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痴女、壁に連なり、青年嘆息す

 こうして、新たな性癖、貢ぎマゾは行動を開始し、世論は確実に大陸に対する積極策を支持する方向に向かっていったのであった。


 拡大路線支持では無い所がミソ、既に中華が蝕まれる程メスブタは輸出しているのだから、とっくに拡大はしている。ここで支持されたのは武力進駐を含めた積極策なのだ。


 史実とは違いかな~り強引であるがそれも郁子なるかな。既に朝鮮・満州はメスブタがパンパンであり、満ソ、満中国境には政府の統制を受けない「裸賊」が跋扈していた程である。


 馬ではない「裸」である。


「裸賊」


 日本帝国の度重なる暴虐により、他の日本勢力圏と同じく常夏の楽園へと変わり、ジャングル地帯すら大発生している満州の地、その緑の地獄から湧き出して来る奴らの総称であり、人種は様々、髪色も様々、持ってる武器も様々だが使用弾薬だけは日本製、そしてボディペイントをした蛮族の事である。


 これが日本勢力圏ギリギリにある村落や軍事施設を強襲するのだ。襲われた人々は一人残さずジャングルの奥地に消えていると言うではないか、当然この様な蛮行を中ソは座視しないので徹底抗議してきたが、日本側は「家でも手を焼いてるんですよねぇ~」とノラクラしていた。


 せざるを得なかった。なぜならば、賊の構成員は100%メスブタであり、時に関東軍関係者さえ参加していたからである。明らかに中央の統制が利いていないが、我を忘れたブタに何を言っても無駄であるから、政府も軍も見ないふりをしていたのが実情である。


  こんな無体が罷り通っていた程であるので、いくら真面な首相が反対したとしても、暴発は間近に迫っており、政府が積極策を取らなかったとしても、史実と同じく、なし崩しで戦端が開かれた事は想像に難くない。


 「満漢全貢」を画策する陸軍統制派貢マゾ閥としてはそれでは不味いのだ。彼女らは段階的な紛争拡大より一気呵成の全面衝突を欲していた。


 その衝突を起こす為に選ばれた女こそ、支那駐屯歩兵第一連隊長牟田口廉也(蓮に改名)であり、彼女と、そのコンプレックスが大東亜に置ける戦争の引き金となったのである。




 


 時に1937年7月、北京郊外である豊台に駐屯していた日本軍支那駐屯歩兵第1連隊第3大隊、および歩兵砲隊は、同じく郊外の北平からやや離れた盧溝橋東北方で演習を実施していたのであるが、彼女らは大きな問題を抱えていた。


 問題。軍閥割拠しているとは言え、一主権国家の庭先で他国が通達も無しに演習するのは確かに問題ではあるが、彼女らの抱えている問題はその様に真面目な物ではない。


 彼女らの問題とは如何に慰安を行うかと言う事であった。端的に言って彼女らはムラムラきていた。然もである、何故か上、上の上の更に上からきつーく問題を起こすなと通達がでているから迂闊な事は出来ない。


 故にムラっと来ていた。連隊一同がムラムラとし彼女らの体からはユラリユラリと湯気の如く、攻撃ホルモンが視認出来る程分泌され演習場はスパイシーになっていた。


 そしてムラムラしていたのは彼女達だけではない。それがこれより発生する軍事衝突、所謂ところの「盧溝橋事件」の原因となるのである。


 そのムラっていたもう片方、それは無遠慮な演習をする日本軍の監視にでていた、北京駐屯の中華民国二十九軍である。理由は言うまでもない日本軍が刺激的に過ぎたのである。




 此処で読者諸氏の理解を深める為、この当時の日本軍の軍装について紹介しよう。


 分かりやすく説明すると「パンツじゃないから恥ずかしくないもん!」である!


 詰まりは褌丸出し。上衣は殆ど変わらないが、ギリギリ褌を隠せる長さまで下が伸びており、(彼シャツを想像して)ニーソは付けていた(ゲートルを腿まで巻いている)


 うぁあああ!中華の大地を痴女が練り歩いている!な恰好と理解して欲しい。


 因みにこの様なド変態軍服に帝国軍が衣替えしたのは昨日今日ではない。現在彼女らが来ているのは


 昭五式軍服であるが、1922年の改四五式の時点で軍衣は女性に限り変態使用になっている。詰まり226事件の際には反乱軍、鎮圧にでた近衛に関わらず褌女の集団が乱闘をしていた事になるのだ。


