三人
次の日の朝。
僕は唯を探した。
唯は校舎の外れにいた。
「昨日は楽しかった?」
「唯!どういうことなんだよ!昨日のあれはなんだったんだ!」
「うーん。なんなんだろう?」
そう言いながら、よろよろと唯がしゃがみ込んだ。
「…どうしたんだ?唯」
「どうしたんだろう?私、なんかおかしい…」
急に唯がシャキッとして立ち上がった。
「あーっ、すっきりした!今日、デートしようよ!」
「えっ?」
「嫌?」
「別に、そんなことないけど…」
放課後。
僕と唯は手をつないで歩いていた。
頭の中は、疑問でぐるぐる…。
「疑問はいろいろあると思うけど、今を楽しもうよ」
僕はうなずいた。
ベンチ。
「キスしよ」
唯が言った。
「うん」
僕らはキスした。
「うまくいってるみたいね」
予想通り、加奈が現れた。
唯が立ち上がって、言った。
「あなた、裕二のこと、好きなの?」
「うっ!」
加奈がうずくまる。
「…わからない。何が本当なのか」
僕は、何故だか加奈を無性に抱きしめたくなった。
「いいわよ。裕二」
微笑みながら、唯が言った。
僕は崩れ落ちそうな加奈を抱きしめた。
「大丈夫か?」
「うん…」
僕らはキスした。
「私、帰るね」
抱きしめ合う二人の横を、唯が、特に何が起こったというわけでもない表情で去っていった。