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ブスとお婆さん

 桃太郎とお爺さんが東京都庁に突撃をかます少し前にさかのぼります。



「ぐふふふふふ」

「げへへへへへ」

 お婆さんと長身痩躯のブスは互いに握手をしながら笑っていました。

 並の人間なら怖気で逃げ出すほどの光景です。

「さて、とりあえずはイケメンを囲い込むところからかの」

 これはお婆さんの提案。

「生ぬるい! イケメンどもを拉致し、洗脳する! これが我らブケファロスの至上命題!」

 お婆さんは長身痩躯のブスの言葉を聞いて、一考します。

「ふむ、ちょうど良い作戦を思いついたぞ。ワシに続け」



 お婆さんが向かった先は東日本屈指の組である『関東竜胆会』の会長宅です。

「ワシじゃ。クレオババラじゃ。邪魔するぞ」

 お婆さんは重厚な木造りの門を門番もろとも蹴り飛ばして侵入しました。

 厳重な警備を紙きれのように簡単に破って進み、お婆さんは会長の孫娘であるツンデレラの部屋の前へと進みます。

 ここでドアをノックして

「はーい、おばあちゃんですよ。お邪魔しますよー」

 なんて行儀の良いことが出来る訳もありません。

「おいコラ、クソガキ! ワシじゃ、美女じゃ! ここを開けい!」

 と脅しをかけます。お前は小学生かとか突っ込んではいけません。こういうお婆さんもいるはずです、多分どこかには。

「あら、来たのね。最近大人しいから動物園で飼育されているのかと思ってたわ」

 部屋の中からはすましたツンデレラの声。

「いいこと? ここは猛獣の檻ではないの。オイタがしたいのなら、金星にでも行ってするといいわ。太陽を食べたとかいうどこかのババアもいるはずだから、きっと仲良くなれるわよ?」

 挑発的な台詞にお婆さんは

「ムキャーッ! この見目麗しく、温厚篤実なワシに向かって罵詈雑言! 許せぬ、貴様はノコギリスプラッタの刑に処してくれるわぐふふ」

 とブチ切れて、どこからかチェーンソーを取り出しました。

 そして躊躇なく、ドアをチェーンソーでぶった切ります。

 駆けつけた組員の銃撃にもひるみません。

 気合一発、銃弾を一瞬で弾き飛ばしました。

 もはや人間業ではありませんが、これがお婆さんの実力です。

 邪魔者を片づけた後、原型をとどめていないドアを蹴り開け、お婆さんはツンデレラの部屋へと侵入しました。

こんばんは、星見です。

天気がおかしいのは今に始まったことではありませんが、おかしいです。

日本が温帯であるのはそろそろ限界なのではないでしょうか。


ここからしばらくはお婆さんの足跡を追う形になります。

ではまた次回お会いできることを祈りつつ……

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