開始シナリオ2 お下劣の覚醒
1918年(大正7年)11月11日史実と同じく戦争は終わった。史実と同じ幕切れである。
日本帝国の介入は史実を曲げる事は無かったのだ。
だが一つ幸いな事がある。
少なくとも泥濘の中で死ぬ筈であった数万人規模の連合国兵士が故郷に帰る事ができ、その何倍にもわたり残りの人生を戦傷に苦しむ筈であった人々が救われたのだ。
まあ、故郷に戻った後、禁断症状に苦しめられる者、銃後の妻や恋人に特殊プレイを迫って捨てられる者が続出した事も確かではあるが、そんなどうしようもない人々は極東を目指して旅立ったので良しとしよう。
なお、日本帝国の捕虜となっていた青島のドイツ兵たちは殆どが日本に帰化した事も述べて置きたい。彼らの終戦までの日々は「極東のソドム」「バルトの狂宴」としてドイツ本国で出版され、ドイツの青少年の股間を熱くさせた後ナチス政権下では発禁処分されている。
さて、史実と同じく敗戦国に対する制裁は苛烈な物であった。「馬鹿の様な賠償金を吹っ掛ければドイツは必ず復讐しに来る」「ドイツ本国は無傷なんだぞ!インフレーションで激安になったドイツ製品が欧州を席巻する!」「敗戦国が赤化する!爆弾こさえるな!」
等の冷静な意見はあったが脇に追いやられた。仕方がない事なのだ。長い長い戦争で無傷な者など一人もおらず、誰しもが目先の利益に捕らわれていた。
ベルサイユで行われた講和会議の内容はその最もたる例であろう。破壊された欧州の秩序回復、世界経済の立て直し、平和維持機関の創設、聞こえは良い、しなければならない課題だと言う事も良くわかる。
だが結局の所、利権を巡っての嚙みつき合いである事は事実であろう。第二帝国は狼達に噛みつかれ貪られたのだ。
我らが日本帝国は史実と同じく、いやそれ以上に胸を張ってこの饗宴に参加した。それはもう意気揚々と参加しその胸は豊満であった。
そしてパニック発生である。読者諸氏は一連の日本帝国の頓智気に説明は付いており、尚且つ当事者ではないので笑って見て居られるだろうが、この世界の住人たちはそうではない。
大挙してベルサイユの地に来訪した日本帝国交渉団の実に三分の二が見目麗しい美少女or美女であり、
「あっタイピストの方々は議場に入れませんので」
とやんわり断ろうとしたところ
「私が全権の西園寺だ!バカにするな!クレマンソー君を呼べ!」
と怒鳴ったのだ。
これが日本帝国の頓智気事象を世界が認識した初の出来事となる。何故に世界は此処迄理解が遅れに遅れたのであろうか?
この時点で数千万日本国民の実に三分の二が女性に変わり、男子出生率は駄々下がりに下がると言う、一見では馬鹿らしくあるが、下手をしなくても国家消滅の危機レベルの疫病の蔓延である。気付いて良い筈だ、日本には少ないない数の外国人が居住し、各国共に大使館を置いているのだから報告しない方が可笑しいし、職務怠慢も良い所である。
中に居る者全てが「オラッ催眠」を食らっていたとでも?
そう食らっていたのだ。何も列島を襲っているのはブレイン仲良しだけではない!列島は空間事認識改変されているのだ!驚きの新事実である。
列島を覆う異常気象はその余技でしかない、正にディメンション仲良し!種付けオジサンレベル999!時間停止物の9割はやらせであるが、日本帝国は一割の本物に国土領海事、ねちっこくリンパを解されている!
これでは内部から正しい情報を発信出来よう筈もない。例えるなら内部の外国要人たちは、定価1500円、セールで900円のエロ同人因習村に捕らわれているも同じである。
ど田舎なのに電波妨害施設を有しており携帯は通じず、どう考えても警察の一斉摘発を受けて壊滅する筈が何故か無事、限界集落の村人は精力絶倫爺&親父そしてムッキムキオジサンのアレ!
物好き旅行大学生は即仲良し!未亡人は「あなた御免なさい」何であれば何故か頻繁に移住者まで来るアレ!県警は何をしている!警棒と盾で踏みつぶせ!検挙しろ検挙!マスコミ!報道しろ!
