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二人
「ねえ?」
「何?」
「羊が裕二のこと、好きみたいよ。一度付き合ってあげれば?」
「いいのかよ、唯と加奈は?」
二人ともうなずいた。
ふと、僕も羊のことが好きになってきた。
放課後の校門。
僕は一人で羊を待っていた。
羊が歩いてきた。
「時間、ある?」
「う、うん…」
「じゃあ、街でもぶらつこうよ」
僕らは、手をつないで街を歩いた。
「アクセサリーとか、好き?」
「まあね」
「なんか、あげるよ」
僕らはアクセサリー店で、女子生徒が好みそうなアクセサリーをえらんで、それを羊にプレゼントした。
「ありがとう!」
目をキラキラさせながら羊が言った。
ベンチ。
僕らは抱擁し、キスした。
「これが男の人とした、はじめてのキス…」
羊が言った。
「じゃあ、二回目も今しちゃおっか?」
羊は無言で唇を合わせてきた。
傾いていく太陽の時間を、僕らは楽しんだ。