ブスと桃太郎と最終決戦Ⅱ
お爺さんは大方のブスを討伐し、次の標的をお婆さんに定めます。
お婆さんはというと、桃太郎との戦闘中でした。
「桃太郎、どうじゃブケファロスに入り、共にブスの世界を作るのじゃ!」
「宗教団体に入るほど人生に迷ってないよ!」
刀とフライパンが火花を散らします。
「とりあえず、お婆さん! そろそろこの世から退場してもらおうか?」
まさかの爆弾発言です。
「今更ババアが主人公の話なんて流行らないんだよ!」
機関車のごとく頭から湯気を出して暴れ始めるお婆さん。
その隙をついて、ダイゴロウはツンデレラを咥え、退散しました。護衛にポアロもついています。
それを確認した桃太郎は
「そういえば、絶世の美女お婆さんを嫁にしたいという若き社長がいたんだっけ」
と話をそらします。
「何? そやつはイケメンか?」
「もちろんだよ。イケメンもイケメン。モデルをしている二十四歳だって。しかも、東証一部上場のベンチャー企業の社長だよ? これはもう逆玉の輿狙うしかないよね?」
「ぐふふ、今すぐにその男に会おう。桃太郎、八王子ロイヤルホテルのスイートルームを予約するのじゃ。ワシはサテンのドレスを着ていこうぞ」
「待てィ! クソババア! 浮気をするとは許すまじ! 毘沙門天の裁きを下してくれようぞ!」
ようやく話がまとまりかけてきたところに余計なエイリアンが乱入します。
「ツインツインでもロリロリでもボインボインでもないシワクチャのババアがそのような話に乗れるとでも思っておるのか、たわけめ! この世界モテ王たるワシを差し置いて! たとえ神仏が許そうと、このツインテールを極めしワシが許さぬぞ!」
怒髪天を衝いてブチ切れるお婆さん。
お爺さんとお婆さんは壮絶な夫婦喧嘩を始めました。ハリセンでのどつきあいから始まって、フライパンとおたまを使ったチャンバラ、ちゃぶ台返し合戦とバリエーション豊富です。
そうこうしているうちに、都庁中のブスたちが知事の執務室に集まり始めました。
総勢数千人のブスがひしめくように集合する様は圧巻です。桃太郎は吐き気を催していましたが、バレると色々な意味で厄介なのでこらえます。
その中には筋骨隆々としたブスが混ざっていました。
その者こそ、ブケファロスの創始者にして、『最強のブス』と名高いブッケ=ファルコス、独身三十七歳です。この者には手負いのお爺さんとお婆さんでは敵わない。桃太郎はわかっていました。かといって、自分で太刀打ちできる相手とも思えません。
何しろ、世界中のブスをまとめ上げたとまで言われる伝説を持つ、生けるブス神話の英雄なのですから。
ブッケ=ファルコスの一声でブスたちは一斉にお爺さんとお婆さんに襲い掛かりました。
こんばんは、星見です。
最終決戦二回目。とうとうラスボスが登場です。え? 前ふりなしかよって? じじばばに前ふりなんか意味ありませんぜ旦那。暖簾にピーナッツですよ。あたって落ちるだけ、つまり無駄なことのたとえです。
さて、決戦のおちは?
アホはさておき、次回またお会いできることを祈りつつ……




