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敵は世界の半分

 近衛内閣と言うか近衛の声明に対して、蒋介石の反応は早かった。前述した中国共産党への合作呼びかけと共に、日中の全面戦争不可避として


 「お前ら自分らが痴女(侵略者)だって自覚あるのか?何被害者ぶってんだよ!帰れ!中華は痴女なんかに絶対負けたりしない!」


 との「「最後の関頭」談話を発表。この中で日本帝国の侵略主義、年々増える鬼窟と侵略的外来種であるトンヤンチーニーザリガニによる精神的退廃と生(精)物的侵略を非難、漢民族の純潔を守る為に最後まで戦うと宣言した。


 この宣言に中華の民、特に小倭陰莖打獵狼による食害に悩まされていた婦女子は歓呼の声を上げた。


 


 この歓呼は1922年に時の政府が安易に飲んでしまった日本帝国による対華二十一カ条要求に起因している、その中にあった文言、中華民国内での肉体的サービス事業の全面解禁、これが遅効性の毒となって中華を蝕んでいたからだ。


 既に語った中華に上海に置ける哀れな男性の悲劇(何でも今は母親の違う七児の父らしい)は上海のみならず北支全体でも台湾対岸の福建でも多発しており、都市を中心として婦女子は脳破壊を食らいまくっていた。


 これがWSS(私のほうが先に好きだったのに)だけなら問題はなかった。いまだ伝統的価値観が大勢を占める中華の婚姻制度は健在であるので、結婚できない女はそんなにいなかったからだ。


 だがそれがNTRとなると被害は甚大。父が子が祖父に至るまで「東洋鬼子18歳デース」にドはまりして妻子を捨て居なくなるのだ。唯の浮気であれば相手ないし旦那に煮え湯ぶっかけるなり、肉切包丁で切り掛かるなりする所であるが、手に手を取って遠い島国や、北の果てに逃げて行かれるのであるから如何な大陸の婦人とて追随は難しかった。


 だからこその歓呼である。東夷の性的侵攻から早15年、まず弱者男性が消え、次いで不細工、その次はフツメン、遂にはイケメンすら市場での出回りが悪くなってきており、当局がこの事態を無視でなくなるほど事態は悪化していた。


 その様な事態を受け、蒋介石は中華の半分に愛国をアピールするとともに、もう半分に日本人徹底排撃を訴えたのである。


 


 1937年8月12日、盧溝橋事件を契機とした日中の本格的武力衝突である第二次上海事変は、以上の背景と共に始まった。彼らは日本帝国と本気でヤり合う覚悟を内外に示す為、国内に蔓延る鬼窟と日本人の排撃を行わざるを得ず、鬼娘蔓延る魔都上海の浄化は至上命題であったのだ。


 だがこの方針が史実と違い、いや日本による侵略が露骨なこの世界では、有利な筈であった国際世論と支援を史実に寄せてしまう事態となる。考えて欲しい、迫害される側が如何に人類を逸脱した小型ギガントピテクスであるヤマトホモモーフであろうとも、大陸に存在する日本人は殆どが若い女の姿をしているのだ


 そして、これが何より重要であるが「人種」として見た場合、ホモモーフの学名が示す通り、その見た目はゴッチャゴチャでパッと見て何人かは分からないのである。


 勿論の事であるが、能々みればその違いは明らかではある。ホモモーフはこれまで語って来た通り、一様に愛らしく、既存の人類よりネオテニーの傾向が大で、そも自然な色の青やら真っ赤な髪質を持つ人類等存在しない。


 であるがだ。読者諸氏が上海に在住する外国人新聞記者やその読者だとして、明らかにコーカソイドやネグロイド、どっかの総統と愉快な仲間たちの脳内にしか存在しない純アーリアンの容姿を持つ女性たちが焼き討ち食らっていて好感が持てるであろうか?(焼き討ちした側をウホウホ言いながら振り回しているのを見れば疑問は抱くであろうが)


 これは致命的だ。「白人」を「黄色人種」が攻撃しているのだから。


 日本帝国はこれを盛大に利用した。「彼女らは間違いなく日本国民であります!そこのピンクは山田花子君であり、迫害にも負けず救貧活動を続けております青いのは、日本救世軍の嶺山君であります!」


 そう白々しく宣伝したのであるが、これが効いた。


 誰がどう言おうと、どんなに綺麗ごと並べようと世界は人種差別で回っている、白人の命と黄色人種の命は同じ重さをしていない。それが若く美しい女であればなおさらの事だろう、騙されないのはソ連位である。何となればかの国では全ての人民は平等に価値が低いからだ。




 この宣伝戦は国民党を支援するドイツには覿面に効果があった。言わずもがなであるが総統に効いた、ちょび髭はこれを好機として、伝統的に中国を支援してきた国防軍を攻撃、取り込みを図ったのだ。この世界でも国民党支援に派遣されていたフォルケンハウゼンの肩身は狭くなってしまう。


