表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/64

男殺し紅茶の地獄

 以上の様な流れで石原君は転校しました。


 人気者の彼は次の学校でも皆に慕われていることでしょうから、皆さん悲しまないで下さい。彼の残した満州国は五族協和の楽園として末永く男漁りのハンティンググラウンドになる事でしょう。


 さて、この一連の事から分かる通り、大いなる淫棒は史実をなぞる様に日本帝国の拡大路線と破滅への下り坂へと進んでいる。


 

 何故か?

 

 それはこれまた大いなる力、天地万物に存在し、気候現象はおろか複雑極まる生態系から惑星の運動すら自由に出来るオルゴンに関係している。


 全ての元凶たる「痴情の星」は痴的生命の生み出す莫大なオルゴンの収拾を目的としているのだが、それを利用する形での帝国は生き残りを模索しているからだ。


 帝国中枢の至高の目的とは、狂乱の大戦争の喜劇の中に展開するライト&ダークのオルゴンの乱舞、そして犠牲になる人々のデスなアクメを利用し、流れ込む痴的エネルギーに何かを覚えた猿の様になるであろう星の隙をついて彼女を都合よく利用しようと言う物なのだ。


 危険な賭けである。既に国民の殆どはメスブタと化し、天皇にすら某怪盗ダイブを平然と敢行する程の飢えた獣であるからして、ともすれば制御を失い、無軌道腰振りニッポニアニッポンバーバリアンヤマトンチュとして駆除されるかもしれないのだ。


 守る価値あるんか?地球の未来の為にも滅びた方がとは?考えてはいけない!これは人類の為でもある!もしも日本帝国がこの試みに失敗し人類が核による破滅、星の意志曰く「キメ核デスアクメ」をキメる未来を選択するというならば、星は痴情に生きる全てを痴しかない腰振り生物に変え、地上は知恵なき者どもが支配する「アクメの惑星」へと変えるであろう。




 奴はやる。例え人類が史実と同じくギリギリで理性的に振舞えたとしてもケネディとフルシチョフのホットラインに割り込んできて「愚かな人類に絶望しました。同じ事を繰り返す前にあなた方を救いましょう」とか何とか言って80年代後半から90年代中盤くらいの滅亡系アニメの様な事をヤル。その風の名はナントカカントカで世界の中心で幼年期が終り復活の日はこないだろう。


 


 帝国はそして陛下はそれを何としてでも防がねばならない。防いだ先が帝国独り勝ちパックスジャポニカワールドなのは必要経費でご褒美であるし、その結果、全世界連ケツトレイン完成!時の涙を流してニューステップを決めた!としてもコラテラルダメージである。


 良いだろう別に?肥大した生殖器と脳内麻薬を異常分泌させるだけの器官を持つ陸生チョウチンアンコウに人類が変貌するよりは?


 そんな暗黒の未来を、良識ある読者諸氏はお求めでない筈なので話を元に戻そう。読者諸氏がお求めなのはエログロナンセンスではなくエロファニーは~とうぉ~むの筈だ。




 




 此処まで、現在は陸軍参謀本部に併設された慰安室室長として


 「似合ってねぇんだよその口調!ラオスに売るぞこの売女!」


 「もっとぉ!吾輩を虐めてぇ!」


 上海帰りのチンチクリン参謀、炭焼きの三男改め三女を攻め立てている石原君と、その他大勢の満蒙にその身を捧げ現地で慰安任務に就く元関東軍上層男子のやらかしを語ってきたが、幾らか時が前後する事になるので許されたい。昭和のイベントと言う物は立て続けで参加者もやたら自分勝手に動くので大変なのだ。



 

 では続けよう。1929年満州での胎動が起こり始めた頃、世界では大事件が発生していた。


 そう世界恐慌である。ご存じの通り恐慌は1929年9月4日頃から始まったアメリカの株価の大暴落に端を発し、連鎖した暴落、1929年10月24日の通称暗黒の木曜日は、世界的にニュースになっている。


