愛国(メスブタ)行進曲
「FOXしないと出れない空間です閣下」
「はぁ?」
合衆国の大統領補佐官からはこの先、永遠に出る事はない言葉に対して、合衆国の大統領が応える事ができた言葉は、気の抜けた物でしかなかった。
それほどに間抜けな物だったのだ。
突然の、そう突然の通信途絶、淫乱邪悪な娼婦の列島に攻め寄せ、皇帝の宮殿に星条旗を掲げた筈の史上最大の軍隊はキッチリ24時間前にその全通信を絶っていた。
当然の事ながら、合衆国のみならず、日本帝国に止めを差すべく弧状列島に派兵していた連合各国は大混乱に陥っている。そのまとめ役である大統領は眠れぬ夜を過ごしており、睡眠不足に痛む頭と、キリキリと締め上げる胃を抱えて臨んでいる対策会議の議場で聞きたい言葉でではなかった。
大統領補佐官の方でもそれは当然に分かってはいる。
だが言わざるをえない。この混乱の中、やっとこさ掴んだ正確な情報なのである。であるから補佐官は、今度はもっと正確に、もう一度忌まわしい言葉の繋がりを口にだした。
「閣下、落ち着いて聞いて下さい。つい一時間程前に日本帝国本土から全世界に向けて放送があったのです。今、日本列島並びに、彼女らが絶対国防圏と称していた領域はFOXしないと出れない空間になったと」
補佐官のその言葉が終って後、しばらくの間議場に気まずい、気まず過ぎる沈黙が降りた。日本帝国との戦争が始まってよりひましに増えていたタバコに紫煙のみが静かに天井に上っていく
そして憤怒の色彩を帯びた声が大統領から発せられる。
「詰まり…アレかね?侵攻部隊の連絡途絶の理由はそれだと?」
「はい」
「私の理解ですまないが、もしかするとその空間とやらは性的接触を持たないと一歩も外にでられないと言う事かな?」
「はい」
「ふん、ふん、それでは百万を優に超える軍隊とその装備は日本の手に堕ちたと言う事なのかな?」
「はい、内部の侵攻軍は抵抗するでしょうが、彼女らと、、その、、性的接触をしないといけないとすれば、補給の無い状態では何れは…」
「ふーん、そうなんだ。アレだね私らアレだよ。貢いだ訳だ。船も飛行機も兵隊もぜ~んぶあいつ等にくれてやったんだ。はっはっは、面白いね!もしかして原爆もかい?」
「沖縄とも連絡が付きませんので、残念ながら」
「ほーん。それは大変だ!私ら丸裸だ!ソ連は喜んでんるんじゃないかね?」
「モスクワからは何も」
「いや分かるよ。私には分かる。私が筆髭ならすぐにでもフランス目掛けて進撃するね。ふ!ふふふふふふふふふふふふふふふふふふ」
暫くの補佐官とのやり取り、それは爆発まじかの爆弾であった。
そして爆発した。
「ファー――――――――――――――――――――――ック!サノバビーーーーッッッッチ!どっちらけだ!クソがああああああああああああああああああああああああ!クソクソクソクソ!やりやがったな!クソアマ共がーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!」
大統領は手じかにあった水差しを勢い良く床に叩きつけ、書類をぐちゃぐちゃにし、椅子を持ちあげ窓に投げつけるとその勢いで沈黙を保っていた、否、怒りが自分に向かない様に黙っていた陸海の長官とその補佐官に怒鳴る。
「B36!!!!」
「サイパンに殆どが駐機していた為に出せる機体が、、、本土にある分と生産している機体ではパイロットの養成に時間が…その…」
「潜水艦!!!」
「トラックに派遣していた部隊に進出を指示しましたが、海底まで続く壁の様な物に阻まれ戻ってきました。大西洋艦隊を回すにも時間がかかります」
「陸軍!!!」
「ヨーロッパに展開している部隊を抽出は先ほど閣下が申された通り不可能です。いつソ連が動くか分かりません」
「ではどうしろと言うんだ!我々は百万の若者を魔女どもの窯の中に投げ込んだままなんだぞ!」
「後方要員を含めるとその倍は…」
「そんなこたぁ分かってんだよ、この無能ども!どいつもこいつも無能だ!有権者も!ルーズベルトも!私も!ほっときゃ良かったんだ!FOXしか考えてないメス共の相手をした事が間違いだったんだ!さっさと講和してりゃあこんな事にはならんかった!」
「大統領それでは余りに…」
「うるへぇ!終わりだ…直ぐにマスコミはこの事を嗅ぎつける。そうなれば大統領弾劾だって考えられる。中継ぎでしかない私がなんでそんな不名誉を…」
そこまで言って大統領はドサリと倒れた。血圧が上がり過ぎたのであろうか?
