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キネマトグラフ

深夜徘徊

作者: 水上 遥

終電は僕らを置いて行っちゃった

紙切れになった切符は紙飛行機になった

線路に下りてフラフラと歩き出した

たった今どこかの国にミサイルが落ちた



赤い花は摘まれたくなんかなかった

流れ星は重力なんて嫌いでしょう

スポーツバッグは重いから置いて行こう

そして僕らは電車よりも遅かった



海はごうごうと鼾をかいて眠っちゃった

右手の小指には青い糸が結んであった

北の空が紅く染まって綺麗だった

人を殺したのは人の作った物です



神様にお説教されて

僕らは不良になりました

夜が明けるまで深夜徘徊しましょう

朝が来たら草むらで眠りましょう



雨の日には子猫を拾って

コンビニからツナ缶を万引き



サイレンの音を聞きながら

手を繋いで線路を歩く

お仕置きされちゃうから帰らないよ

悪いのは大人です

迷子だから帰れないよ

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