エピローグ:事件、終わって
東京都庁ブス襲撃事件。
二〇××年、ブッケ=ファルコスを首領とする宗教団体ブケファロスが都庁を急襲し、占領した事件。ブケファロスは構成員二千人分の結婚相手となる男を要求したが、老夫妻の活躍により穏便に解決を見た。この老夫妻は次のように語っている。
「ぐふふふ、やはりロリっ子のツインーテルは萌えるのお」
「ぐへへへ、やはり世界はワシの美貌にときめいたか」
この老夫妻に対して、内閣は報奨金を与えるとともに自衛隊への入隊を打診しており、国防の重要な人材となってくれることを(以下略)
桃太郎は新聞記事を見てため息をつきました。
それも深い深いため息です。
「どうしたの、お兄ちゃん」
すっかり回復したツンデレラはトレーに二人分の紅茶が入ったカップをのせて桃太郎の部屋に入ってきました。通常なら寄り付かない桃太郎の家に彼女がいるのは、お爺さんとお婆さんが出払っていてしばらく帰ってこないからです。
現在、お爺さんとお婆さんは報奨金を使ってのヨーロッパ旅行に出かけています。奇行によって国際問題に発展しないことを祈るばかりです。
「なんでもないよ」
桃太郎は新聞を床に置きました。
事件の後のブスたちに関する記事もありましたが、桃太郎はツンデレラに話そうとは思いませんでした。あれだけ怖い思いをした後なのですから。
「ねえ、お兄ちゃん」
無言でツンデレラの淹れた紅茶を飲む桃太郎に彼女は話しかけます。
「助けにきてくれてありがとう」
とびきりの笑顔が目の前で咲きます。
桃太郎の心臓は不覚にも鼓動を早めました。
「どういたしまして」
意識的にそっけなく返事をする桃太郎。
窓から覗き見をしているホームズがニヤリとしているのが見えました。
「さてと、僕は夕飯の材料を買い出しに行ってくるよ。留守番よろしくね」
紅茶を飲み終えた桃太郎はツンデレラに言うと、部屋を出ていきました。
ツンデレラは少し冷めた紅茶を飲むと、桃太郎が読んでいた新聞記事を拾い上げて、一面記事に目を通してみました。
ブッケ=ファルコスらは特赦により無罪放免となり、モテない人のための結婚相談所『ブケファロス』を立ち上げた。日本の未婚率の上昇を憂いており、少しでもその問題の解決に貢献できればと代表のブッケ=ファルコスは語る。また、彼女は特赦の依頼をしてくれた老女に感謝の意を表明していた。
『お爺さんとあんな夫婦喧嘩ができるくらいに幸せになります』
こんばんは、星見です。
これにて異説鬼退治Ⅴ完結です。
お読みいただいた皆様、ありがとうございました。多くのメッセやコメントを送って頂き、励みになりました。ありがとうございます。
さて、あとがきは活動報告にていたします。
次回作でまたお会いしましょう。




