95.続・ハリシアの剣~~折られた刀
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アリサが着物の袂を手に絡めてからケイトの剣──否、刀を両手で受け取った。途端に冷える空気。自分が痛め付けられても殺されかけても呑気にポヤポヤしていた愚鈍な娘が、まるで別人のように怜悧な空気を纏う。
「ケイト。刃を抜いてください」
逆らう発想すら湧かないのだろう。女性騎士がスラリと鞘から刃を抜いた。
当たる光を鈍く反射する細身の剣。普通の剣と違うのは僅かな反りのあること、かなり細身であること。それが刀と呼ばれる一振の特徴なのだろう。そして、半ばから折れて先が無いこと。
アリサと呼ばれる少女から発せられる空気が一段重くなる。
「申し訳ありません!!」
女性騎士が咄嗟に片膝をついて刀を背中へ回した。騎士の礼の“型”である。そんな彼女へアリサが手を差し伸べたかに見えた。しかし続く言葉で違うと突き付けられる。
「刀をこちらへ」
おそらくは、女性騎士が見せたくなかったであろう刀、隠しておきたかった折れた刀を差し出せと言う。逡巡は見せたものの、渡しづらそうにだが、ケイトは刀を差し出した。
受け取るアリサは今度は素手で刀を受け取る。素手のまま刃を掴む。思わず反射でだろう周囲の近衛騎士達が反応を見せる。対してハリシア組は大して動揺していないようだ。勿論レイモンド翁も。翁にいたっては、今にも騒ぎ出しそうなジオラスを宥めているくらいだ。そして当のアリサは、止める為だろう飛び出しかけた近衛達を一睨みで黙らせると同時に動きを制止する。
「柄との弛みも無い……」
アリサは危なっかしくも素手のまま折れた刀を見分していく。グルリと部屋を四顧して、折れた刀をヒュンッと一振すると、明かりに向けて刃を翳した。まるで戦士が得物を見定めるように、職人が仕事の出来を確かめているかのように。
「ケイト。これは貴女の手による結果ではない。これは刃物の扱い方を知らぬ者が招いた暴挙です。初めから、折ろうと思って成した暴力」
アリサの出した結論に、ケイトが俯き肩を細かく揺らす。啜り泣くような嗚咽が漏れ聞こえる。代わりに青年騎士が語る。
「天使様のお見立て通りでス。先輩達に絡まれて、大事にしてた刀を折られましたッス。でも初めは俺が絡まれて、俺つい刀の自慢をしてしまって……でも上司が間に入って止めてくれたんス。その分の皺寄せがケイトに出た形で、そんな事に………」
「そう、ですか」
「ケイト、辛かったね。だが今君がここに居るという事は、堪えてくれたのだろう。ガロンド、言い難い事をよく証言してくれた。勇気がいっただろう。二人とも、本当にありがとう」
御立腹のために言葉が出ないのであろうアリサに代わり(という訳でもないだろうが)レイモンド翁が優しく二人の騎士に声をかける。「ふっ」と呼気が漏れた音を切っ掛けに、ケイトが堪えていた鳴き声を漏らした。
──どれ程悔しかっただろう。どれ程哀しかっただろう。
そんな鳴き声であった。
ケイト哭いちゃえ!
そして泣き止んで………(ノ_・、)
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