断ると奥さんのもとに帰りました。


ところが、青年は以前と同じように幸せに暮らせなったのです。

彼は毎晩、魔法で殺した敵国の人たちの夢を見ました。

青年と奥さんは沢山の話をしました。

その結果、今度は二人で人を助ける贖罪の旅に出ることになりました。


青年は情けのない夫ですまないと妻に言いました。

奥さんは、優しいあなただから好きになったのよと言いました。

彼は自分の願いが叶ったことを知りました。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 異世界でやっと幸せが掴めてよかったです。 というか、本当に優しい男性ですよね。 欲に溺れないところがすごく芯の強い人なんだと思います。 現代の人間関係の難しさを語っているような内容でした。 …
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