閑話 楽しい日本旅行マニュアル(発禁済み)
前書き 本書を手に取って頂き誠にありがとう。そして貴方は大変に幸運な人物と言える。
何となれば本書は東洋の楽園を安全に楽しむ上での必携の書であるにも関わらず、理解の無い政府やガチガチに頭の固まった良い子ちゃんたちにより悲しいかな目を付けられてしまっているからだ。
貴方はまず間違いなく高い金を支払い本書を手に入れたか、著者、編集、そして勇気ある出版元と思想を同じくする同行の士から密かに閲覧を許されたのであろう。
もし官憲の類であるなら速やかに本を閉じて暖炉にでも投げ入れると良い。本書は貴君にとって堕落の書でありサバトへの招待状である。本書はそのような玉無しはお呼びでない!さっさと教会に行って本書を手に取った事を懺悔してこい!
本文より 旅行の前に
さて貴方が何故、日本帝国に旅行に行こうと考えたのか、それは分からないが、まず本書をガイドに選んだ以上目的は一つであろう。つまり肉欲の解放である。若い肉体に己の欲棒(日本人が良く使う表現だ)を突き立てに行こうと考えて居られるのだろう。
若しくは理想の女王さまを探しにか?ママ?姉?娘?恥ずかしがらなくても良い。本書は全てを肯定するものである。
本題に入ろう。貴方が英国は米国の出身であればパスポートを取る事は難しくはない。だが巷に広がる悪い噂もあり、堂々と日本旅行に旅券を取りましたとは言い難いことは良く分かる。
そこでまず初めにチャイナを第一目標にしよう。行く先は香港、マカオ、上海、貴方がドイツ人であれば青島(そんな金よくあったな?)フランス人であればサイゴンを目指すのだ。
なに難しくはない。彼の地も旅行には最高の場所(些か治安に問題もある場所もあるが)であるからご近所や職場に言い訳も立とう。変な目で見る奴がいるなら、それこそお前は何を考えているとやりこめてやれ。
本文 楽園への雄飛へ向けて
ご苦労!貴方は楽園の門の一歩手前まできた!ここはエキゾチックな場所であろうがまだ無駄撃をしてはならない事だけは覚えて置く様に!
誘惑は多い!「日本人居ます」「日本人専門」を謳った怪しい店が目に入っても飛び込まない様に!大体が詐欺だ!貴方が飛び込むのは日本帝国領事館である!
心配はない。貴方が男で荒い息をしていれば職員は懇切丁寧に対処してくれる。賄賂の類も無しだ。寧ろ急ぎたい余りそんな物を提示すると怪しまれて入国を拒否される恐れさえある。
ここでレッスン1だ。日本帝国は本当に女だらけで真摯に貴方を求める国家であると理解しよう。噂は本当である!貴方の親戚ないし同僚にいたであろう日本人を嫁に迎えている幸運な者の口は嘘など言っていない!そいつが如何に飲んだくれであろうとだ!以下略
本文 楽園への到着
信じてくれてありがとう!もしかしたら領事館職員か、領事本人からの熱烈な歓迎を受けたかもしれない。だとしたら期待は嫌が応にも高まっているだろう。
驚くなかれ、貴方が体験した熱烈な一夜は、真夏の世の夢の序章でしかない。さて、貴方は船に揺られて恐らくはヨコハマに付いた頃であろう。
一緒に乗り合わせた歴戦の巡礼者がコウベやハカタ、時にオタルに降りるからどうです?と聞いて来るかもしれないが付いて行く事は本書はお勧めしない。
何故かと言えば相手はエルサレムまで乗り込んだ歴戦の騎士かもしれず、貴方は彼の繰り出す荒業の数々に度肝を抜かされへたり込むかもしれないからだ。敢えて言わせてもらうと帰りたくなる可能性が大きいだろう。強者に付いて行くには経験値が貴方には足りないと言わざるを得ない。
話を戻そう。
貴方はヨコハマに降り立った。船から降りれば直ぐにリキシャの車婦(誤字ではない)が取り囲んでくる筈だ。貴方がもしもそこで運命の出会いを感じたならば、日焼けした浅黒い肌に溺れ、残りの滞在日数を彼女のあばら家で安布団に包まって暮らしても良い。
何を突然!そんな美味い事あるか!とお思いだろうが、本書は嘘は言わない。試しに彼女に適当に愛を囁いて見れば答えは自ずと分かるであろう。以下略
本文より 滞在先を吟味しよう
一名脱落者が出たようだが話を先に進めよう、なに安心して欲しい、リキシャで連れて行かれた彼はカワサキ辺りのスラムでランクはかなり落ちるが楽しく過ごすであろう。
しかし貴方はグレードの高い滞在をお求めであろうからガイドに付き合って頂けると有難い。なに?できれば安く上げたい?それではヨコスカに行きたまえ、帝国海軍の水兵たちが幾らでも管を巻いているので、肩でもぶつけてくると宜しい。
命の保証はないが、滞在日一杯まで無料で過ごせるだろう(殺される心配は皆無であるが木乃伊になる可能性大、一個分隊を相手に出来る人間は少ない)
脱落者一名追加、物好き目。
貴方はそうではないようだ。本書のお勧めする宿を幾つか羅列するので連絡を取ってみよう。尚移動にはタクシーをお勧めする。電車は危険である(理由は述べない、貴方に猛者の同行者がいれば理由を聞くと良い)以下略
本文より 夜を楽しもう
宿に荷物は置いたな?時差ぼけ解消の睡眠は?では夜の街に繰り出そう!