 次いで効いたのはアメリカである。彼らは日本帝国による満州国建国、今回の無茶苦茶な北京占領と露骨にチャイナに野心を燃やす日本帝国に機嫌は下降線を辿っており、チャイナが日本帝国と全面戦争に及べば史実と違い早期の大規模支援も視野に入っていたのである。


 ここには国内での排日の動きが絡んでいた。これは1920年に始まった女性参政権の影響が大きい。アメリカは自由の国ではある、だがこの時代大都市圏を有する州を除けば伝統的価値観を持った人間の方が多数なのだ。


 そこに一次大戦以降、男女の自由を盾に殴り込んで来たのが日系人だ。お下品なので口には出さないがアメリカンのミスとミセスとガールは怒りを貯めこんでいた。日系人、貴奴ら目は男を奪っていく、そればかりではない、恐れ多くも白人様の容姿を真似た奴が、あろうことか黒人連中にも尻を振っているのだ。

 「「「「黒人としてんじゃねぇ!テメェらのせいでこっちの価値が下がるんだよ阿婆擦れ共!ええんか!そんなに黒がええんか!(BBCが少しうらやましい)」」」




 これが本音、多くの女性がジョンでスタインベックしていた。これが有権者の半分いるので、怒りの投票権を政治家は無視はできない。例え日系を愛人に囲っていたとしてもだ。


 それを利用したのは民主党であり、現大統領のデラノ親父である。彼は自身の推進する政策の他に家族の大切さとキリスト教的価値観の再確認を訴えて大統領に躍り出たのだ。


 革新的なメディア政策である炉辺談話を通して彼はこれを繰り返し訴え女性人気を獲得していた。妻との間に5男1女を儲けた愛妻家と言う側面もこれを後押ししている(愛人を囲っている癖に)


 だからこその対日積極策なのだ。幸いな事に最大の懸念事項である日本海軍は御行儀よくしているので、これはなら行けるとお得意の経済政策の様に安易に考えてもいた。




 そこにこれである、これには有権者の半分が眉をしかめたのだ。


 つまり男性である。守るべき白人女性に近似した容姿の美しい女が泣いている(舌を出しているのは気のせいだろう)これでは股間に正直な生物としては諸手を上げて支援とは言い難い雰囲気なのだ。


 その為、対中支援は史実通りに進んでしまう。幾ら宋美鈴が


 「あれは女ではありません!ゴリラよゴリラ!雌型怪異!あんたら私たちが負けたら太平洋を越えて進撃されるのよ?そこんとこ分かってる?コラぁ男子!なに妄想してんだ!」と訴えても無理がある。




  この様な情勢下の中、日本帝国の朝野は沸騰していた、帝都東京では「暴支調教」をスローガンに早期出兵を要求するデモが頻発、そして政府も軍も経済界もこれを抑える処か利用したのである。


 目論んだ通りなのだ。なんか予想とは違った激発の仕方であったが概ね目論んだ通りだ。今回の衝突の原因として本土に呼び出した牟田口が速攻で退役を言い出し


 「私、支那で確信いたしました!支那人のストライクゾーンは大いに広くイイ感じであると!これを悪戯に内戦で消費する南京政府は、支那人民なかんずく東亜全民族の幸福に全くと言って良いほど寄与しておりません!ですので私は大いに訴えたい、我が帝国は東亜の幸福の為に、支那内戦を終結させ正当な政府を擁立すべきなのです!これは聖戦であります!性戦でもあります!」


 妄言吐きながら熱烈な支持を稼ぎ出し、政界に転身したのを聞いた陛下が、「あっそう」と言ったきり暫く無言だったのはご自身の計略が成功した事に安堵されたからであろう(決して馬鹿馬鹿しさに頭と胃が痛くなられた訳ではない)


 ともあれ既に事は動き出した。ルンルンしながら「蒋さまを捕らえたら~、アレしてコレして~、そうだ!親子丼!親子丼も良いですわね!陸軍に経国さんを必ず逃がさない様に言って下さいまし!私手ずから赤抜きをしてしてさしあげますわ!」


 等と上奏中にトリップしていた近衛が中国側の動きを受け、上海で防衛戦闘を行っている海軍陸戦隊支援の為、動員を決定した事で戦火の拡大は勢いをましていく事になる。




 だが一つ疑問が残る。なぜ近衛は此処まで余裕なのであろうか?いや近衛がお花畑なのは昔からだとしても史実と違い政府も軍も余裕なのであろうか?


 確信があるのだ。勝てると。


 その確信の元は?


 次回「アクメの飽食」


 永遠の呪われたる名、その名前は、、、


 

 「72番丸太を連れて来てくれ、実験を始めよう」


 「72番は看守と結婚するとかで居なくなりました、、、」


 「またか!此処はねぇ!秘密実験施設なんだよ!秘密!何で非検体がポンポン出てくの?」


 「みんな寂しいんですよ、、、」

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