 そしてこれらはオール絹製。帝国本土に生息する引くほどデカくなった蚕の生産量はそれを可能としていた。そのお陰で耐火、対破片性能まで期待できる高性能品でもある。


 制定に際しては、「「お洒落なやつじゃなきぁやぁなの!」」「「着心地が良くなきゃ嫌!」」「「煽情的は駄目ぇ?おいコラ!其処に目ぇ付けてんだ!野暮の極み見たいな軍服を男が見るか?俺たちゃヤるのに命賭けてんだよ!」」「「軍袴は要らないでしょ、暑いし、一々脱ぐのメンドイし」」等の現場の声が多いに反映されており、機能性と男子捕食性能(押し倒して即ずらし挿入OK)が追及されている。


 また冬季に関してはこの上より防寒着を着用する事になっているが、前がはだけ易くなっている事が大きな特徴である。一説には満ソ国境を警備する一部部隊の中には、夜間裸に防寒服一枚で極寒のソ連側に越境を試みる者もおり、ソ連側から怪異型痴女と認識されていたらしい。




 この様な痴態である事から、監視をしている中国側から見て、日本側の演習は、より取り見取りの美女、美少女たちがお胸をチラリ、お股をガバリ、お尻をプリプリしながらキャッキャしている様にしか見えない。


 そしてそれを知る日本側もガンガン挑発してくる。だが手がだせない。中国側も下手に手を出して自分達から仕掛けたなんて言われたくはないので、日本側と同じく手出し無用とキツく言い含められている。


 だが上に策あれば何とやらである。程なく両軍の兵たちはこのムラムラ状態を打開する為に、示し合わせて行動を密かに行う事になる。それがそもそもの事件の発端であったのだ。




 


  「良いとこに連れてってやろう」


 今年18になる新兵の鄭二等兵は、いつもであったら鬼より怖い宋下士がニコニコ顔でそう言ってきたので怖気を振るってしまった。両親からは「良いか良鉄は釘にならずだ、兵隊なんざ碌なもんじゃない」と言われていたが、自分達新兵の教育を担当する宋は正にその通り、殴る蹴るは当たり前で飯代すら集られる始末のロクデナシだったからだ。


 それでも只管に騒乱続く中華にあって、自分達の様な人間が食逸れしない為には軍に齧り付く他はない


 でゴミの様な扱いも我慢して暮らしている。その下士がニコニコしているのだから鄭が寒気を覚えるのも当然だった。


 「良い所でありますか?」


 「そうだ良い所だよ。お前確か女を知らなかったよな?」


 「はっはぁ、そうでありますが、それがその良い所となんの関係が」


 「良いから良いから、俺もなぁ、お前たちに厳しくするばかりじゃあ駄目だと思ってたんだよ。他の奴らも呼んで来い。ありがた~い俺の慈悲心にお前ら咽び泣く事請け合いだぞ」


 下士はそう言って後「本日の夜間巡視に分隊全員で志願する事」と付け加えて去って行った。


 (なにが良いとこな物か!体の言い任務の押しつけをする積りなんだろ!くたばりやがれ!)


 あいつの考えは読めている。夜警を自分達に押し付けて自分は寝ている算段のであろう。そうは思っても新兵の悲しさ古参には勝てない、彼は泣く泣く自分の所属する分隊に下士の命令を伝え、分隊全員からイヤーな顔と「「「何で断らなかった!」」と総すかんを食らってしまう。




 だがその晩、鄭の予想は大きく裏切られる。集合した分隊を宋下士は先ほどのニコニコ顔で迎えたばかりか自分も夜間巡視に同行するというのだ。これには全員があっけに取られた、何時もの宋であったら酒でもかっ食って「行ってこい」の一言で自分達に仕事を押し付けている筈だったからだ。


 「ご苦労ご苦労。では行こうか」


 更にニコニコしたまま自分たちを労いすらする。「俺ら殺されるんと違うか?」そう自分に耳打ちしてきた同郷の楊の奴もあの顔が不気味で仕方ないようである。


 自分達のいる郊外の地、荒蕪地は文字の通り人気も人家も少ない、その上、東洋鬼が演習を始めると言うので近隣住民は逃げてしまい、日本軍を相手にする物売りが昼に訪れるくらいになっている場所だからその様な気分にもなろうと言う物だ。


