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COSMOS WAR  作者: イチバ
シーズン2 チェックメイト・カンパニー
17/20

第9話 秘密兵器たち

1920年末期

トルキ諸国

同 本土



トルキ諸国はトルキ共和国、トルキ民主政自由国、トルキ・ユーティリタリアニズム国の3カ国で構成されている連邦制の国家である。戦時下に置かれた今、トルキの兵士たちは異常な勢いで消えていき、毎日のようにこの国から兵士と兵器が飛び立っている。

しかし、それを良しとしない者たちも多い。


「「「戦争反対!戦争反対!」」」

「トルキに自由を!」

「兵士は資源ではない!」


そう、国民である。

国際緊張の急激上昇からを含めれば1918年からは4年、開戦は1919年からで計ると既に3年を迎え、最初にあった戦争主張(バトル・ムーブ)から今では平和主張(パクス・ムーブ)に変わった。国会議事堂や政府機関の周辺では反戦運動が活発化し、毎日繰り返しデモ隊と暴動鎮圧兵による小競り合いが起きていた。

これは犠牲者を含め、物価上昇に徴兵制の導入が原因である。徴兵制に関しては、1920年中盤から導入され、共和国、民主政自由国、ユーティリタリアニズムという3つの言葉と制度に完全に矛盾するシステムであり、人権侵害だと訴える者も多くいた。

諸国政府の会議はドタバタを極めたのだった。


国会議事堂

トルキ諸国代表者評議会戦時下会議

同 第5小会議室


特殊部隊(スペシャル・フォース)?」

「そうだ。かつての十年戦争中から派生し誕生したエース飛行部隊チェスピースは多大なる良き戦果を残した。だが、これは宇宙だけだ。陸を十年戦争と比較すれば、ロケットランチャーと陸上兵器が変わっただけだ。戦法は一切変わっていない。ただ、今から大きな変更をするのは難しい」


なぜなら、徴兵制で集めた兵士の対象年齢は15歳から40歳までであり、訓練も十分に受けていない上に生き残れる日数も少ない。こんな状態があるというのに戦法を改正すれば混乱が巻き起こると考えたからだった。


「そこでだ。特殊任務専門、つまり破壊工作やら潜入やらを行う部隊を作れば良い。彼らだけは訓練の時間を費やすことはできる。それに少人数なら連携も上手くいくだろう」

「…少数精鋭、か」



1921年

天の川戦線

前線

某惑星



輸送艇が濃霧の中に着陸。小隊を輸送しすぐさま離脱した。


「こちら−01(マイナス・ゼロワン)。任務開始」


トルキの一般兵士の軍服とは違い、ヘルメットに黒いネッシーの絵が描かれた兵士たちが現れた。人数は7人で、1人はショットガン、もう1人は軽機関銃。他はアサルトライフルを所持していた。

各自にはコードネームが割り振られ、隊長のエイベル、副隊長のベーカー、他の隊員はチャーリー、ドッグ、イージー、フォックス、ジョージだった。

彼らこそ、トルキ諸国代表者評議会戦時下会議で極秘で設立された特殊部隊、"エンジェルズ"である。


トルキ兵の死体が転がる濃霧は不気味さを増し、恒星も沈む中、暗闇が広がっていた。

赤錆まみれの戦車や装甲車が鎮座する近くに、帝国語が聞こえてきていた。


「例の塹壕を発見」


エイベルが指で合図をし、ゆっくりと近づいていく。


「ユンカース、火貸してくれ」


ユンカースの返事は返ってこない。


「ユンカース?」


霧から飛び出てきたチャーリーが帝国兵の首を斬り始末する。


「ユンカースとやらの死体も隠しておけ」


そのまま塹壕にいる帝国兵数人を始末すると、増援信号を発信。

宇宙にワープしてきたトルキの主力艦隊が交戦を開始すると同時に、空母から輸送艇と戦闘機、攻撃機が発進し、惑星に向かって大気圏への突入を開始した。

塹壕内にサイレンが鳴りサーチライトが点灯。帝国が鹵獲したトルキの対空機関砲と高射砲、対空戦車が上を向いた。

その瞬間を待っていたエンジェルズは一斉に塹壕を走る。慌てふためく帝国兵たちを射殺し、対空兵器についていた帝国兵たちも次々と撃たれ倒れていった。


「やめてくっ…」


容赦なく防空壕にいた兵士たちも射殺。司令官をひっ捕えた。


「こちらフォックス、司令官を拘束。増援に対処は頼む」

「ここは増援に任せるぞ。我々はヴィーナスの元へ向かう」


ヴィーナスの墜落現場では、パイロットの姿は見つからなかったが、血がとある一方向に続いていた。

血を置い、森へと入っていった。



一方、彼は追い詰められていた。


「…こいつは…」


そこにあったのは十年戦争中、帝国軍が運用していた特殊戦闘スーツの1つだった。そのスーツはRPS-1904 ドラゴンフライというもので、突撃兵が着ていた。全体的に非常に硬い防弾仕様で、最大の特徴はバックパック。このバックパックにはアドレナリンと鎮痛剤が入っており、バックパックと繋がっているチューブを使って首に刺し注入し続けるのだ。まさに突撃と死への恐怖を打ち消すようになっていたシステムである。十年戦争がどれほど最悪だったのかが感じられる。

俺はチューブを脈に刺し注入。部屋から飛び出し、必死になって奴から逃げた。


「退け!ゾンビめ!」


元来た路に向かって走る。


「動くな!」


前からライトを照らされた。


「こちらドッグ、パイロットを発見」

「それどころじゃない!後ろを見てくれ!」


後ろからゾンビ共が一斉に向かってくる。


「なんだあいつら!」

「わからない!だが奴らに弾丸は効かない!今は逃げるんだ!」


俺の目の前にいるのは帝国兵かトルキ兵なのか、はたまた原住民なのかわからないが、助かるにはついていくしかなかった。


「グレネード!」


グレネードを投擲し、一部のゾンビたちは肉片となる。どうやらあそこまで破損すると復活できないらしい。

俺は兵士たちに肩を貸され、何とか地上まで戻ってきたところ、下からゾンビたちが追跡してきていた。


「燃やせ!」


火炎放射兵がゾンビたちに向かって炎を出した。その炎は地獄の業火の如く奴らを燃やし尽くし、破壊したのだった。

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