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狼の嬌声

 行ったり来たりと忙しく申し訳ないのであるが、物語は終わりに近づいている為、ここで日本帝国の不愉快な仲間たちに付いてケリを付けてしまおう。


 前回、合衆国の内面に渦巻く怒りを筆者は言語として出力したが、米国が急に欧州方面に殺意を向けたのは筆者のお遊びでは無い。


 大海戦に勝利しマリアナ諸島を激戦の内に制した米軍であるが、次なる大規模侵攻(日本本土を焼き払う為の中継地点としての硫黄島、本土侵攻の為の足掛かりとしての沖縄侵攻)は米国と言えど再編成を必要としていた。


 その主な原因は、何故か後方で続出する脱走者・行方不明者、そして孤立した筈の日本軍占領下の島からの散発的だが無視できない攻撃だった。


 日々混乱していく思考と狂気に苛まれる書置きを残して消えた守備隊(内容は真の愛に生きますとか、彼女たちが呼んでるとかだったりする)


 思い出した様に攻撃して来る小型潜水艦、全て飢え死にしたと思われた島から突如襲い来る水上機 


 筏で漂流中の所を救助された飛行艇の乗員が語る所によれば、その様な攻撃に晒され海に投げ出された者は、巨女が支配する島やら幼女しかいない島に流れ着き、多数の連合国の人間が捕えられているという。


 連戦に次ぐ連戦での疲弊、払底してしまったパイロットの補充だけでも歩みを止めるに充分であったが、連合国はその全てに対処し問題を解決しなければならず、それは合衆国の能力を持ってしても至難であったのだ。


 「「両洋に戦線は抱えられない」」


 それが偽らざる連合国の本音であった。


 だからこそのヨーロッパ解放なのだ。勿論、新鋭爆撃機B29によるサイパンからの日本本土戦略爆撃は敢行する(日本軍の発動した大規模侵攻作戦の前にチャイナからの爆撃はわやにされたが)だが、注力するのは欧州だ。


 指呼の間にある英国本土、東からはソ連、主攻となるのは積極的な現地協力が期待できるフランス上陸と、小さな島々を艦隊を持って丹念に潰さなければいけない太平洋とは苦労が違う。


 ドイツが簡単な敵だとは思わない。であるが、日本帝国抹殺の最終手段が完成していない現状、先にドイツ(後イタリア)を叩き潰し、日本本土を狙った方が遥かに合理的なのだ。


 それは全くの誤解であり、大きな代償を支払う事になったのであるが…




 

 1944年6月6日 オーヴァーロード作戦の名前で知られる事になる北フランス、ノルマンディーへの上陸作戦は成功した。


 危うくはあった。史実と違い日本帝国の頓智気技術を受け入れたドイツ第三帝国は一部オルゴナイト兵器を大西洋方面に投入していたからだ。


 ドイツによるオルゴナイト投入は実の所かなり早い。東部戦線の雲行きが怪しくなって1943年の段階でSSを中心にした治安戦を主に、また激戦区で固め打ちする形で国防軍はオルゴナイト兵器を使用していた。


 一薙ぎするだけで赤い津波が倒れる光線、忌々しいパルチザンを街ごと燻せる安心安全な非致死性ガス兵器(味方には、対ガス機材を持ってないカスなど知らない)は大変に好評を得ていた。


 「「もっと寄越せ!!!」」


 と言う声も多々と言うか懇願のレベルであったのだが、あったらあったで有るだけ使ってしまうのが現場と言う物で、日本帝国と違い非人道的な方法でしかオルゴナイトを採集できないドイツには無い袖は振れない所であった(とは言っても100を超える「生産施設」が建設されてはいたが)


 これに晒されるソ連はオルゴナイト兵器を最優先目標に指定して対抗していたのであるが、それを律儀にスポンサーに教えてもいない。


 だって恥ずかしいし。って言うか国辱だし。伝えられないでしょ?猛烈検閲で動けずMGで薙ぎ払われたとか、空の魔王が軽くて軽快に動けるとオルゴナイト製弾薬を気に入ってスッゴイ被害だしたてるとか、戦艦マラートが敏感検閲になったとか。


