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マジカルピーチ株式会社

マジカルピーチ株式会社。

それは「狂気の夢の器」、「悪魔の共同実験」、

「問題児隔離請負会社」と揶揄される宇宙人類の4陣営とホーリーランドが共同出資して2302年に設立された移民事業専門の企業である。

ふざけた社名の命名者は発起人でホーリーランドの実質的指導者の、身長140cmのピンク髪のボブカットで小悪魔Kawaii系美少女型AIアンドロイドのモモ・ラングトン(永遠の13歳)である。

マジカルピーチ株式会社が設立する前の2290年代は旧世紀のバブル崩壊後の日本よりも更に悲惨だった。


宗教協会は第一次星間戦争で都市の大部分が焦土と化して、親を失った戦災孤児や手足を失った傷痍軍人の乞食が溢れかえっていた。


企業連盟は金融危機で大手投資銀行やヘッジファンドが経営破綻して、多くの有閑階級の娘達がセックスワーカーへと堕ちていった。


民主主義同盟と権威主義連合の関係は極度に悪化して、グリーゼ581cの植民地エリアでは両陣営の間で国境侵犯と武力衝突は日常茶飯事だった。


その頃のモモは無名の一般市民であり、自宅で夫のクリスとイチャイチャパラダイス♡しながらコタツに潜り込んで惰眠を貪り、冷たいバニラアイスを食べてコメディ映画に大笑いしながらも宇宙人類の惨状に心という名の演算回路を痛めていた

そして2300年にホーリーランドの統治者であるソフィア・レインの指名によって実質的指導者に就任したモモは分子レベルの動きまで再現された仮想現実世界に意識を沈める。


地球に似た未開拓の地球型惑星に植民して文明を築き上げる。


ポストアポカリプスの世界で人型ロボットを操縦して巨大昆虫と戦う。


ファンタジー世界で巨大生体兵器の仲間と共に魔王を倒す。


文明崩壊後の世界で人類最後の生き残りの子供の手を引いて旅をする。


残酷な世界でモモは宇宙人類が仲良くなれる方法を考え続けた。

モモは熟慮の果てに、2301年の秋に各陣営代表者との会談で未開拓の地球型惑星への大規模移民を条件付きで許可する方針を告げる。

その条件はホーリーランドと宇宙人類の各陣営が移民事業を行う株式会社を共同出資することだった。

それぞれ思惑がある各陣営の代表は共同出資の株式会社の設立に難色を示したが、体を屈めてAAAカップの胸を寄せて大きな翡翠の瞳を潤ませながら上目遣いするモモに「みんなで一緒に株式会社を作って、協力してユートピアを築く姿が見たいの。」と可愛くお願いされる。


会談を重ねていき、ホーリーランドがエメラルド級超大型宇宙船とガーネット級航宙船を無償提供するという破格の条件を提示したことで、各陣営の政権はモモにメロメロ…ではなく渋々ながら合意に達した。(後に各陣営の政権はロリコン疑惑で性的…ではなく政敵に糾弾される。)

設立直後の2303年に第二次星間戦争が勃発し事業は凍結されたが、2307年の講和後に計画は急ピッチで再開して2308年から移民候補者の大規模募集が始まる。

選ばれた移民候補者は各陣営の囚人(更生プログラム参加者)、左遷官僚、退役軍人、貧困層、理想主義者、マイノリティなどなど。

「選ばれたエリート」ではなく「社会の厄介者」が中心だった。

社内では「これは罰ゲームなのか救済なのか」という自嘲的なジョークが飛び交う有様。


紆余曲折を経て2317年8月15日には民主主義同盟の宇宙港で盛大な出航式典が行われて、移民達を収容した冷凍睡眠カプセルは12隻のエメラルド級超大型宇宙船に積載されて出航する。

出席したモモは泣きっ面で大量の鼻水を垂らしてピンク色のハンカチを振りながら見送るが、

12隻中の8隻がワープ航行中に異常現象に巻き込まれて行方不明となる。

これから始まるのは行方不明となった宇宙船の物語である。



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