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COSMOS WAR  作者: イチバ
シーズン3 コスモスの花
24/30

第4話 太陽系戦線、開戦

トルキ・連邦第1総合攻撃艦隊

空母ニューヘッド

同 会議室


「いいかみんな。空母スティーブンソンは帝国かつ宇宙最大の空母だ。十年戦争に参加した者は親近感が強いだろうが、今や帝国は敵だ。あの空母だけで制空権は掌握できるほどに強力だ」


空母スティーブンソンは空母というより城。見た目は四角錐で、より城というイメージを増している。あの装甲は対艦ミサイルすら無効化する鉄壁で、さらには惑星シールドを改造した世界初の空母シールドを搭載している。空母シールドを搭載できるのはニューヘッドのような普通の空母ではなく、大型で膨大なエネルギーを所持するタイプだけだ。防御と輸送能力に特化したスティーブンソンは、かつて十年戦争では頼もしい味方だったが、今は脅威なる敵なのだ。


「スティーブンソンの破壊方法だが、カタパルトからピラニアの対艦ミサイルをぶち込む他ない。幸い、スティーブンソンのカタパルトは多い。我々のと第2総合攻撃艦隊のピラニアとオニダルマオコゼを全機発進させる。数で勝負だ。シールドの内側まで攻撃機らを護衛、発射を待つ。そして破壊だ。かなり厳しい戦いになるが、諸君らの幸運と健闘を祈る」



エンジン始動。ヴィーナスのフラップを動かし動作を確認。武装チェックも完了。ハッチを閉じ発進準備完了の合図を送る。


<ここからは敵の城下町だ。防御力もかなりのものだろう。自分の命を買うことはできない。だが、相手の命を買うことはできる。1人でも多くの敵をぶっ殺せ!>


カタパルトの信号が青になりクルーが発進の合図を示した。


「ヴィーナス出る!」

<期待してるぜ>


ギュィィィィッとカタパルトのシャトルがヴィーナスを引っ張り宇宙へ放り出す。敵の攻撃は来ていない。先手を取った!

ヴィーナスの画面にスティーブンソンのターゲットマークが映った。全機ピラニアとオニダルマオコゼを囲むように隊列を組んでスティーブンソンへ突撃する。


<敵の艦砲射撃だ!>


今出たばかりの敵艦隊とスティーブンソンの防衛艦隊が攻撃を開始。数多の弾丸が次々と過ぎ去り、コメットやオニダルマオコゼを撃ち抜いて行く。幸い、速度の速かった攻撃機であるピラニアはかろうじて避けている。


<見たことないデカいやつがいる!>


確かに、シルバーバレットⅡに酷似した戦艦らしき艦がいた。


「…シルバーバレットⅢ級かもな」

<ありえそうだぜ!>


シルバーバレットⅡ級の後継だろうか。だが、見た目だけでやばい奴なのは理解できる。

シルバーバレットⅢ級がこちらに主砲を向けてきた。設計は今まで通り、艦の下に主砲を取り付けている…が、奴はその火力が桁違いだった。


「全機回避行動!」


一瞬の異常なまでに明るかった閃光は一直線に伸び味方のロンギヌス級に直撃。さらにはそれを貫通しイゴルカ級数隻に風穴を開けた。ニューヘッドはギリギリで避けたようだが、右舷が焦げていた。


「…嘘だろ…」


ロンギヌス級は爆散した。


<…陽電子砲(ポジドロンキャノン)だ!>


陽電子砲。レーザー砲の完全な上位互換で、各国が開発に困難を極め今まで開発した国はなかった。しかし、帝国はそれをやってのけた。


<どうすればいい!あんなん放置してりゃニューヘッドだって…>

<わかんねぇよ!>

<先に目標が大事だ!>

<でも帰れなくなるぞ!>

<やっぱり陽電子の野朗をやるべきだ!>

<落ち着け!落ち着くんだ!>

<できるかよキング!>

「全員聞け!」


無線は混乱状態をなんとか収めようと、俺は命令を出した。


「あの火力を放つんだ。絶対に砲身の冷却は必要不可欠だ。次の発射までスティーブンソンを破壊すればいい」

<そうかもな。別部隊にシルバーバレットⅢの時間稼ぎをさせよう>


キングの賛成でコメット数十機がシルバーバレットⅢ級の下へ向かって行く。俺らはスティーブンソンの破壊を任された。


一方、攻撃を受けた艦隊も大パニックに陥っていた。陽電子砲により第1総合攻撃艦隊には電磁干渉が発生し無線が使えなくなっていた。電気信号を送ろうとしているが、陽電子砲の電磁パルスは強力で電気すら使えなくなっていた。つまりである。一部の艦隊は電力を失っており宇宙の最中で停止してしまったのだ。空母ニューヘッドも同じで、甲板では緊急用のネットが配置された。指揮統制が崩れた連合は、一部が突撃を開始し艦隊戦を繰り広げた。さらに、これを幸と見た者たちがいた。

帝国宇宙軍代表の艦隊、ナガト大提督率いる第1太陽系艦隊である。

第1太陽系艦隊は隙をつき、突撃した艦以外、停止してしまった艦に艦砲射撃を開始。その弾幕は圧倒的で、ついには空母ニューヘッドも轟沈してしまったのだった。


それを見た戦闘機隊は死の覚悟を改めて決めた。だが、誰も弱音は吐かなかったのである。


大量の帝国軍機が襲いかかる。皆が巧みな技でセブンスターズやロッドを次々と撃ち墜とすが、やはり新型のフィクストスターには苦戦しており、ピラニアが墜とされて行く。


「この野朗ッ…!」


瞬間、ヴィーナスが唸った。それはリミッターが外れかけているという意味。


「ダメだヴィーナス!抑えるんだ!」


もしここで暴走すれば、自らの命どころか味方全体を危機に陥れるかもしれなかった。今はその時ではないのだ。

よく狙って発射。フィクストスターが遅くなる旋回時を狙い撃つと見事命中した。

空母まで後もう少し。

最後の群勢が現れ、空母を墜とすまいと一斉に攻撃を始めた。


「喰らえ!」


ヴィーナスの50連装クラスターミサイル2つを発射。さらに誘導ミサイルを発射し敵を葬って行くが、6機ほどが生き残った。爆発から突っ込みヴィーナスを狙ったのだ。


「しまった!」


その時、突撃して来ていた連邦のイゴルカ級が対空機関砲で2機のロッドと4機のセブンスターズを撃墜した。

チャンスだ。生き残ったピラニアを率いてシールドを突破。スティーブンソンの対空兵器を他のチェスピースの隊員が潰して行く。


「やったぜ!命中だ!」


ポーン01が対空兵器を潰す中、小さな光がスティーブンソンから出て行くのを見た。弾丸が反射したのかと思いそのまま通り過ぎたが、この行動が生き残った味方艦隊を恐怖に包むことを彼は知らなかった。

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