 であるので太平洋の戦闘をお遊戯と嘲笑っていた米英欧州方面に参戦した将兵は、ノルマンディーでオルゴナイトの恐怖に初めて遭遇したのだ。


 場合によっては、否、太平洋で行われた物より、より酷くオルゴナイト兵器は猛威を振るった。敵兵を無力化する兵器と考えるとオルゴナイト兵器は恐ろしい。不可視の光線が通った後、僅かな煌めきを残す粒子が舞い上がった瞬間、男共は検閲決め手動けなくなり、無防備な体を晒す彼らを本式の砲弾なり銃弾

が命を刈り取るのだ。


 激戦区オマハビーチでは、後、数門アクメビーム投射機(ドイツ呼称ゾォクブス(夢魔))が存在したのであれば、上陸は失敗したと所であったとされている。白と赤、そこでは生命を主張する二つの体液が混ざり合っていた。


 それは取りも直さず、デスアクメが発生していると言う事なのだ。大平洋の物とは桁の違う、黒く染まった真なる暗黒の力が。




  ここで一つネタ晴らしをしたい。何故に日本帝国はメスブタたちは、ナチスドイツの蛮行に、正確を記すならば欧州で行われる人類の愚かな争いに油を注ぐ様な真似をしているかについてだ。


 率直に言おう。「油を注いで」でいるからだ。あれだキリスト教的・ユダヤ教なアレ、客人の頭に香油を塗ると言う意味での油を注いでいる。


 つまり祝福ね祝福。メスブタはメスブタなりのやり方で人命を救おうと言うのだ。それが如何に傲慢で淫乱でも死ぬよりマシだと言うのがメスブタの思考にしてチンの出来うる限りの保護な訳。


 でも所詮はメスブタだし、指示された方も実行に移された方も欧米には思う所が多々あるから酷い事にはなるし、する。


 その結果どうなったかと言えば、パリは消えた。燃えたでは無く消えたのだ。




 さて話は変わるのであるが、合衆国が余りの被害の多さにメスブタ殲滅兵器として投入を計画しているアレについて語ろう。語りたくないのだが…


 アレ。読者諸氏には語らずとも分かる、オークリッジとハンフォードで濃縮され、三位一体の実験でどっかの天才が期待外れな威力と宣わってくれやがった核兵器。


 それを史実ではドイツもそして大日本帝国も研究はしている。日本は今次大戦には間に合わないと匙を投げたがドイツは重水生産までは漕ぎている(ノルウェーの物を流用しただけとか言わない)。間に合わなかっただけでもう少し戦争が長引けばロンドンが吹っ飛んだ可能性もあるかもしれない。


 ではこの世界はどうか?ドイツ脅威の科学力は核生産を可能としたのか?してはいない。ナチスドイツの狂気とドイツの科学力は違う方向に舵を切ったからだ。


 それこそ語らずともお分かりだろうが。オルゴナイト利用である。


 彼らは彼らなりの合理性によりオルゴナイトの大量破壊兵器転用を思いつき、それを忠実に実行した。日本帝国から派遣された湯川秀子博士がヴェルナー・ハイゼンベルク博士にベット上で何か吹き込んだ事が契機ともされているし、濃縮には両博士自身が携わっている。


 筆者はその方面には詳しくないので割愛するが、なんでもその方式は「円チン分離法」とか言い、電磁濃縮法を一部利用しているらしく、破壊工作に投入された英コマンド部隊によれば工場には大量の息も絶え絶えな男女とドーナッツ型の巨大な装置(人が中に入れるくらいの空洞があった)あったらしいが、報告を上げたと所でコマンドは壊滅させられた為詳しくはわかっていない。


 この報告に連合国は色めき立つが、ドイツがノルマンディーの上陸地点への核攻撃を企図しなかった事で開発成功には至っていないと判断され、欧州解放作戦は継続された。


 それゆえにパリは消えたのだ。ドイツによる核開発は成功していた。


 

