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COSMOS WAR  作者: イチバ
シーズン1 新たなる戦争
4/8

第4話 帝国

1920年某日某時

ルールツ帝国、総合参謀本部…


「諸君。よくぞ集まってくれた」


そう語るのはルールツ帝国皇帝ルールツ5世。


「では、早速戦況報告をしてもらいたい」

「では私から天の川・アンドロメダ戦線について報告致します」


立ち上がった1人の将校。天の川・アンドロメダ戦線統合作戦司令官、ヴァルター・フォン・ヒンデンブルクである。


「第一次天の川・アンドロメダ会戦では我が艦隊の圧倒的勝利を得ました。ついに一歩前進です。アンドロメダ戦線に再突入した今、再び侵攻する時です」


実は第一次天の川・アンドロメダ宣戦の前に、アンドロメダ侵攻と呼ばれる戦いがあった。しかし、これに帝国は敗北。天の川とアンドロメダの間に押し返されてしまったのである。


「作戦はどうするつもりか」

「作戦は連合軍に参戦しているマグダ共和国に攻撃。連合軍の防衛部隊をマグダに向かわせ戦力分散を行い、一気に防衛線を突破します」

「待たれ」


皇帝が話を遮る。


「それはアンドロメダ侵攻で行った事であろう。同じ事を繰り返すつもりか?」

「いいえ陛下。そのようなおつもりはございません。前回の戦いではマグダ共和国が予想より展開が早かったことです。この作戦では第一次天の川・アンドロメダ会戦で使用したシルバーバレット級戦艦をここでも使用します。シルバーバレット級戦艦は長距離射撃と火力に特化した攻撃型戦艦。敵が展開する前に、射程範囲外から先手を撃ち、壊滅的な被害を負わせるということなのです。これにより、連邦やトルキの艦隊は援護として艦隊を送ると推測。特に惑星上の戦闘を得意とするトルキはより食いつくでしょう。この時、機動力を重視した艦隊を防衛線に突撃させます。強引な形ですが、これで防衛線を突破します。突破した後、戦闘機部隊を突入させ乱戦に持ち込み、指揮系統が混乱したその時、一気にアンドロメダ銀河へ入り込む。これが今回の作戦です」


ヴァルターがここまでの突撃型の作戦を練ったのは連邦の支配の体制にある。連邦はアンドロメダ全域を支配しているわけではない。つまり、軍隊が領土の防御に足りていないのである。今戦争も総力戦であるが故、兵士が次々最前線に流れていき、中身はスカスカと言える。

皇帝は表情を硬くさせ、納得しないように見えていた。

この時、皇帝はとある心配をしていたのである。

この作戦、死傷者が多くなってしまうのではなかろうか…。確かに、迂回をすれば他の大量の中立国を巻き込む可能性がある。逆に真正面から突撃をすれば防衛戦で長期化になりかねない。ならば、連合の1つの惑星を囮にし、隙を作る方が良いだろう。だが、この作戦、あまりにも人を資材のように扱っているではないか。


「ヴァルター大将。この作戦の死者はどれほどのものになるか?」

「予想では、10万人ほどであります」

「10万か…。その作戦は実行せよ。ただし!予想の10万人より死傷者を必ず抑えろ。これ以上の大量の死者は、私が許さない」

「…仰せのままに」


この時、帝国では既に、全ての戦線を含め死者が200万人以上に上っていた。この会談中にも死者は増えている最中であり、皇帝はこれ以上死者を増大しては未来に関わると考えたのだ。


「ルントシュテット元帥。そちらの戦線はどうなっておる?」

「はい陛下」


立ち上がるのはマゼラン雲戦線の司令官、ヘルムート・フォン・ルントシュテット元帥。過去に起きた大規模戦争である十年戦争でも名を刻んだ名将である。


「マゼラン雲戦線では現在帝国軍が優勢ではありますが、日々進行する速度は落ちている真っ最中であります。マゼラン大連合軍は大規模かつ強力な防衛線を構築しました。おそらく…しばらくの間、膠着が続く可能性があるかと…」

「しばらくとは?正確な数は分からないというのか?」

「恐れながら…正確には分かりません。我々帝国があの防衛線を突破するまでとしか…」


マゼラン大連合軍はとある作戦を計画していた。膠着作戦と彼らが呼ぶこの作戦は、帝国軍の数を減らし、戦線を動かさず、アンドロメダの方を間接的に援護。挟み撃ちにするというもの。いわば、持久戦である。


「突破するためには、何か戦況を覆す兵器が必要です」

「そうか…。とりあえず、マゼラン雲戦線はこれ以上動くな。死者を増やさないためにも、我々も膠着することにする」


実は、マゼラン雲戦線は戦争初期から進軍できたのは約5光年。帝国からマゼラン雲まで約8万光年。やや優勢としか言えない戦況だった。


「仰せのままに」

「防衛大臣!」

「仰せのままに」

「マゼラン雲防衛線を突破可能の最新兵器の開発を命ずる。1年後までには完成させよ」

「陛下のご期待に添えられるよう、誠心誠意努力させていただきます」

「よろしい。今参謀本部会談はこれを持って終了とする。各自、勝利のために奮闘せよ」

「「帝国に勝利を!皇帝陛下万歳(ハイル・ディア・ジーガークランツ)」」



一方、ヴィーナスでは動力が復旧。非常用電源を手動で起動したのだ。

流石エース専用機。パイロットを簡単には死なせてくれない。


「…よし。とりあえずあの惑星を目指そう」


修理まで宇宙をしばらく漂流していた。

コクピットの中へ戻り、大気圏へ突入。機体が赤く燃えていた。

大気圏を突破。俺は森林の中へ不時着したのだった。


「クソッタレ…この惑星、確かアズトラム帝国だったか」


独立制アズトラム帝国。今戦争では中立宣言を出している。十年戦争後に独立戦争で勝利したアズトラムは当時の影響で帝国主義を貫いている…のだが、あの戦争の激戦区となったここは、ほとんどのアズトラム人が殺されており、生き残ったアズトラム人は火星に移住させた。今いると言われているのは動物やら虫、そして原住民だ。

余談だが、火星は国際法で定められた非武装地帯。攻撃をしてはいけない、安全な惑星だ。これにはわけがある。今から1920年前、人類は宇宙へ旅立った。その時、西暦と呼ばれる時代からコスモス歴と呼ばれる時代に移り変わった。地球(ふるさと)は大量の放射能に汚染され、失った。人類は、新たな故郷を築くために、いつしか放棄されていた計画、火星移住計画を再開。結果、大成功。しかしだ。度々戦争で火に包まれた火星は、ボロボロになり、十年戦争後、宇宙国家連盟が非武装地帯に制定した。こうして、今は安全で平和が訪れている。


「さて…ここからどうするか」

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