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共(同して)(出)産(する為に帝国主義者を逆仲良しする)主義

 関東に置いて大正時代の終わりを告げる筈であった震災は、淫災となって終わった。


 後に残ったのはボテ腹を晒すメスブタの集団と、食い散らかされたオスの哀れな姿であった。燃え殻となる筈であった東洋一の都(自称)はその姿を留めたのである。


 これにより帝国の財政はそれなりの余裕を持って新時代を迎える事になる。


 だが無傷ではない。帝国以外の諸国家に取っては、突如発生した謎の大規模暴動により大使館職員含め、在外邦人が悉く暴徒の手に掛かり、老いも若きも男と言う男は強漢(誤字に非ず)の憂き目に会ったのだ。


 曲がりなりにも列強たる国家がやらかした大失態である。海外報道に対しては極度の男性不足からなる集団ヒステリーの発生と説明されたが、納得される筈もなく、帝国は巨額の賠償を吐き出された海外産精子に払う事になったのである。


 勿論の事帝国の国際的評判も急落。バットガールはこれ以降、ナニしでかすか分からない淫乱蛮族の国と言う評判に付きまとわれる事となる。




 一つだけ幸運な事は死人だけは出ていない事であろう。朝鮮人は何を言う間もなく仲良くされ、地方出身者も「生意気な態度がそそるじゃねぇか!」と仲良しされたが、死人だけは出ていないのである。


 「一応の理性があるので金さえ払うなら今回は目を瞑ってやる」


 そのお陰もあってか、概ね帝国の国際評価は上記の程度に収まったと言える。実の所もう一つ、人前では言えない、特にご婦人の前では言えない理由もある。


 帝国政府の開き直った政策である。第一次大戦終結から僅か数年、戦勝国の側には日本産のメスブタの味を良ーく知り、帰化と言う暴挙には世間体もあり出来なかったが、出来ればもう一度肉欲の限りを尽くしたいと思うスケベェは多い。




 その世間体を気にする一見強面の紳士たちに、今回の事態の釈明を理由に接触している。特に英仏を重点的にである。


 そうなると昼ドラが始まる。忘れよう、妻に子供たちに申し訳ないと日々悶々としていた所に現れるフェムファタール、若しくは彼女からの手紙。


 嘗て一燃え上がる様な情愛を交わした相手が、帝国政府からの正式な招待を自分の所に持って来るのだ。


 彼女らは言う。


 「私、貴方が忘れられないの」


 彼女らを通して日本帝国は訴える。今回、国際的な問題を発生させてしまった謝罪として貴君を是非帝国に招待して帝国の誠意と真実を知って貰いたいと。


 男たちは迷った。迷って迷って、


 「「これは国際親善の為だから、やましい気持ちは無いから、此処迄言われたのだから一回くらい」」


 自分と世間に言い訳をして極東を目指した。その先で何があったかは言うまでもないだろう。




 幾つか例を挙げると。帝国の名門である近衛家に何故か英国貴族の来訪者が一月以上滞在して、最後は大使館職員に引きずり出されて泣く泣く帰国し、突如更迭された仏大使の後任が帝国外務省次官と二人きりで熱海に消え、香港、インドシナ、上海、帝国が利権を放棄し分割運営される青島等の勤務枠を巡って各国で殴り合い掴み合いの奪い合いが発生した事が上げられる。


 どいつもこいつも股間に正直である。


 だが仕方がないのだ!勃つのだから!柔らかい体に抱かれ、長年連れ添った妻とは比べ物にならない若々しく甘い匂いに包まれれば一部が元気になるのだ!



 

 それだけではない。現在米国に集中的に輸出されている禁断の青い果実も帝国にはいる!そう合法ロリである!(ナブコフ氏がかの名著を描き上げるの先の事だがメンドイので少女趣味ではなくロリで通す)


 帝国本土では今一人気がないが、この時代、石を投げられともすれば精神病院送りの罪深き性癖でも帝国はウェルカム!教会で神に許しを請う人々には少年体型な者だっている!


 お前も!お前も!お前も!欲しいんだろ!仲良ししたいんだろ?変態め!異常者め!ロリだけでは満足しないか?乙女の柔肌に鞭打ちたいか?そこのイートン校出身者!首を絞めたいか?逆に鞭打たれたいのか?欲しがり目!だがそれが良い!帝国は歓迎する!