貴方が何処に宿を取ったかは分からないので、ここでは首都であるトウキョウの一夜の楽しみ方について語ろう。
だがその前に残念なお知らせがある。落ち着いて聞いて欲しいのだが、日本には公娼制度は無く、そこらで買える立ちんぼも居ないと言う事だ。
ガーンだな。ショックの程は良く分かる。
だが本書を投げ捨てる前に良く聞いて欲しい。飲み屋街でもそこいらの公園でも声を掛ければ大抵いける!勇気を出して拙い日本語で「コンヤドウデス」「ヤラナイカ」等と聞けば良いのだ。
ただし夜限定だぞ!昼にそんな事をすれば賄賂等通じない日本の警官がすっ飛んできて貴方はブタ箱行きだ!それが趣味なら止めはしないが(意味は分かるだろう)
だが、それでは満足できない。自身の隠された趣味を発散したいのだ!と言う紳士も居よう。そんな時は恥を忍んで、盛り場にいる夫婦ずれの日本人(特に貴方の同国人らしき者がお勧めだ。大都市には帰化人が驚くほどに多い)に聞いてみよう。
酒の席で軽く話を振れば良い答えが聞ける筈である。何故ならば、彼らは貴方の先達で、日本人にのめり込む余り帰化を選んだ剛の者である。
それも嫌、恥ずかしいと思う意気地なしの為に朗報も記載しよう。以下にある住所に行くか、電話を宿から掛けるかして欲しい、楽しい事が待っているだろう(宿の人間に聞いても良い、色よい返事がある。その場でリネン室に連れて行かれたらそこで楽しんでも良い)以下略
補足 面倒ならば「ヨシワラ」「ホンジョ」「ヤスクニ」とトウキョウではタクシーに告げても良い。キョウトならば「ギオン」「ポントチョウ」「キョーダイヨシダリョーウラ」と告げる(最後は金など掛からないが覚悟を決めて挑むべし!金も無い男も居ない風呂にも中々入らない大学6年生と言う魔物にヨジョーハンに引きずり込まれても泣かない様に!)
本文より 地方に出よう
ここからは旅なれてからの手引きだ。実の所、真の楽しみはここから始まると言えるだろう。勇者よ!都市を捨て、地方に行くのだ!
貴方は知るだろう!伝統的な日本建築での一夜を!田舎での素朴な家庭での目くるめく快楽の日々を!隠された寺院での悪徳の栄えを!
穴場と言える場所を以下に記載するが、これだけではないので時間を掛けて探究すると良い。探究に勝る喜びは無いと断言しよう!以下略
終わりとして 本書をここまで読み進めた貴方の胸には希望の炎が滾っている事だろう。著者はその炎が消えぬ間に快楽の帝国に旅立つ事を強くお勧めする者である。中略 最後に著者の取材に快く答え協力して下さった、日本帝国陸軍所属の明石大佐に強くお礼を申し上たい、彼女の協力が無ければ本書は完成せず読者諸氏も男子一生の喜びを知る事は無かったであろう。