表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
底辺ダンジョン配信者を追いかけたら、ぼく女神さまになっちゃいました。  作者: まぴ56
第一章:女神ちゃんになっちゃいました

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

24/37

第24話:孔雀眼、開く

 そして、翌日のお昼休み。


 僕はいつも通り、屋上へ続く階段で昼食をとっていた。

 来週の料理当番は僕だ。つまり――妹のご飯を、まるまる一週間食べられなくなる。だから今日くらいは、少しでも味を刻みつけたくて、箸をゆっくり運んでいるわけで。


「……はあ。おいひい……」


 けれど天気は最悪だった。

 屋上扉の小窓の向こうは灰色。雨粒がガラスを叩いて、視界をぼやけさせている。ここは屋内だから濡れないけれど、空気がひんやりしていて、コンクリの匂いが湿っていた。


 そこへ――


 タン、タン……と、足音。


 僕は箸を止めて視線を落とす。

 ……この感じ、知ってる。嫌なデジャブが胸の奥をくすぐった。


「……今日もいる。なに、あんた。もしかしてまた苛めでもされてるの?」


 一昨日、ここで僕に絡んできた、赤髪のヤンキーさん。

 今日も片手に購買のビニール袋をぶら下げて、当然みたいに現れた。メロンパンの甘い匂いが、袋の隙間から漏れてくる。


「べ、別にそういうわけじゃなくて……人が……苦手で……」


 言い訳にもならない言い訳を吐いたら、彼女は僕の横を通り過ぎて、数段上に腰かけた。


「だったら話しかけんな、で解決じゃない……」


「そ、そういうわけじゃなくて!?」


「声でかい……」


 キッと睨まれる。めちゃくちゃ怖い。

 僕は反射で背筋を伸ばし、箸も背筋もピーンとなった。


「ご、ごめんなさい……でも、その……一人は好きなんですけど……みんなといるのも好きで……でも、やっぱり一人の時間も必要で……」


 自分で言ってて、めんどくさい。

 分かってる。僕は面倒だ。


 赤髪さんは、わざとらしいくらい大きくため息をついた。


「あんた……めちゃくちゃ面倒くさいわね……」


「そ、それは……はい。その通りでございます……」


 そこから先は、お互い沈黙。

 パンの袋を開ける音。弁当箱の底を箸が叩く小さな音。もさもさした咀嚼音だけが、狭い階段にこもった。


 ――プルルルル……プルルル……


 静寂を割る着信音。

 一瞬、自分のスマホかと思って胸ポケットを探ったけど、違う。赤髪さんが胸元からスマホを取り出して、短く出る。


「なに。要件は?」


 電話越しでも態度が悪い。

 ……逆に気になる。誰だよ、その相手。


 僕は箸を止めて、ちょっとだけ聞き耳を立てた。


「……ええ。分かった。ていうか最近多くない?」


 よく聞こえない。

 怖いけど、首だけ少し、そっと――


「なに?」


「っ……!」


 一瞬でバレた。

 僕は即座に正面を向き、箸を静かに動かす。“何もしてません”の顔を作る。


「……分かったわよ。すぐ行く」


 ピッ。

 通話が切れる音。ビニールをがさごそといじる音。


 そろそろ振り返っても怒られないかも、と思って、恐る恐る顔を向けた。


「……え、えと……お友達、ですか?」


「なんであんたに言わなくちゃいけないわけ?」


「いや!? その、ちょっと気になっただけで……!」


 ――ドガアアアン!!


 返事の代わりに、世界が割れた。


 凄まじい轟音。

 赤髪さんの背中側――屋上扉が、爆ぜるように砕け散った。雨と風が一気に吹き込み、破片が階段を跳ね、粉塵が白く舞う。


 赤髪さんの体が、吹き飛ばされて――こっちへ。


「危ない!!」


 反射で手を伸ばした。

 小柄な体を抱え込む。けれど不安定な階段で踏ん張れるわけがない。勢いのまま、僕は彼女を抱えたまま転げ落ちた。


 ゴロゴロ! ガツン!!


 踊り場の壁に叩きつけられ、頭が白くなる。

 後頭部が熱い。痛い。けど――


「……っ、だいじょうぶ……?」


 胸の中の彼女を見る。

 額から血がたらり。だけど噴き出すほどじゃない。瓦礫がかすっただけだ。……ただ、気絶している。体から力が抜けて、ぐったりしている。


 であれば、問題は変わる。


 僕は視線を上げた。


 屋上扉には大きな風穴。雨音が、さっきより近い。階段が濡れていく。

 そして粉塵が、ゆっくり晴れる、その向こう――


 異様な影が、現れた。


 ネクタイまで真っ黒なスーツ。細身の大男。

 顔には白い布袋。首元を縄で縛って、袋の口をぎゅっと絞っている。

 そして何より、右腕が――“うごめいていた”。


 黒い流体。

 うねうねと形を変え、膨らみ、縮み、蛇みたいに脈動する。まるで黒いスライムが、人の腕の形をしているみたいで。


「おっと……僕としたことが、仕留めそこないましたか……」


 袋の中から声が響く。

 同時に、肌に刺さる殺意。


(殺される……! 武器、武器は!?)