 その人気のない土地の闇の中を宋下士はズンズンと進んでいく。時折自分達を振り返り「早くこい!置いてくぞ!」と急かしすらする。


 「あの下士宜しいですか?」


 「なんだ?」


 緊張に耐えかねた自分は思わず質問した。する他は無かったと言うのが正しい。なにせこのまま進むと、、、


 「この先は日本軍の野営地かと、、、」


 そうこのまま行くと演習を行っているあいつ等の所まで行ってしまうのだ。空く迄も監視任務の自分達が迂闊に進んで良い場所ではない。


 「そうだよ。それがどうした?なんだお前怖いのか?」


 「そうではありませんが、これがバレると問題が、、、」


 「大丈夫だ、それよりそろそろ、、、あっ!あったあった!お前らアレが良い所だ」


 自分の疑問を気にもせず、宋は暗闇の中ある場所を指さす、その先にあったのはボロボロの屋敷跡と崩れかけた煉瓦作りの壁の連なり。


 「アレが良い物でありますか?」


 「そうだ!ここからじゃ分からん。もっと近くによって見れば腰を抜かすぞ」


 その言葉に自分も分隊一同も「「なに言ってんだ此奴」」と言う顔になる。それを気にせず宋は待ちきれないと言った風に自分達を置いて足早に屋敷の方へ行ってしまう。




 

 「何ですかコレ!」


 「だから何度も言ったろ?良い所だよ」


 慌てて追いかけた自分たちが見た物は確かに腰を抜かしそうになる物だった。


 だってなぁ。


 「尻が並んでますね」


 「おう」


 「壁から生えてますね」


 「良い眺めだろ」


 尻があった、尻である、白い尻、黒い尻、赤いの、肌色、こげ茶色、色んなお尻がズラーっと並んでいた。勿論足は付いているので正確には下半身を突き出している事になるのだが。そして良く見なくても見知った顔達がその尻と仲良くしている者も見える。


 「アレ第三機関銃小隊の、、、」


 「黙れ、あれは上尉じゃあない。偶々此処にきた人だ」


 「あの、、、この壁の向こうにいるの、、、」


 「黙れと言ったぞ、コレはな偶々に壁に刺さっている人だ、若しかしたら幽霊かもしれない、向こうを見ようなんて考えるなよ、呪わるぞ」


 「幾らなんでもそれは無理が、、、」


 「良いんだよ!向こうは欲求不満!こっちも溜まってるんだ!俺たちは巡回中に幽霊だか妖怪だかに出会ったんだ!それが尻を振ってるから俺たちは退治したの!ホレ!そこの尻がお前を呼んでるぞ男になってこい!俺は向こうの尻と勝負してくる」


 


 「良いのかなぁ?どう思う楊よぉ?あり?おいっ楊?青?敦?習?」


 いない。見渡せば誰もいない。いや6尻向こうの尻に齧りついているのは楊だ。後は見えないが好みの尻に襲い掛かっているに違いない好きものどもめ。


 ため息を付く。そして自分の近くの尻を見る。


 哀れに思えた。何が悲しくて異国の地で壁から尻を突き出して、男を待っていないといけないのだ?憎き侵略者と言えど哀れで情けなくなく思う。ご両親は泣いているだろう。


 そう思って尻をマジマジと見ていると尻の方はドタドタと足踏みをしている。自分の憐れみの視線が気に障ったのであろうか?気のせいか壁の向こうから怒鳴り声も聞こえる、、いや気のせいではない、物凄い罵詈雑言恐らく「それでも男か!」とか「ついてんのか!」のに類する日本語であろう。


 萎えた凄く萎えた。


 「俺、兵隊止めよう。こんなのと戦ってるかと思うと恥ずかしいわ。どこか田舎で畑でも耕して生きよう。うんそれが良い、君も風邪ひくから早く帰った方が良いよ」


 その言葉に壁尻はバタバタと暴れ、壁の向こうの怒鳴り声が空しく夜の闇に溶けてゆく。


 こうして鄭の脱童貞はならなかった。


 だが童貞であっても彼は幸運であったと言える。この翌日彼は軍を脱走し、漢口近くの農家で細々と生計を立てる事に成功したのだ


 そう鄭二等兵は幸せな男であった。彼が未確認尻型生物と接近遭遇をして僅か数日後、日中は全面戦争へと突入したのだから。


 理由は言わずもがなこのズラリと並ぶ壁尻であった事は言うまでもない。




 


 おまけ 


 「それがお父さんとの出会いだったのよ」


 「子供にナニ聞かしてんだよババア!」

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