第6話 トルキの秘密
「お爺ちゃん!できたよ!」
研究室では白衣を着た1人の老人と少女が研究を行なっていた。
「…これは?」
「子供が遊べるシューティングシュミレーター!プロパガンダにバッチしだよ!」
「うーん…採用ッ!」
この研究者達はこの研究所で最も頭が狂っている人だと評判な者達だった。しかし、同時に天才としても評判を受ける。なぜなら、S.R.S開発の主導は彼らなのだから。
「うぁぁぁぁぁっ!?お爺ちゃん!妖怪がいるー!」
「うがぁぁぁぁぁっ!?…って、人間じゃないか!大丈夫か!今助け出してやる!」
義手でグレーチングを外し、人工呼吸をしよとした。
「…これワシじゃなくてお前さんがやった方が…」
「んなわけないでしょっ!それに私まだファースト残ってんだから!」
「ごめんな若造…」
必死に人工呼吸をすると、目覚まし廃液を吐き出す。
「おぇぇぇっ!」
不味い…それになんだかヌメヌメする…。
「無事か?」
「はい…おかげ様で…救っていただきありがとうございました」
俺の目の前にいたのはS.R.Sの開発者、パワード・ホイッスル博士がいた。
「…パワード・ホイッスル博士!ちょうどよかった!聞きたいことがあるんです!」
「おおぉ…ワシも聞きたいことが山ほどあるんじゃがお先にどうぞ」
「ヴィーナスのリミッター解除方法はどうやるんですか!?」
率直に俺は聞いた。何時間、何分かかっても構わない。戦争勝利のためならなんでもしてやる!
だが、回答は俺の予想とは真反対。このやりとりを待っていたかのようにニヤリと笑い答えた。
「ヴィーナスのS.R.Sは精神と機体内部を繋げるシステム。精神は怒りを認識すると体の防御と攻撃の反応が一時的に格段に上昇する。これを利用し、怒りを最大限に高めればリミッターはパイロットのストレス軽減のために解除し、機体を怒りに任せるのだ。これがリミッター解除の仕組みだが、解除すれば速度は無限に上がり、反応速度も無限にあがる。ただし、体はついていけずGショックや神経細胞の損傷、うつ病にもなる。まさに、諸刃の剣というわけだ。これはまさに完璧な解答だろう?」
「ありがとうホイッスル博士!」
俺は施設を飛び出した。
「…お爺ちゃん、あれ、国家機密…だよね?良かったの教えて?」
「彼がそうしろと言ったんだ」
「?」
さて、目的は達成!このまま無事に帰ってやる!
ドスンと、誰かにぶつかった。
「前を見てあるけ」
MP…あんまり相手にしたくはないんだが…。
「なぜそんなに濡れてるんだ?怪しいぞ。身分証を見せろ」
「…退け!」
MPを押し除けて俺は一気に走った。
「侵入者だ!ドアを閉めろ!」
防火扉が上から下がってくる中、スライドしつつ廊下を駆け抜ける。
「あいつだ!追え!追え!」
クソッタレ!どこもMPと哨兵だらけだ!正面から出るのは判断ミスったか!とりあえず今は走り続けるしかない。
窓ガラスを破り外へ出ると、バイクが置かれていた。
「ラッキー!」
バイクを盗み検問を突っ切って道路を走る。
「こちらクイーン!今から帰るぞ!任務達成だ!」
<了解!作戦通り合流地点へ来てくれ>
突然、サイレンが街中に鳴り始めた。俺への指名手配かと思ったが違う。サーチライトが点灯し空を見上げているのだ。
サーチライトが捕まえのはRRB-88 スペースシャーク。帝国の空襲だ。
「クソッ!あいつは俺らだけで追うぞ!」
検問所にいた哨兵がバイクに跨ぎ追いかけて来る。
サイレンが鳴るこの街でカーチェイスを行い、避難する民間人を避けつつ合流地点へ急ぐ。
「避難民が多すぎる!」
哨兵はサブマシンガンを取り出し空へ放った。
「どきやがれ庚倜人め!」
あまり人道的ではないが、避難民を壁にするしかない。どちらにせよ、あの避難民達は助からない…かもしれない。
「追え!」
まだついて来るか…!
1人の哨兵が避難民を轢きそのまま道路に吹き飛ばされ、もう1人もその事故に巻き込まれる。
追手は後2人…!
俺は小道に入り合流地点までショートカットを試みる。
「逃すな!」
バイクを運転しながら狭い路に入る。哨兵が追いかけてくると、バイクからジャンプし壁に足をあて哨兵を股から潜らせた。
「しまった!」
人1人分の幅ぐらいしかないこの場所で走りながらバイクの方向転換は不可能。奴はもう追ってこない。
そのままは俺は外壁に登り民家の屋根に登ろうとする。
「捕まえた!」
「しまった!」
最後の1人が俺の足を掴んだ。
「離せ!」
スパァンッ!と、哨兵が頭を撃ち抜けれた。
<ルーク01。1人殺した>
「すまない!ありがとう!」
ルーク飛行分隊による狙撃…!
<合流地点はすぐそこだ>
降って来る爆弾を背に走り合流地点まで走り、ついにみんなが待つ輸送艇へ飛び乗った。
「あとはルークだけだ!」
ルーク飛行分隊が合流。ハッチを閉め、離脱した。あと少し遅ければ爆弾が降ってきていたことだろう…。
「…長い夜だった…戦争の夜よりも…」