 周囲を見回す。

 でも階段に都合よく武器なんて落ちていない。


 僕の手に残っていたのは――


「く、来るな!!」


 箸、だった。


「……なんだい、それ?」


「そりゃそうだ、無理がある!!!」


 僕は即座に戦うのを諦めた。

 抱えた彼女を守って逃げる。そう決めて、階段を下りようとした――その瞬間。


 ドゴン……ガラガラガラ。


 黒い右腕が枝分かれし、進行方向に“檻”みたいに突き刺さる。

 逃げ道が、塞がれた。


「そんな焦らなくて大丈夫だよ、君」


 コツン……コツン……と、わざとらしく革靴の音。

 男は手を広げ、階段を降りてくる。顔は袋で隠れているのに、その下で笑っているのが分かるのが、気持ち悪い。


「僕が用事があるのは、君が抱えているその赤髪の少女だ。その子を渡せば、君の命まで取ろうとはしないさ」


「僕の……命、まで……?」


「そう。その通り。だから安心していい……」


 つまり、この子の命が目的。

 だったら――絶対に渡せない。


「ごめんね……ちょっとだけ、待ってて……」


 僕は赤髪の子を床にそっと寝かせ、自分のスマホを近くに置いた。


(お願い、ジンバルン……凛さんに……!)


 落ちた箸を拾い直して、男の前に立つ。


「……く、くはははは!! それで! 箸で戦う気かい!?」


 笑い声が階段に響く。

 でも、やるしかない。やらないと、あの子が死ぬ。


「どんなわけがあるのか、僕には分からない。でも――あなたがあの子を殺すっていうなら、見逃せない」


「いいね! それ! まさしくヒーローだ! かっこいいね!!」


 嘲るように大げさな拍手。

 男は降り切って、僕の前に立った。――やれるものならやってみろ、と。


「クッソオ!!」


 振りかぶって拳を叩き込む。


 ポスン。


 ……硬い。腹筋の壁。

 むしろ僕の手が痛い。


「さあ! ほら! ガンバレガンバレ!!」


 ポスン! ポスン! ポスン!!


 何度殴っても、まるで効かない。

 大人と子どもだ。体格差がありすぎる。


 ――ドゴオオン!!


「……かはっ」


 一瞬。世界が横に飛んだ。

 男の左腕が“変形”して、僕を横から吹き飛ばしたのだ。壁に叩きつけられ、さらに黒い巨大な右腕が僕を押さえつける。


 ぐり、ぐり、と。

 骨が、簡単に折れていく音がした。


 コキリ……ベキリ……


 僕じゃなかったら死んでる。


「でもね……僕も暇じゃないんだ。あんまり時間をかけるわけには、いかなくてね」


 男は僕を潰しながら、赤髪の子へ歩いていく。


「やめろ!!」


「コラコラ、かわいい女の子がそんな口、いけないよ」


 ゴキュリ、と、さらに力。

 内側が潰れて、口に鉄の味が溜まる。


(ふざけるな……いきなり現れたと思ったら……殺す?)


 動けない。

 その間に、男の腕が彼女へ伸びる。黒い流体が、巨大な鉤爪に形を変える。


「やめろ……やめろおおおお!!!!」


 最後の力で、黒い巨腕から逃れようと腕に力を込めた、そのとき――


 頭の中に、声が響いた。

 聞いたことのない、少女の声。


『……殺せ……殺せ……殺せ……殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ』


「ころ……す……」


 自分の口が、自分じゃないみたいに動いた。


 男の動きが止まる。

 袋の奥の視線が、僕へ向く。


(……助けたい……違う? これ、違う……)


「ころす……おまえを……ころしたい……」


 男の額に汗が滲む。


「……死ぬのは君さ」


 ゴキャッ!!