 1929年から1932年の間に、世界の国内総生産 (GDP) が凡そ15%減少したとされるこの大経済変動にダメージを受けなかった国は無い、、、、いやある。


 だれ言おうソ連である。資本主義に真っ向から喧嘩を売る閉鎖国家はこの荒波を乗り切れた(内情は飢餓輸出に粛清に収奪の混乱だったとしても)


 この奇跡は熊の胃袋で消化されゆく人々の悲鳴が聞こえないか無視した各国には高く評価され、各国で社会主義思想が勢いずく事となった訳であるが、それはあくまでも史実。


 この世界ではもう一国無事な国、というかこれが好機とひと暴れして顰蹙を買った国があった。勿論の事日本帝国である。




 日本帝国の経済価値は金でなくチンなのは既に何回も語ってきた。だがそれでも無理だろう、くず鉄は?石油は?ゴム、タングステン、ポーキサイト、数えたらきりがない資源たちは?


 そうお思いだろう。であるのでここいらで現在の日本帝国の頓智気ぶりを再確認していただこうと思う。頭が痛くなる事を覚悟して貰いたい。


 現在日本帝国の支配領域、地図から見て南は台湾から北は樺太の半分、東は南洋、西は朝鮮半島までが内地を覆っていた異常現象と認識改変の影響下にある。


 詰まりは樺太は日ソ国境の丁度半分で肌着とステテコで過ごせ、朝鮮半島は豆満江が凍結せず白頭山の雪は消え、台湾南洋の人々は季節の区切りがなくなって首をかしげている。




 そして資源だ。読者諸氏には隠してきたのだが、現在日本帝国には独占下にある貴重な金属資源が存在している事をお伝えしなければならない。


 その鉱物の名は「オルゴナイト」と言う。


 嫌な予感がしているならその通りである。これは結晶化したオルゴンその物なのだ!それはピンクでドドメ色で夜に発光し叩くと「いやーん」とか「こやーん」とか音を立て、放射性で異常性を当然の様に帯びており、口入れると甘く舌の上でしゃっきりポンとし中毒性がある。あとカロリーが多く火にくべれば燃える。


 この鉱物は北海道元大雪山系である巨大クレーターの周辺で露天掘りされ、というか湧いて出てきており、処理しないと生態系に悪影響があるので(食べた熊が転がる巨大肉玉になっていた)一生懸命に掘っている。


 一見ゴミの様なこの物質であるがその異常性が凄い。燃えるので石炭の代用にもできるが、なにより何にでも混ぜ込めカサ増しに使え、強度が変わらないと言うチート物質である。


 現在帝国で生産される鉄鋼の95%、合板などの木材製品、希少金属の九割が嵩増しされ、重油は略オルゴン油である。詰まり国民が一生懸命に仲良くする→オルゴナイト産出→国家経済に還元となる!正に痴産痴消!




 ここでひと暴れの話に戻ってくる。上記のチートの痴産により国内経済にダメージは無いが、これ以上の発展には当然ながら男が足りない。


 そこで海外からみれば後進農業国(史実の通り)だから無事だった様にしか見えない帝国は新たな男漁りを開始したのだ。特に念入りに狙われたのはドイツであった。理由は簡単だ、破裂したドイツ帝国は日本の養殖場とされていたからだ。


 第一次世界大戦に敗北したドイツ帝国は深刻な食糧難に見舞われていた。海路の封鎖、杜撰な食糧配給政策、それでも頑張った銃後の国民の根性と努力が合わさりドイツの子供達はバッタバッタと倒れていた。

 その数はドイツ国内の統計と国外統計との誤差はあれど十万単位であり、戦後も長期化した食糧不足とスペイン風邪の猛威を合わせれば百万を優に超える人々が腹を空かして死んでいた。