 8月25日正午 パリ南東部を占拠した米軍第4歩兵師団第12歩兵連隊が地上で最後に見たはどピンクの目を焼く閃光だった。パリを焼く事を良しとせず降伏を選択したディートリヒ・フォン・コルティッツ大将の思いも空しく、総統の命令を忠実に守った第1919SS義勇連隊メスブタは頑強に抵抗しエトワール凱旋門にて核を起爆させたのだ。


 閃光、猛烈な甘い匂いの風(爆風に非ず)、ケバケバシイ粒子のキノコ雲、それが観測できた全てであり、パリ市の略全域である約105㎢は消滅した。


 世界は核の時代を此処に迎えたのだ。この威力の前に、今回の爆発が空く迄地上爆発であり、ドイツの開発した核兵器は余りに巨大で航空機による運用は出来ず、その数も残り1~2発程度であると正確な情報が判明するまで、大混乱に陥った連合軍の攻勢は一時頓挫する事になる。


 これはドイツに取っては千載一遇の好機ではあったが、余りに膨大な死者()と味方を巻き込んだ自爆攻撃を見た西部戦線のドイツ国防軍とSSの間の亀裂は深刻な物となり、その行動も不活発な物になっていった。ここに戦いの主力は東に移ったのである。


 一連の混乱を見たソ連首脳、そして赤軍司令部の判断は果断の一言であった。彼らは何一つ躊躇せず攻勢を継続したのだ。


 彼らの戦いは、100万や200万の死が追加で訪れたくらいで終いに出来る段階など当の昔に過ぎていた。ドイツが核を持っているのであれば、ここで中途半端に終わらせるよりは、攻め滅ぼしてその技術を我が物にした方が遥かに利益がある。


 第一撃でモスクワなり進撃を続ける赤軍に使わなかったのが、ドイツの核は運用の難しい物である証左なのだ。鉄の男は元より、彼の国民も軍隊も余りに死に慣れ過ぎていた。


 狂気の沙汰であったが、確かにその読みはあっていた。彼らを遥かに超える狂気の持ち主が入る事を除けば。




 1945年 4月29日


 「良いね?エーファ」


 「はい、あなた」


 轟音が遠く響く総統地下壕。そこで二人の男女が短い会話を交わしていた。


 一人は新郎で一人は新婦。息苦しく湿った地下壕、それが新郎アドルフ・ヒトラーの選んだ最後であった。


 総統はドイツをベルリンをアカに渡すつもりは毛頭なかった。彼らの下で生き永らえるくらいならば、自分もアーリア民族も共に滅びなければいけない。そうあるべきなのだ。


 だから彼は決断した。赤軍の本土侵攻に合わせて出された総統命令、東方入植民はアーリア人の誇りを守る為、汚される前に自決せよ。


 この命令を発令したヒトラー自身も従う。勿論それはドイツの魂であるベルリンも共に。自決命令に際して入植民に配布された濃縮オルゴナイト粉末、劣等と信じた者たちをこの世から消す為に使われた物質はであり彼らがこの世に残した生産物でもあるそれは民族の違いに拘らず人々を平等に消滅させていた。


 ヒトラーはその様な安易な死を選ぶつもりはない。彼は昨日ささやかな結婚式を挙げた妻と目の前にある核爆弾、正式にはオルゴナイト反応爆弾で彼の作り上げた芸術品である帝国と共に消える積りだ。当然であるがベルリンを汚すクマ共は道ずれになってもらう。


