ブス戦線開幕
どすん、ずしんと大地が軋みをあげます。
どうやら相当なパワーを持ったブスのようです。
「怒巣恋の姉御!」
ブスたちが次々に歓声をあげました。
姉御というからにはボスクラスのブスなのでしょう。
「おうよ!」
と応えて、その巨大なブスはお爺さんの前に登場しました。
彼女は歌舞伎役者のように白粉を顔に塗りたくり、がたいの良い身体に桃色の着物を纏っています。頭につけたチョンマゲがアクセント。
「ごふっ」
お爺さんは吐き気を覚えました。
「何さ、このクソジジイ!」
巨大なブスは負けていません。履いた下駄で地面を踏み抜きながら宣戦布告します。
「あたいらブケファロスにケンカ売るからには、命かけるんだろうねえ?」
巨大なトゲ付バットを軽々と振り回しています。最近の女性(ブス限定)のトレンドはバッド運動とハーレーでの東海道逆走です。これ、一般常識です。公務員試験あたりに出ますよ。
「何じゃ、そのブケ何とかというのは?」
お爺さんは鼻毛を抜きながら問います。相手が美少女ではないので、心底どうでもいいような顔をしながらですが。
「耳かっぽじってよく聞きやがれ! ブケファロスは美女と美少女を撃滅するための正義の慈善団体さ。ついでにあたいらをブス呼ばわりする男どもをとらえて調教するってこともしてるんだ」
お爺さん、抜いた鼻毛を一息で飛ばします。あんな恰好で、バット振り回している慈善団体なんて世界中探してもここしかないでしょう。
「美女とか美少女どもがいなくなれば、あたいらにもモテ期到来さ。わが世の春を謳歌するために、ブケファロスは女性の喜望峰となってるんだよ。分かったかい?」
お爺さんは懐から取り出したみたらし団子を食べ始めています。もちろん、目の前のブスの話なんかに耳を傾けているはずがありません。
「まあ、何じゃ。その一つ言えることはじゃな」
もがもがと咀嚼しながらしゃべります。行儀が悪いので、良い子は真似しないでね。
「ブスはブス。永遠にモテん。ついでに、その勘違いオーバードライブな恰好を何とかしないと、何世紀経っても無理」
その台詞にブスたちは
「「「ムキィーーーーーー! やっちまいますよ、姉御!」」」
と一気に沸点に到達します。
「おうよ、やっちまいな!」
こうしてお爺さんとブスたちとの戦いの火ぶたは切られました。
こんばんは、星見です。
ようやく一週間の仕事が終わりました。というわけで、最低なタイトルとともに更新です。え? お婆さんが出てこないのが不気味? そのうち地面掘り進んで出てきますよ多分。
ではまた次回お会いできることを祈りつつ……