雨降り惑星
ガラス張りの温室。
僕はサボテンの花を眺めながら、砂漠では小雨で生きていけるこの植物を想った。
温室の外はふりそぼる雨。僕は多湿の国に生まれた。
雨降り惑星、今日も明日も明後日も。
「ジメジメしたのは嫌いだわ」と彼女は言っていた。そして僕を置いて遠い国へ行ってしまった。
サボテンを見ると彼女を思い出す。
カラッとした性格で、大胆な行動力。
それらはどれも僕に欠けていて、それ故に愛しい。
今さら変われない。変わりたくはない。それでも恋焦がれる熱砂の丘。
ないものねだり、しょせん持てたとしても手に余すだろう。
僕はこの雨降り惑星で生きていくしかない。
この温室の中に太陽と砂を守って。