 これはナチス台頭とハチャメチャな経営をしていた割にベルリンが焦土になるまで彼らが存続できた要因の一つであると考えられる。ちょび髭ご一党は国民(党に従う)を生き残らせる為に他国と他民族と(党に従わない)同胞を精肉機に掛けて分配していたので、ビリーが居た頃の様な致命的な飢餓はギリギリまで発生しなかったのだ。



 この様な戦間期の悲劇に対して日本帝国は舌なめずりして介入した。理由は人道上の理由である!人・道・上の理由である!何とも素晴らしい、全ての悪徳を許してしまえる魔法の言葉だ。


 その人道を振り回して日本帝国はドイツ国内でも跳梁した。悪魔は天使の笑みを浮かべ山の様な食糧を持ってドイツを助けたのだ。これにより史実と違い多くの余剰人口がドイツに生まれる事になった。


 その陰で何人のショタが帝国に送られ二度と祖国の土を踏めなくなったか、何人の飢えた両親が養えない子供を涙を呑んで淫魔に捧げたかは統計は取られていない。後先がない老人たちが何人補堕落渡海(造語)したかもである。




 この跳梁は今回の恐慌にしても繰り返された。やっと回復基調を見せた経済が墜落していく、インフレの次はデフレスパイラルでボコボコになったドイツの人々はその足をアジアに向けた。


 以外な事に、あれだけ跳梁しても嘗ての敵国でアジアの猿で、折角近代化に協力してやったのに裏切りやがった(ドイツ主観)の日本帝国の評判は悪くないのだ。


 植民地返せ!とは言いたいが、一番辛い時期に何だか分からない果物の詰め合わせとやたら甘い米を持って来てくれたのだ。それが嘗ての敵国でも、其処に渡って行った人々から「タイヘンニスミヨイ、スグニデモクルベキダ、ケイザイテキニモメグマレテイマス、テンノウヘイカバンザイ」からお土産付きで頻繁に連絡が来れば安心もできる。


 勧誘をしてくる日本人も安心材料だ。ドイツにキャンペーンを張る日本人たちは判を押した様に近ごろ台頭著しい某政党が主張するアーリア何とかにそっくりで、黄色い猿とは違い見ていて不快ではないし、日本に渡った人々が極東で責任ある地位に付いた証左であった。


 金髪、碧眼、白磁の様な白い肌と豊かな胸、そして美しい顔。まさに自分達白色人種が向こうで天下を取った明かしと言えよう、(彼女らの人間離れした欠点の無さ、一様にともすれば幼く感じる顔の作りに人々は気づけなかった)そう人は見たい物しか見れないのだ。




 これは米国はじめ各国でも同じである。アイルランドに赤毛の娘、イタリアに健康的な小麦色、ソバカスなんて気にしないわ。フラフラと仕事の無い男共は移民船に乗っていく、、、二度と帰れぬ旅路と知らず。


 これで顰蹙を買わない訳がない。折角に日本人娼婦を追い出したと言うのに今度はリクルート名目でネグリジェからスーツに着替えて奴らはやってきたのだ。これが日本史に言う昭和恐慌バブル、男子輸入政策と男子解禁運動である。因みに金の方は投げ槍に解禁された。




  さて経済イベントだけではなく、軍事的な側面も語ろう。これまでこれっぽっちも触れられてこなかった海軍関係である。それには1930年ロンドンで開催された海軍軍縮会議であるロンドン海軍軍縮会議に触れなければいけない。


 結論から言おう、なんとさほど揉めなかった。


 対外的には。


 日本帝国海軍は重巡洋艦保有量が対アメリカ6割になる事もあっさり飲んだし、震災が起こらなかったことで就役した戦艦加賀の空母改装も受け入れた。史実とは違い何とも聞き分けの良いとである。これには暗号を傍受していた米国もニッコリである。


 再度言うがあくまで対外的にはである。


 条約締結後国内は荒れに荒れている。これが後の五・一五事件に繋がる通称「統帥権犯犯(ぱんぱん問題」であった。


 何がぱんぱんしているのか?うふふ!男女間のナニカよ!


