6/10
羊
加奈が見慣れた女子生徒を連れてきた。
クラスナンバーワンの頭脳の持ち主、中野羊だ。
「で、相談って?」
「私たち、変なの」
「変?」
「自分の意思に関係なく、好きになっちゃったりするの」
「ふうん…」
羊はしばらく考えていた。
「で、誰が誰のこと、好きなの?」
羊が口を開いた。
「裕二。誰のことが好き?」
「そりゃあ、唯だよ」
「ホントは加奈のことが好きなんじゃないの?」
「私は好きよ。裕二のこと…。あれ?」
加奈がまた変なモードに入った。
「…僕も、加奈のこと、好きになってる」
「私も、二人が幸せになればいいと思ってる…」
唯も続けた。
羊が頭を抱えた。
「うーん…。どうしたらいいんだろう?」
羊があきれ顔になった。
「…まずい」
羊がびっくりした顔でつぶやいた。
「私、裕二のことが好きになってる!」
みんな、頭を抱えた。