ブスと学校と世紀末Ⅳ
ツンデレラと長倉たちは行く手を炎に阻まれました。
商店街を覆う炎は強くなるばかり。
「ぐふふ」
お婆さんがイナバウアーしながら近づいてきます。もはや恐怖以外の何物でもありません。
「お嬢様。ここはこの長倉が食い止めます。お嬢様は隙をついて脱出を!」
「ダメよ。あなたではあのエイリアンの足止めにすらならないわ。ここは別の策を……」
「ヒャッヒャッヒャ!」
バカな笑い声がしました。
もちろんお爺さんです。
パンクロックな恰好で何をしてるんだと誰も突っ込みません。このお爺さんの個性は奇行ですから。
なぜかギターを持っているのが気にかかりましたが、ツンデレラは
「お婆さんが乱心したわ。ここはイケメン王のお爺さんに助力を頼みたいのだけど」
「むふふ、任せておけィ!」
お爺さんはお婆さんに突撃すると二秒くらいでぶっ飛ばされて、どこかへ消えました。
「使えないわね」
時間稼ぎにすらならなかったお爺さんへのつぶやき。
商店街の炎は少しずつ浸食を進めます。
「仕方ないわ。長倉、若衆と一緒に逃げなさい。ただし……」
ツンデレラは綱渡りの一計を講じます。
「私のランドセルをお爺様に届けるのよ。ここは私が捕虜になるわ。それであの世紀末暴徒は止められるでしょう」
「し、しかし」
「これでいいの。どうせあのエイリアンのことだもの。堂々と挑戦状とかをお爺様に送り付けるに決まってるわ。これでお婆さんを討伐する大義名分ができる」
時間がありません。
こうしている間にもイナバウアーをしながら、のたりのたりとお婆さんが近づいてきます。もちろん、肺までも焦がすような熱気も。
「逃げなさい!」
それが合図でした。
「ぐふふ、ツンデレラ捕ったり!」
お婆さんはブスたちのアジトでツンデレラを縛り上げていました。ブスたちは
「ブスにしろ!」
「美少女に死刑を!」
「いあblkdばkばlbんgら」
発狂して人語を話せなくなったブスがいるほど、ツンデレラは美少女でした。
「お婆さん、そいつに処刑を……」
長身痩躯のブスはお婆さんに詰め寄ります。もともと、ブケファロスはブスの宗教団体。美少女を放置しておく道理はないのです。
「ぐふふ、まだじゃ。まだこやつにはワシの威厳をぬっぷりと知らしめねばのう」
「お婆さん!」
「やかましゃい!」
お婆さんは一瞬で千撃の拳を長身痩躯のブスに叩き込みました。もちろん、お婆さんの技を正面から受けたブスに意識はなく、そのまま倒れます。
「ふん、こんなブスがいるからブケファロスがただの変質者の集団になるんじゃ。ワシが今からブケファロスを改革してやるわ」
お婆さんはそう宣言して、ブスたちに向けて吠えます。
「今よりブケファロスはこのワシが掌握する! 世のブスたちよ、ワシに続け! ブスの世界を共に創るのじゃ!」
お婆さんは白粉を顔に塗りたくりながら
「手始めに東京都庁を占領し、我らがブス政権を作る手がかりとする! 日本は民主主義からブス主義国家へと変わるのだ! 者ども、ワシとともに来い! あ、それからそこで伸びているクモみたいなブスも運んでくるのじゃ。洗脳を施してやらねばなるまいて」
こんにちは、星見です。
三連休もそろそろ終わりですね。暑くなったり寒くなったり台風が来たりと散々です。
さて、お婆さんはこうやってブケファロスを掌握したのですね。まあいつもの力技ですが。さてさて、次回より最終決戦です。ご期待ください、アホな落ちに。
ではまた次回お会いできることを祈りつつ……