 只、日本帝国に便宜を図ってくれるのであれば。


 この様な次第である。日本帝国はアメリカ発の恐慌が世界を襲うまでの凡そ十年余りの間、そして日米の関係が本格的に悪化する1930年代後半まで、東洋の秘密クラブ、特殊性癖持ちの避難所としての地位を一般的な国際評価とは別枠で確立し維持する事となる。




 さて、此処迄の説明で世界に置ける日本帝国の地位と評判は分かったのではないろうか?大体に置いて史実以上に悪目立ちして、史実よりは幾らか大目に見て貰える地位にあると言った所であろう。


 有史以来初めての男子本位制国家なのでこれ位で我慢して欲しい。では国内は如何であろうか?正直に言おう史実と同じかそれ以上に混乱している。


 何故か?関東大震災は乗り切った筈で、米騒動など起こってさえいない筈なのにである。原因はもう言わなくとも良いだろうが繰り返そう。


 男不足である!


 何故に米国に合法ロリは遠征しているのかはこれが答えだ。日本国内でロリは豊満との生存競争に負けたのだ。現在日本国内で男を捕食できる大半はB80以上との悲しい統計が余計な事ばかり正確に統計している「星」が帝国指導部に送り付けているのだ。




 あれだけ男を略奪してまだ足りないのか?と読者諸氏お思いかもしれない。その疑問にはこうお答えしよう、


 だって咥えこんだら離さないんだよあいつら!


 現在、日本帝国の婚姻制度は史実と同じく一夫一婦制である。勿論妾の伝統もまだ息をしている。けれども妾を囲う男なんてもう絶滅した。逆に女が囲っている。特に元男だった性欲120パーセント増しの色狂い色情オバさん達がだ。


 地主、財閥、華族、政府高官、史実に置いても腐敗の元凶とされた存在たちは、男を咥えこんで離さない。貧乏人もである。


 外地から、海外から、そこいらを無防備に歩いてたの、やっとこさ獲得した男をメスブタは我が子を守る雌獅子の如く守らんとする。




 そこに分け合うの精神は無い。都市にその傾向は顕著だ。農村部は夜這い制度が辛うじて息をしているのであるが、それは男の方が前述したが逃げてしまう。


 


 この男子不足は関東大仲良し祭を超えて深刻さの度を増してきた。逆に小作制度は自壊しつつあるがこれも混乱を助長させている。自壊とはなにか?それには貪られるだけの様に見える帝国男子に付いて少し語る必要がある。


 帝国の男はハッキリ言って犠牲者である。男を求め男に逸れ雌叫び、僅かな安らぎを許さない餓狼に襲われている。


 これから逃れるには家庭に入り制御しやすい餓狼を手なずけるか、一応、法に守られる都市や軍に逃れるか、それこそ有産階級の囲われ者になるしかない。

 

 その囲われ者の中に覚醒した者がいた。

 

 そう種付けオジサンである。


 種付けオジサン(お兄さんも少年もいるが)度重なる搾取により目覚めたオルゴンの使い手は、特に多くの男を囲う地主階級に生まれていた(小作人から借金の型に差し出させて)


 彼らは、ねちっこいプレイを強要する女地主を「その歳で無様に子供こさえろや!」と自分専用にして彼女らの資産を相続や浪費で消費してしまうのだ。




 この傾向は全国的に起こっており、破産した船成金。財産を囲った筈の小作人に土地を奪われる地主も現れている。時に村ぐるみで淫習村攻撃を地主に仕掛ける小作人村さえ存在した。


 そこに明治の終わりより始まった全国的な開墾政策が重なり、地主たちは資産を保存する為に土地に依存する経済からシフトしている。


 問題はだからと言って咥えこんだ男は離さないと言う事だ。種付けオジサンとてメスブタの前には一人一漢なのである。制度がそれを後押ししている。




  さて、ここからが本題なのであるが、本来の帝国の大問題は種付けオジサンの尊い犠牲の元、時が解決しつつある。だがそれでは一向に男不足は解決していない。


 寧ろ種付けオジサンがオバサンを相手に奮闘しているので、男子出生率が改善しない以上問題は増えるばかりである。


 だからこそアレに捕らわれる者も現れたのだ。




 1922年 ソビエト連邦の成立、そしてコミンテルン日本支部として日本共産党が結成される。赤い思想が本格的に帝国を蝕まんと動きだしたのである。


 ソビエト連邦は史実と違い日本支部設立に対して積極に支援を早くから行っている。尼港での屈辱はぬぐい難い物があったのであろう。


 だがソ連が多いに誤解していた事が一つある。日本支部の構成人員であるが、結党した堺・山川始め皆ーんな頭が桃色でパーである。


 彼らは接触してきたソ連側エージェントに、暴力革命路線を支持する旨を伝えてはいる。報告を受けたソ連上層部もこれにはニッコリで更なる浸透を指示したのだが、この時彼らは良ーく確認を取るべきであった。