 さらに力。内臓が押し潰され、赤い液体がだばだばと床へ落ちる。

 なのに――


 僕の口は止まらない。

 思考が黒く染まっていく。嫌なのに、気持ちがいい。怖いのに、笑えてしまう。


(そうか……僕、殺したいんだ……あいつを)


「……ヒヒッ……殺す」


「なんで死なない!! 化け物かお前は!!」


 男が叫ぶ。

 黒い腕で、僕を地面に叩きつけ、壁に突き刺し、天井に打ち上げる。骨が砕け、視界が霞む。


 それでも僕は、死ねない。

 ――いや。


 “死にたくない”じゃない。


 ――殺したい。


 胸の奥が、そう叫んだ瞬間。


 耳の奥で、“通知音”みたいなものが鳴った気がした。


 ピロン。


 視界の端に、見えないはずの文字が滲む。


 ――【ギフト:《加虐の魔王テュポーン》】

 ――【テュポーン。全てに死を与える、炎嵐。死の化身にして、怪物の王】


 僕の瞳が、形を変える。

 中心に、海の底みたいな深い青――吸い込まれるほど静かな色。

 その周りを、夜空のように淡い青が薄く円を描いて重なり、さらにその外側を、太陽みたいな黄金の輪がきっぱりと縁取った。


 そして――最後の層。


 草原のようなエメラルドグリーンが、そのすべてを包む。


 四つの色が同心円に並び、孔雀の羽の“目”みたいに完成する。

 ぞくり、と。視線だけで皮膚の奥を撫でられるような光が走った。


 男が腕に力を込める、その前に――僕の口が先に動いた。


「……《天禍暴嵐テュポーン》」


 指先から、小さな光の玉が生まれる。

 シャボン玉みたいに軽くて、ふわふわ宙を漂い、ゆっくり男へ近づく。


 男が戸惑う。避けることもできず――


 男の眼前まで、光の玉がふわり、と漂った。


 ――その瞬間。


 僕は右手の人差し指と親指を重ねる。

 一見、指ハートにも見える仕草。けれど次の動作は、愛情なんかじゃない。


 すり潰すみたいに。

 こすり合わせて――


 指先の乾いた音と同時に、シャボン玉が弾けた。


 パンッ!


 赤が渦を巻いた。

 炎だ。炎の嵐が男の体を這い、覆い尽くす。


「くっ……がああああ! なんだ、これは!!」


「死ねよ……お前が!! 死ねよ!!」


 汚い言葉が溢れる。

 炎は勢いを増し、天井すら焦がした。


 男は黒い流体を戻し、体を覆って消火しようとする。

 ――でも、消えない。閉じ込められた空気ごと、黒い流体が燃え続ける。


「なんなんだ!? これは!!」


 同時に、僕の体が宙を舞い、硬い地面に叩きつけられた。

 背骨が折れた感触。立てない。だけど目線だけは、男を睨み続けた。憎悪で。


 ……なのに。


 炎が、弱まる。

 僕の集中が揺らいだ瞬間、火は痩せていった。


 そこへ――


「NDKよ! 大人しくお縄につきなさい!!」


 爆ぜる音とともに、桃色の閃光が飛び込んできた。

 目にも止まらない速度で僕の前に滑り込む。


 黒いハーフツイン。ピンクの地雷ファッション。

 ――らいこさんだ。


「もう大丈夫よ、祈里君」


「らいこさん! 女の子が!!」


「ええ、それならここに♪」


 らいこさんの腕の中に、赤髪の少女が抱えられていた。

 いつの間に。速すぎる。彼女はまだ気絶していて、だらんと身を預けている。


「この子、任せていいかしら?」


「はい!」


 らいこさんは赤髪の子を僕の隣に寝かせた。

 ……でも、まずい。僕の体が――戻らない。いつもなら折れた骨も、皮膚も、勝手に元に戻るのに。


「……祈里君?」


 らいこさんの声が、少しだけ低くなる。


 その瞬間、炎が完全に消えた。

 男は、すすが頬についた程度。服が焦げただけで、平然としている。


「あなた……手配書で見たわね。確か……」


「おっと。NDKのナンバー4が来るとは……運が悪い」


 二人の間に、緊張が走る。

 でも、らいこさんは余裕そうだった。


「名前忘れちゃった。でも“ダンジョンの夜明け”の一人でしょ」


「ええ。お初にお目にかかります。ダンジョンの夜明け団の、万峯天ばんほうてんと申します。以後お見知りおきを」


「わざわざどうも。――それじゃ、お縄についてもらうわ」


 らいこさんの足元が、バチバチと小さく爆ぜる。

 だけど、踏み込まない。踏み込めない。背後に僕たちがいるから。


 ――それを、相手も分かっている。


「守りながらでは、あなたのギフトは十分に振るえないでしょう? どうです、ここはいったんお開きに――」


 ドッ……バンッ!!


 言い終わる前に、らいこさんは足裏を地面に“踏み抜く”ように爆ぜさせた。

 足は一歩も動かさない。ただ爆風だけが地面を舐め、砕けた小石がふわりと宙へ浮く。


 ――そこへ、二発目。

 跳ね上がった石を狙って蹴りを叩き込み、同時にもう一度、爆発。

 爆風は石を弾丸みたいに押し出し、一直線に撃ち放った。


 弾丸みたいに飛んだ石が、男の頬をかすめる。


 男のガードは間に合わない。

 ――けれど、首を傾けて直撃を避けた。


「これでもNDKで最速の称号を持つ女よ。舐めないでくれるかしら?」


 らいこさんは石を足の甲でリフティングしながら笑う。

 そして――連射。


 バンッ! バンッ!


