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COSMOS WAR  作者: イチバ
シーズン3 コスモスの花
21/30

シーズン3 第1話 48時間前

1922年を迎え約2日経った頃、太陽系へ到達。ついにルールツ本土が見えたのだ。

この時点で双方の犠牲者は推定1億3000万もの命が散り、ブレーキが今きいてきたというべきか、それともアクセルがさらに踏まれたかは分からない。ただ1つ、終戦こそが緊急ブレーキなのは確かなことだ。

さて、太陽光戦線最初の戦闘はオールト雲大宇宙会戦と呼ばれるものだった。

オールト雲とは太陽系を囲むように存在する、ほとんどが氷で構成される天体群だ。これは太陽系の最前線の要塞で、多数の天体には帝国軍の対空兵器と戦闘機が配置されている。

これを突破するのは一部の場所に艦砲射撃を集中させ穴を作ることだ。だが、ただ穴を作れば良いのではない。円盤状のオールト雲の中にさらに太陽系を囲むエッジワーズ・カイパーベルトと呼ばれる天体密集地域がある。円盤状のため上はガラ空きだ。このカイパーベルトさえ突破すれば帝国本土へ直進できる。

この艦砲射撃はカイパーベルトの上かつ帝国本土へ直進できる場所へ向かって放たなくてはならないのだ。

そして、そこに俺たちチェスピースが突撃する。先手を切り開くのだ。



オールト雲外宙域

ダーツ作戦開始48時間前

トルキ・連邦第1総合攻撃艦隊

空母ニューヘッド

同 某廊下


「連邦が合流したなら戦力はさらに倍だなキング」


トルキのロンギヌス級1番艦ロンギヌスの横に並ぶのは連邦の最新型軍艦、イゴルカ級ミサイル駆逐艦である。

イゴルカ級ミサイル駆逐艦は対艦ミサイル、空対地ミサイルを大量に搭載した兵器で、帝国の地上を焼き尽くすことを目的としたものである。ミサイルの雨を放つことができるイゴルカ級は、安価なため大量生産も可能だった。


別部隊のキングの友人がキングに向かってそう言うが、彼は険しい表情を浮かべていた。

何せよ、完全な数での勝負になった以上、犠牲者をさらに増やすことになるからだ。今まで死者がいなかったチェスピースだが、オールト雲やカイパーベルトを超えることができても太陽系という最後の戦線を乗り越えられるかは分からなかった。徐々に帝国は押されてはいるものの、生産工場は未だ稼働し資源もある。太陽系という狭き空間で戦うとなれば、誰かが死ぬのは何となくは感じてしまった。


「連邦の合流…か」

「作戦開始12時間前にはマゼラン雲大連合軍も合流するそうですよ。マゼラン雲方面も帝国は失敗に終わったそうです」

「12時間前とは、連邦と比べて随分と遅いな」

「マゼラン雲の国々は防戦一方を古くから得意とする所です。長距離移動は重要視されてないんですよ」


同 食堂


「「「カンパーイ!!!」」」


実は今日、トルキ建国記念の日。48時間前ということで酒も許された。自由参加だがほとんどの船員が集まった。今日が最後の宴になるだろう。パレードのような派手な祝いではなかったが、それでも心を一休みさせる、人生のソファとなったのは確かだ。


「トルキ万歳!」


皆、分かった程で行なっていた。

誰かが死ぬ。誰かが貧乏くじを引く。自分かもしれない。


「諸君、注目!今から名を呼ばれた兵士は取りに来い!」

「手紙だ!」

「俺の名前はあるか?」


俺も、分かっていた。


「おいクイーン。そんな暗い顔すんじゃねぇぜ」

「そうだぞクイーン(お姫様)

「誰がクイーン(お姫様)だ」


チェスピースのパイロットたちが絡んできた。

確かに、ヴィーナスという白馬の王子に選ばれ、それについてきたという意味では、都合の良いコードネームだ。


「…そんな落ち込んで、どうしたんだ」

「…お前らは、死ぬのが怖くはないのか?」


俺が一番恐れていたのは、自分が死ぬ事だった。戦場でたくさんの死人を見て、殺しもした。だが自分の番は怖かった。パイロットが宇宙で死ぬ瞬間、それは声もなく塵になる。正確には他人には聞こえないということ。それがどうしても怖い原因だった。


「そりゃ怖いさ。だがな、今は戦うしかねぇんだ。だって、戦争だぞ?」


"戦争だ"。この言葉が呪いのようだ。この呪いの言葉は何だろうと正当化させ、納得させる。でも、この言葉に対する言葉は存在しないのが現実。


「…そうだよな…」

「だから、今を最高に楽しむんだ。恐怖なんてものは考えねぇ。それが一番だ。そうだろビショップ02?」

「そうだそうだ。まぁ正直、俺は愛機と共なら死ぬなら本望だ。宇宙でひとりぼっちで死ぬより、ここまで一緒に来てくれた機体と死ぬなら寂しくもない。クイーンもヴィーナスがいる。あいつも同じように思ってるかもしれないぜ」


皆、怖い。

だが、それを一時的に打ち消せることがあるんだ。俺の場合は、ヴィーナスの強さに浸っている時だけ。でも、それがあるだけマシなのかもしれない。


「そうか…。そうかもな。すまない…こんな時に」

「いいってことよ。それにな。チェスってのは1つ1つの駒が大事だから、俺らは仲間を守る義務がある。お前のことは最初は気に入らないかったが、常に最前線を突っ走るの見て気に入った。みんなそう思ってるさ。クイーンの資格がある今、あんたにも俺らはついていくぜ」

「…ありがとう…」

「よし!解決したところだし、飲むぞ!」



帝国本土

参謀本部

作戦会議後


「新たな部隊…これではほぼ玉砕と同じでは?」


1人の司令官がそう語った。話し相手は元天の川戦線方面司令官、アウグストである。現在は移転しルールツ領金星帝国の防衛司令官に着任していた。


「全くだ…。ジェットパックを背負い宇宙を駆け巡り、突撃で押し返す部隊…狂気の沙汰だ。しかも兵士のほとんどはまだ20にも達しない者だぞ」

「例のジェットパックも急遽開発された物で、訓練では事故も多発したとか」

「上はこんなものまで開発したのだ。高機動突撃隊とECW計画の兵器に期待しよう」

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