 


 詳しく言うと、政府与党は条約の早期締結を企図するべく海軍と裏取引をしていたのが野党にバレて 統帥権事項である兵力量(軍政権)を天皇の承諾無しに決めたのは憲法違反だと詰め寄られたのだ。


 その兵力量とは、艦隊数の事ではなく人員のことであった。政府与党は徴兵で男を引っ張れる陸軍に嫉妬して暴発寸前の海軍を宥める為、海軍の要求した古式ゆかしい強制徴募プレス・ギャングの許可を出す事を約束したのだ。


 「強制徴募プレス・ギャング


 日本海軍の師匠であるグレートブリテン及び北部アイルランド連合王国王立海軍が行っていた徴募方法である。

 

 簡単に言うと、そこいらの港でフラフラしているのや家に帰ろうとしているのを実力で船員にする行為である。酔い潰して袋に詰める、銃を突きつける、怪しい業者と結託し買い取る、単純に歩いてるを囲んで棒で殴ってグッタリしたら船に詰め込む。


 

 その様な人権をガン無視して人を集める行為だ。これを現代日本で復活させるというのである!何という無法!それも男限定!何という無体!


 だがこうでもしないと海軍は壊滅してしまう!逃げ場のない船内は明確な階級社会でそこは当然ながら男格差が問題となったいたのだ。


 戦艦では艦長を筆頭に士官が男を同室に囲っているが、ハンモックで寝る、好きな人には堪らないフェチズムの匂いを出す水兵にはそんな芸当は出来ない。


 そも男の水兵がゼロになった。男が居るのは士官だけでそれに手を出す訳にはいかない、偶に幸運なのが誘われるとそいつは船底潜りさせられるともっぱらの噂だ。




 先の事になるが、1934年、水雷艇友鶴が痴情の縺れで暴走、港に突っ込んで廃艦になった友鶴事件はこの時期は珍しくはなかったのだ。


 鬼の山城、地獄の金剛、音に聞こえた蛇の長門、日向行こうか、伊勢行こうか、いっそ海兵団で首吊ろかとは、ギスギスした男の取り合いに巻き込まれる「男性士官」側の戯れ唄である。戦艦には鬼を超えた鬼、蛇女集団喪女がのたくっていた。




 これを問題視した海軍軍令部は政府に裏取引を持ち掛け、条約を盾に無茶を通そうとしたのである。だれしもが命が惜しかったから必死だ。この世界には条約派も艦隊派もない、言葉に表すならば海軍上層部はこの時期ほぼ全ての人員が「プレスギャング団」の一員であった。


 因みにボスは伏見宮博恭王である。いい歳したオジサンは貞操の危機をビンビンに感じていた赤レンガの中でも視線を感じる程にである。




 故に統帥権の問題は大変にパンパンした。鳩山、犬養等の男性議員は命を懸けて猛反対したのだ、だから統帥権の問題まで持ち出された(この猛烈な反対が515に繋がった事は確かである)。


 そのすったもんだの末、問題である「強制徴募案」は戦時等の火急の事態に限りと言う事で議会を通る事になる。だが野党の頑張りも空しく内容は変更できなかった、海軍は火急の事態に限り鎮守府などの軍港だけでなく、男子を寄港した帝国施政の及ぶ港で集める事が出来る事になってしまったのだ。



 寄港した「日本施政の及ぶ港」である。詰まりは「施政」が及べばドコデモ良い、占領下なら?一時的混乱にあれば?


 ふひっ、ふへへへ、げひひひ


 確かな事は一つ、日本帝国海軍はこの時バラ色の未来を夢想しすごく良くない視線で大陸を見たという事であろう。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