 男は黒い流体を薄く広げ、盾みたいに受ける。石は穴を開けるが、勢いが削がれて床に落ちる。


 でも、そこで終わらない。


 らいこさんは砂利や瓦礫の欠片を爆風で浮かして、爆発で散弾みたいに撃ち込んだ。

 小さな破片が、隙間から突き刺さる。


「ぐああああ!!」


 男の悲鳴。


「くっ……だったら!!」


 黒い壁がうねり、こちらへ飛ぶ。

 僕たちを包み込むように広がって――


「らいこさん!!」


「……大丈夫」


 らいこさんは一瞬だけ僕を見て、にこり。

 そして――


 クル……ドバン!!


 地面に手をついて回転し、手をついたまま後ろへ蹴る。

 足が黒い壁に“飲まれた”ように見えた、その瞬間。


 ドゴオオオオン!!


 爆発。

 黒い流体が花火みたいに弾け飛び、雨の中に散っていった。


 男が距離を取る。

 屋上扉の前へ下がって、淡々と言う。


「……すみませんね。正直、あなた相手だと一人では勝ち目がありません。なので――逃げさせていただきます」


「待ちなさい!!」


 男の背中に黒い流動体が集まり、翼みたいに羽ばたく。

 そして、彼は雨の空へ飛び立った。


 らいこさんは追うために地面を爆破しかけて――止めた。


「らいこさん! 追いかけないと!」


 らいこさんは、ゆっくり振り返る。


「それは、ダメよ。怪我の確認と、君たちの身の安全の確保が優先」


「でも僕は――」


「コラッ」


 ピシッ。


「あいた!?」


 デコピン。地味に痛い。


「私たちNDKは、市民の安全を守るのが仕事なの。悪党退治は二の次」


 そう言って、らいこさんは僕の頭を優しく撫でた。

 ……でもすぐ、眉を下げる。


「それより祈里君。本当に大丈夫? 傷、全然回復してない」


「分からないんです……いつもみたいに、治らなくて……」


「それ、大変じゃない!? すぐ手当てするから!」


 背中の小さなピンクの鞄から、赤い箱――救急キットを取り出す。

 次に、緑に光る軟膏みたいなもの。


 冷たくて、気持ちいい。


「服、脱がせてもいい?」


「はい……ご迷惑おかけします……」


「……なによ。案外胸あるのね、あなた」


「あはは……こんな時にセクハラはよしてください……」


「あら。怪我してる時は笑うのも大事よ。笑顔は百薬の長」


 軟膏を塗り、包帯をぐるぐる巻く。

 すると――目に見えて、体が戻っていく。折れた関節が正しい位置に戻り、薄皮が傷を覆う。


 痛みが、ない。

 骨が動いているはずなのに。


「これで大丈夫!」


「それ、何なんですか……?」


「まきまきさんお手製のNDK用特殊軟膏。毒以外なら、だいたい何でも治る万能治療薬よ」


 らいこさんは誇らしげに箱をひらひら揺らした。


 その間に、先生と警察が上がってきた。

 らいこさんが事情を説明し、学校側は「老朽化による崩落」として処理する方針になったらしい。


「……ごめんなさい。僕のせいで、取り逃しちゃった」


「えっ!? いいのよ、そんなこと。あなたたちが無事でよかった」


 らいこさんは、裏のない笑顔で言う。

 それだけで、胸の暗さが少しだけ薄くなる。


 その時――


「なにより、問題はございません。敵、現在、マスターが追跡中です」


 僕のスマホから、ジンバルンの声が響いた。


「……ごめん祈里君。スマホ、借りてもいいかしら?」


「はい! どうぞお願いします!」


「ありがとう助かるわ……ジンバルン。凛――マスターのところまで、ナビお願い!」」


「承知しました、らいこ様」


 ドゴオオン!!


 爆発音とともに、らいこさんは飛び立っていった。

 雨の空へ。凛さんのところへ。


 そこから、赤髪の少女は保健室へ。

 僕は授業へ戻ることになった。


 屋上階段での出来事は、学校では「天井崩落の事故」として片づけられた。

 僕は、通路が塞がって遅れただけ。疑われることはなかった。


 ――その代わり。


 鏑木さんや日香里さん、志暖さんには、めちゃくちゃ心配された。


 でも、僕はそれ以上に――


(……さっきの声、なんだったんだろう……?)


 雨音に紛れて、まだ耳の奥で、あの囁きが笑っている気がした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