「閣下ーーー!」
「誰か医者を呼べ!早く!」
大統領閣下が退場されたので時を巻き戻そう。
「おせっせしないと出れない空間」とは何であろうか説明せねばならないからだ。
1946年 夏 太平洋戦争を終わらせる衝撃的な展開は歳に似合わぬマック君の三発目が終った所で、息を荒げた東京ローズにより告げられた。
「ふぅ…マックちゃんったら激しい♡では発表しまーす!あのねぇお空を見て」
ローズの言葉、その言葉がラジオから流れた次の瞬間、松代から放たれた一条の閃光、これまで貯めに貯めたオルゴンのぱぅあーがかの方から離れ、空は一点俄かにかき曇り、ケバケバしいオーロラに包まれる。
「はい完了!でわー陛下よりのお言葉を私ローズが代読させて頂きます。傾注!」
「朕深ク世界ノ大勢ト帝国ノ現状トニ鑑ミ時局ヲ収拾セムト欲シ茲ニ忠良ナル爾臣民ニ告ク 食べテ良シ!以上でございます。と言う訳で…耐えがたき欲求を耐え忍び難き性欲を忍んで来た臣民のみなさ~ん!GO!GO!GO!」
ラジオから何時ものチャランポランに似合わぬ改まったローズの声による陛下のお言葉。
続く売って変わった不穏な言葉。
そして大地が揺れ、空が震えた。
「「「「ぶひーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」」」」
地より湧き出すが如く、天から降るが如く、地中深く掘られた防空壕から山中に隠蔽された陣地から、南は沖縄から北は北海道までメスブタの地均しの…否!痴均しの音が響く。
捧げよ!捧げよ!検閲を捧げよ!全ての我慢は今この解放の為に!
ただ捕食せんが為、ただ只管にパコらんが為、増えに増え飢えに飢えていた上は百からしたはちょっと言えない危ないお年頃までブタが押し寄せる音が列島を揺らした。
其処には全てのメスブタが居た(皇族以外)昨年下野した東条がいる。鈴木現首相がいる。阿南も米内も陸海軍仲良く走っている。そこには最早陸海の対立は無い。
庶民も華族もアカも右翼も関係ない!皇道も統制も無い!
今全ての日本人メスブタが突撃している!
全裸で!
嗚呼雌叫びが列島の空に木霊する!
今全ての日本人メスブタが興奮している!
全裸で!
今全ての日本人メスブタが一つになる!
全裸で!
さあ歌おう!高らかに!愛国メスブタ行進曲を!
1見よ東海の空明けて
雌叫び高く嘶けば欲望滾る大八島
ああ晴朗の朝雲に
慌てる敵の軍勢よ
金甌無缺揺るぎなき
我が日本のパパになれ
2勃て一系の大君を
光と永久に戴きて
臣民我等ら皆共に
御稜威副ん大繁殖
イけ八紘を家となし
四海の人を押し倒し
大乱行を敢行せん
理想は華と大満開
3いま幾度か 我が上に
敵国〇〇ポ猛とも
断固と搾れその〇子
孕まん胎は ひとつの身
ああ悠久の神代より
轟くパコ音受け継ぎて
大爆進のイく彼方
皇国常に栄えあれ
掛かったなバカめ!我らをこの時を待っていたのだ!
世界人口が増えるなぁ!アメちゃんよぉ!
一億の特殊性癖ブタによる攻撃!
略して特攻
一億総攻撃!進め一億痴の玉だ!
我が名はヤマトコシフリメスブタ!我々は大勢であるが故に!
これが太平洋戦争最後の戦いと言われる「結合作戦」の幕開けとなったのである。