ブスと美少女Ⅱ
その頃、関東竜胆会は総力を挙げてツンデレラの捜索にあたっていました。
昨晩、学校帰りに何者かに誘拐され、こんな手紙が会長であるヒイラギの自宅に届いたからです。
『美少女すぎるそこの娘は頂いた! 返してほしければあたいらの結婚相手を差し出しな!
ただし、イケメンに限る。年収は二千万円以上、身長百八十以上で二十五歳以下だよ。
この条件を呑むなら返してやるよぐへへへへ』
何という世間知らずなメッセージでしょうか。
鳩という名のサギ率いる政党のせいで日本経済は墓穴の底でさらに墓穴を掘っています。この状況でこんなハイスペックを要求してくる身の程知らずの言論は統制されるべきではないかと組員たちは思いました。
そんなことをのんきに考えている組員たちとは対照的にヒイラギはブチ切れています。もちろん、大事な愛孫が危機に陥っているからです。
孫のツンデレラは大江戸で知らぬ者はいない美少女です。腰まで届く絹のような艶やかな髪、西洋人形のように整った顔立ち、これを引き立てる紅玉のような瞳。まるでおとぎ話の中から現実世界に出てきたかのような少女でした。
その少女がブスたちの標的になることは想像に難くありません。
「者ども!」
威厳たっぷりにヒイラギは命じます。そこに一切の躊躇はありません。警察が今ブスたちの確保に乗り出しているのでそこに関東竜胆会が加勢に入ろうとも何の問題もないからです。
「今より、関東竜胆会はツンデレラの保護とブスたちへの制裁を行う! 総員武器を取れ! すぐに都庁へ突入するのだ!」
こうして関東竜胆会も都庁前に集結しました。
ちょうどその頃、警官隊の隊長らしき男がブスからの怪電波と画像を添付したメールを受け取ったところです。隊長らしき男はヒイラギを見つけるや否や
「会長!」
と慌てた様子で近寄り、ブスたちから送られてきた画像をヒイラギに見せたのでした。
すぐに警察と関東竜胆会の夢のタッグが再び組まれることになります。
ジジイ抹殺をもくろむ桃太郎をよそに都庁解放作戦が彼らによって行われようとしていました。
こんばんは、星見です。
これが投稿される頃には多分私は寝ていることでしょう。いやあ、暑いです。暑すぎます。とっとと夏終われと言いたいところですが、まだまだこれからが本番ですねとほほ。
というわけで次回またお会いできることを祈りつつ……