 日本共産党は反天皇・暴力革命を早くから掲げてはいる。だが内容が頓智気なのだ。党のテーゼを一部見て見よう。




 「我々は個人が、只管に労働者の劣情を煽りながら、その地位故に我々労働者の手に届かず、一部権力者の独占状態にある事に断固として反対する。故に暴力を持ってしても既存政府を打倒し、天皇制度と言う枷より一人の労働者として個人を解放し、人民の共有財産として正しく分配され、人民の全てがその恩恵を等しく享受する事を望むものである。」


 詰まりは天皇がすっげぇエロくて辛抱たまらんので、これを独占する既存の政府は殺す。その後個人となった天皇は人民の共有する彼ピになってもらうと言っているのである。頭の先から足の先までフェロモン袋が詰まっている宣言であるが彼女らは本気だ。


 本気だから凄い事しでかす。




 1923年(大正12年)12月27日 御年22歳になられる若き皇太子殿下は関東で起こった頓智気を御止めになってより体調を崩されがちのなり()病床にある()今上陛下に代わり摂生として、第48通常議会の開院式に出席するため、御料車で貴族院へ移動される所でその事件は起こったのである。


 時は御前10時40分頃、皇太子殿下の御召車は虎ノ門外(虎ノ門公園側)を通過中、芝区琴平町一番地西洋家具商あめりか屋前の群衆の中にいた一人の女、難波タケが警戒線を突破して、、、、


 猛ダッシュした後大ジャンプ、空中で獲物を捕食せんとする大鷲の如くポーズを取ると御料車に飛び乗ったのだ。


 発せられる鳴き声は「ん!襲う!」であった。


 難波の手にバールの様な物、車に飛び乗った彼女は迷うことなく「装甲」の隙間にバールを突き入れ固く閉ざされた扉の向こうにいる愛しい人を蹂躙せんと力を込めた所で、、、


 「やれ」「はい」


 内部より冷たい宣言が下され、それに呼応した運転手により急加速した御料車「ヴィッカース・クロスレイ装甲車」のジグザグ機動により振り落とされる。


 


 ゴロンゴロンと転がって行く難波、近くの電柱に追突した彼女は白目を剥いた。一瞬の出来事、辺りには不気味な沈黙が起こり、装甲車のエンジン音のみが響く。


 どうした事であろうか?一国のそれも自分達の国の皇太子が襲われたのであるとい言うのに誰もが沈黙している。警備の警察さえもだ。


 その沈黙に装甲車内部の皇太子殿下はゴクリと唾を飲まれた。不味い事に急な機動で装甲車は道から外れ、戻るには切り返さねばならない。


  殿下には分かった痛い程に。次に起こる事が、抜け駆けを見た臣民が次に何をするのか。


 ユラリ。警戒線を敷いていた警官の一人が此方を見た。銃眼の隙間から彼女の動きが良く見える。


 モゾリ。群衆が動いた。


 バシーン!正気の警官が何人か装甲車と群衆の間に立ちはだかり飛ばされる。後で虎ノ門警察に連絡して彼女らに勲章を送ろう。


 ドドドドドドドドドドドドド!暴走する牛の如く群衆は進む、その心が思う言葉は唯一つ。


 「「「他人に奪われるくらいなら!今襲う!」」」


 ドン!道に戻った装甲車が一人弾き飛ばした。エンジンが唸るタイヤが土煙を上げる。

 

 タンタンタンタンタン!7.7mm重機関銃が吼える弾頭に込められたロックソルト弾が群がる野獣を薙ぎ倒す!そんでもって倒れた所で直ぐ起き上がる。


 ボン!装甲車は更に一人弾く!ドカン!二人!ドスン!三人!ボゴン!四人!


 皇太子殿下が貴族院に到着するまでの間、装甲車が弾き飛ばした人数はギリギリで三桁に届かなかった。


 以上が虎ノ門事件と呼ばれる皇太子殿下襲撃事件の顛末である。難波タケは目を回している所を逮捕され


 「ん。後悔はしていない。殿下がスケベ過ぎるから悪い。自分の情熱に従った。またやろうと思う。殿下は平等に皆を愛すべき」


 と発言している。




 判決は「確かに殿下はスケベすぎるから情状酌量するね。でも皆我慢してるから駄目だよ」で禁固三か月であった。


 軽すぎ判決、やる気のない罰則、何となれば虎ノ門事件は今年で十三回目の殿下襲撃事件であったからだ。臣民は至尊のアソコさえ隙あらば襲う程に飢えと矛盾を大正の終わりには抱いていたのだ。


 これが大正デモクラシーなのだろうか?民権の芽生えのなのであろうか?


 あらゆる主義主張を持つ者が皇太子殿下を良くない目で見ていた。其処に加わった赤い思想、燃え上がる劣情は帝国をその後継を何処に導こうと言うのであろうか。



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