 「ありがとうエーファ」


 「幸せでしたあなた」


 二人は手を合わせ一緒に起爆キーを捻った。




 轟く雷、雨、雨、雨、雨、焦げ付いた街に雨が降っている


 天が泣いている。天が怒りを示している。もう沢山だと、もう殺すなと、その悲しみと怒りを訴えている。


 網膜を焼く閃光と共に訪れた突然の嵐、幾ばくかの時間が過ぎ嵐が止まり光が差し込む、全てが止まった。


 瓦礫の中から飛んで来る88も、辛うじて残ったビルの屋上から放たれるパンツァーファウストも、角を曲がった先から飛び出して来る肉弾同然の老人と子供の攻撃も


 閃光と嵐を受け、一時攻撃を止めてソ連兵もこれには唖然とする他はなかった。手を合わせ十字を切る者さえいる。


 「ハレルヤ、天孫降臨だべ」


 「馬鹿!聞かれるぞ!」


 そうは言うも、手を合わせる者を止める者はいない。元より迷信深いと言ってよいスラブの人々は、一連の出来事に神の意志を感じていた。


 ((殺すな))


 ((何度言えばわかる))


 ((いい加減にしてくれないと、私も泣くよ))


 父と子と聖霊とかそんな所からの意思だ。あの…何だろうな…乱入するのやめてもらえますか?


 しかし、いまは戦争中なのだ。しばしの呆然の後、無神論者たる部隊付きの政治将校の叱咤を受けた兵士たちは、ノロノロと戦闘を再開しようとし…


 DOGに出くわした。


 GODでは無くDOG。


 この話は馬鹿エロなのだ。荘厳さなど元より出る幕では無い。だから帰って頂けません?






 犬、犬、犬、犬、影を殺して粛々と父を揺らしてバルンバルン。廃墟の奥から瓦礫の下から張り巡らされた地下壕から、湧き出す様にDOGは現れた。風に乗り洗ってない犬の匂いがする。


 犬。嘗てのベルリン市民(国民突撃隊)と兵士だった者。そのケモ率20~50%、マズルの長いお姉さんは好きですか?(一部の読者諸氏に分かる様に具体的に言うならば、ベイカー街221Bで薬中の下宿人を住まわせている未亡人を想像して貰いたい)


 犬たちは舌をだらりと垂らし大気中に漂うオス臭(皆風呂なんぞ入れてない)感じて準備はGut。


 一頭の犬が猛然と一人の赤軍兵士に飛び掛かる。飛び掛かられた方は恐怖に駆られ、手に持ったPPSの引き金を引くが無常にも弾は出ない。


 ((殺すなってっんだろこのダラズ!!!!))


 天の方から声が聞こえた気がした。あの所で犯すなは?


 ((子作りなら良し!!!))


 ((ちゃんと責任とるんだよ))


 兎も角、犬は襲い掛かった。押しかかり伸し掛かり、ケモ率20パーセントのケモミミ美少女はやや長いマズルに付いた口から長いしたを伸ばし、慄く赤軍兵士ドミトリー・イワンコフ21歳、職業靴屋家族は母と妹一人ゴーリキー郊外出身の口にねじ込んだ。


 ジュルジュルと口内を蹂躙する舌と甘い唾液。イワンコフの肉体は彼の精神を裏切り、2週間洗ってない虱の湧いたズボンの下から己を主張する。


 その事に気づいた犬(さっきから犬、犬と言っているが、その体毛から灰色狼に近い。人要素でネオテニーしているので犬に見えるだけ)はニヤリと笑い鋭い爪が走り、軍服の一部が裂か 検閲 の部分を包んだ。


 犬は吠える 検閲 戦争何ぞしとらんで産めよ増やせよ言わせんなよ。



 事は一瞬であった。唖然として見る事しかできなかった政治将校の一人がこの光景に我を取り戻し、マカロフを向けたが弾は矢張りでない。犬ばらめを殴りつけようとしたところで、じれったい気分であった天の意志が犬たちGOをだしたのであろうか、犬の奔流が赤軍に襲い掛かる。


 ベルトが千切れる、制帽が飛ぶ、服が開ける 検閲 股間のマルクスとエンゲルスが昇天した。


 あのこれ…獣か…


 ((子供つくれるから人類!))


 ((毛の量だけで、そう言う事言うの良くないよ))


 はい。

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