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ダメえもんシリーズ

ダメえもん ~暗記〇〇~

作者: moco

■主な登場人物紹介

ダメえもん・・・未来から逃亡してきたダメ型ロボット。不思議道具でにょび太を支える。

にょび太・・・小学四年生。将来の夢は『遊んで暮らす』の腐れ小学生。


このお話は昭和五十年代をベースに書かれたとお考え下さい。

尚、オリジナルと本編は一切関係がございません事、ご了承ください。


----------------------


「うわ~~ん、このままじゃやばいよ~~」


そう叫んでいるのは、眼鏡を掛けた小学四年のにょび太。今日は珍しく、机に向かって勉強をしている。


「珍しいね、にょび太くんが勉強するなんて。槍でも降るかな?」


覗き込むのはこの家に居候している、自称・スーパーロボットのダメえもんだ。


「明日、小テストがあるんだよ~。今回のテストがボロボロだったら、お小遣い減らされちゃうんだよ~~」


「なるほど。金の力は偉大って訳だね。ま、いいことじゃない、頑張りなよ」


「ちっともよくないよ~、ダメえもん、未来のロボットなんでしょ? 勉強教えてよ~」


ダメえもんに助けを求めると、ヤレヤレといった仕草をする。


「しょうがないな~、この256KヘルツCPU搭載のスーパーロボットがわかりやすく教えてあげるよ」


すると、にょび太は算数の教科書を開いてある所を指し示す。


「なんで、分数の割り算は逆数にして掛けるのさ~? さっぱりわからないよ」


「・・・・・・」


ダメえもんはページを凝視した後、どこか遠い目をして言う。


「ふっ。分数なんて実生活じゃ使わないから、覚える必要なんてないさ。大事なのはパッションだよ、パッション!」


「何言ってるのかわからないよ~~、わからないならわからないって言ってよ~~」


にょび太の言う事は無視し、ダメえもんは大人向け雑誌を読み始める。


「ああ・・・、お小遣い減らされたら、もうダメえもんの好きな『ダメ焼き』が買えないな・・・」


にょび太はぼそりと呟く。ちなみに『ダメ焼き』とは、ホットケーキの中にあんこが詰まった、要はどら焼きそっくりの商品であった。


「なぬ?」


にょび太の呟きに素早く反応するダメえもん。


「そういう事なら、早く言ってよにょび太く~ん。しょうがない、今回だけは助けてあげよう」


そう言って、ダメえもんはお腹のポケットに両手をつっこんで何かを探し始める。


「え~と、・・・あ、これだ! ジャジャジャジャーン! 『暗記米』~~!」


取り出したのは見た目は普通の米である。


「え? 暗記米? パンじゃないの?」


この展開を望んでいたにょび太であったが、パンでは無い事を不思議がる。


「日本人はもっとお米を食べないと~。未来の世界ではグルテンフリーが主流だよ? 使い方はわかるよね? このお米に覚えたいものを書いて食べれば、暗記出来るんだよ」


「へ~、すごいじゃん! しかもお米は粒で数がたくさんあるから、たくさん覚えられるね!」


「ふふ・・・、わかるかい? これは本家の不具合を改良した商品なのさ」


さりげなく本家をディスりつつ、ドヤ顔を決めるダメえもん。

かくして、にょび太は暗記しようと試みるのだが・・・


―数時間経過―

虫眼鏡で米粒を拡大させ、右手に極細の筆を持って漢字を書こうと格闘するにょび太の姿があった。


「う、うわ~~ん。こんな職人芸みたいな事、出来ないよ~~」


あまりの難しさに匙を投げてしまう。正直、これなら普通に勉強した方が早い。

一方の、ダメえもんはというと・・・


「マニュピレーターを使えば何とか・・・」


何やら研究で使いそうな装置を出して、暗記米に文字を書き込もうと頑張っていた。その文字は・・・


『金をくれ』


それは暗記するものじゃなくて、ただの願望だろ。


かくしてにょび太は翌日の小テストはボロボロの結果となり、暫くの間お小遣いを減らされることになった。当然ダメ焼きも買えなくなり、ダメえもんは「次のパトロンを探す」と言い残し、にょび家から去っていったのであった。


おわり

現在、連載小説「隻眼浪人と茶髪娘、江戸を翔ける!」も手掛けています。

こちらもぜひご覧になってください。(ブックマークやコメントをもらえると励みになります。)


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