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不思議なもの
「僕たち、おかしいよね?」
「うん」
僕が質問すると、唯と加奈がうなずいた。
「唯、君がやってるのか?」
唯が首を振った。
「じゃあ加奈?」
「いいや。私じゃない」
「じゃあ、僕?」
二人がうなずいた。
「違うよ!僕は何にもしてないよ」
「じゃあ、誰よ」
「誰でもないんじゃない?」
唯がつぶやいた。
しばらく、みんな黙っていた。
「じゃあ、私たち。この、なんだかわけのわからないものに、振り回され続けるってこと?」
僕らは沈黙した。
「ねえ、裕二」
加奈が言った。
「今日、デートしようか」
「いいんじゃない?裕二、加奈のこと、好きなんでしょ?」
唯が続ける。
「ほら。だから、それ!」
僕がそう言うと、二人が口を押さえて驚いた。
沈黙…。
「なんだろう?これ…」
僕らは、この、何だかわからないものの存在を、あらためてそれぞれ、見つめていた。