そんな村からやって来たのが日本帝国代表団である。
パリ講和会議が一時中断した事はやむを得ない事であろう。
当然なのだ。この世界では日本帝国は最盛期で十万を超える人員を欧州に派遣しており、その殆どが動員された各国兵士と濃厚にズコズコしている医療従者と娼婦兼後方要員である。
もしもそれが列島で猛威を振るうスペイン風邪の変異種を持ち込んでいたとしたらどうであろう?疲弊した欧州各国は女だらけとなり国家は機能不全となるは必定である。
「「出てけ淫売!帰れ疫病神!」」
と各国言いたくなるであろう。
その性で会議は一時中断、各国(敗戦国もである。ソ連は拒否された)日本に調査団を派遣する事態となった。
だが不思議な事に凡そ二月の調査で打ち切られる。結果は問題なしであった。
なんとも不可思議である。一説には調査団は日本帝国到着直後に温泉地に拉致され、そこでとても口に出せないような肉欲接待攻勢を受けたと言われているが、それは戦後間もない混乱の中での風聞の類であろう。
分かる事は、ただ調査団代表であるイギリス医師団による。
「「えがった~」」
と言うコメントのみが残されているばかりである。同盟国とは有り難い物なのだ。
この様な混乱はあったが、会議への参加を許された日本帝国は史実と違い大いに発言している。史実に置いては、会議中に使われた公式言語がこれまでのフランス語から英語に変わった事もあり「サイレントパートナー」等と呼ばれる有難くない名前を頂戴してしまったがこの世界では違ったからだ。
この世界では長らく欧州に滞在した人員が豊富であり、その全てと言って良い人員が英語を含む各国言語に熟達していた。
真に「ベットの中」の学習は最良の学習であると言える。
余談として二月の会議中断の間、西園寺公は旧友であるジョルジュ・クレマンソー、フランス首相と友誼を熱烈に確かめ合い。随員の外交官も積極的に活動していたとされる。
また余談として。パリでは戦中に設営された日本人専門の高級娼館に於いて貴族然とした高級娼婦にドはまりして「もっと貢いで下さればワタクシ貴方様に嫁ぎますわ」と言われて大散財し遂には刃傷沙汰を起こしたフランス軍将校の逸話や
「こいつは俺がロンドンに連れて行く!引っ込んでろ田舎者!」
「フザケンナ!こいつは俺の物だ!アイダホの母ちゃんに紹介する!」
とイギリス高級将校とアメリカ将校が決闘騒ぎを起こし、間でニヤニヤしながら葉巻を燻らせる娼婦の目撃情報の逸話もあったとされる。誰なんだろう?
ともあれ、日本帝国代表は大いに気張った。
斜め上であったので、各国大いに困惑したが
「詰まり、我が国は人種間の不平等を是正したい訳であります、我が国の提案が否決されると言うのであれば、是非にでもこの譲歩案を飲んで頂きたい」
「あのですなMrs、、、Mr西園寺、、それは分かりましたが、それと今の発言のどこに関係があるのですか?」
フンスフンスと鼻息荒く発言した西園寺帝国全権に議場の人々は困惑していた。会議は初期の混乱はあったが概ね順調に進んでいたのであるが、日本帝国が是非にも提案したいと言った、人種差別撤廃案を巡って対立していた。
飲める訳はないのだこの様な提案は、白豪主義を掲げる国家を内包する英国は特にである。だからこそ会議は荒れている。其処に日本が譲歩する事は強硬な姿勢を崩さなかったこの非白人国家も諦めたと言う事なので喜ばしい事ではある。
だがその主張が良く分からない。
「人種間の融和の歩進を図る為、自由恋愛を保証して頂きたい。国家が個人の恋愛事情に干渉する事はあってはならない!国家間の人種争いを解決できないのであれば先ずは個人!ラブアンドピース!平和は愛から!」
ホントに分からない。この女共気が違ったのでは?その他の議題は真面目に対応しているが、何か変な所でアクセルが掛かる。フランス代表とイタリア代表が頷いているのも不気味だ。
英国代表ロイド・ジョージ首相は目の前で胸を張る女と、如何にも彼女の胸に目をやっている時が多いフランス代表が信用ならない。後、彼女に熱視線を出しているイタリア。
だが早くこの茶番を終えたいのも本音である。日本の性でやたら長引いた事もあり、本国もピリピリしている。
もう良いだろ正直。譲歩するならばそれで良い、警戒レベルが上がってきたこの極東の小国が満足するならば意味の分からない文言を入れるくらいは
疲れが溜まっている。会議中始終日本側から頭が痺れる様な甘い匂いがしているのも気持ちが悪いのだ。お陰で老いた身でありながら体の一部が元気になって困るマジで困る。
「分かりました。それで貴国が満足されると言うならば検討致しましょう。皆さんもそれで宜しいですかな?」
ため息を付きながら議場を見回す。アメリカ代表は不満顔だが、これ以上植民地人の内政に付き合いきれない、ここは強硬にでも決めてしまおう。
すったもんだは在る物のこうしてベルサイユ講和会議は終わった。史実と同じく日本帝国の悲願、人種差別撤廃案は否決されると言う形ではあったのであるが。
だが「今次大戦の悲劇に鑑み、人種間の融和と友愛を歩進し、未来ある男女の自由な関係を各国は保護する」
と言う文言は採択された。
一見意味のない文言であるが、これは日本帝国に取って紛れもない外交的勝利であったと言える。そしてそれは太平洋を挟んだ二つの国家に深刻な対立の萌芽を産む前触れでもあったのである。