デザートをお忘れです~~苦味の始まり
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最後の方で不穏な雰囲気に。
ハリシアの騎士見習い二人とジオラスの拉麺丼は他の者よりも大きい。それでもスルスル入って行くのは、やはり若者という事と肉体労働者という条件故か。しかしその上を行くのがアリサなのだ。抜けた人間──この場合はアリシア伯爵とクラウスの二人分までもが彼女の目の前に置かれている。そして周囲の音に反して静かにツルツル麺を啜り………完食した。当然、事前に出された飲茶はとっくに胃袋の中だ。その小柄で細身の身体の何処に入って行くのだろうか? 並みの兵士よりも食べそうだ。
場所柄故か、椅子の背もたれに身体を預けきる事こそないが、アリサ以外はかなり胃がキツそうだ。だが全員満足そうに幸せ一杯の表情を浮かべている。対する見物組──王族と護衛騎士達は(精神的)飢餓状態である。更なる第三者が居たならば、対極的な光景に目を丸くしたであろう。
「貴方達、デザートは──」
「無理です!」「もうどんな事をしても入りむせん!」
「甘い物は別腹と申しますよ」
「無理です!」「俺達騎士でも無理そうなんで、他の奴等はもっと無理だと思いまス」
食後のデザートを勧めてくるアリサに、ハリシア組は揃って降参を示した。
「だったら全員持ち帰りなさいな。一人ワンホールずつ、ミートパイとアップルパイですよ」
「嬉しいですけど、ミートパイって寧ろメインの食事ですよね!?」
「単独での軽食でもいける……」
「一人でワンホールはちょっと暴挙なんで、みんなでワンホールで」
「騎士と事務員とで分けてくださいっス」
「私達騎士組は一人ワンホールずつって意味? ……あ、でもそれだと……」
「どうしました、ケイト?」
「……あ……いえ、この季節ですから、夕方までには傷んでしまいますよね」
見ていた王都組は驚いた。アリサがただの平民だろう(女性)騎士の名を惑うことなくすんなり口に出したからだ。惑いを見せているのは(女性)騎士の方だ。しかし逸らされた道筋で話は進んでいく。大人しそうな文官らしき女性によって。もしかしたら女性騎士を慮っての意図的な反応であるのかもしれない。
「それなら、魔術師棟なら事務員用の冷蔵庫あります。元は試作品とかで小さいですけど、先輩達は普段からオヤツとか入れてますから大丈夫です」
「あー、それなら私達の分も頼む」
「はい、ケイトさん」
「うおっ、俺の分も! うっかり持って戻ったら、先輩達に食われて失くなる」「──馬鹿っ」
お調子者か粗忽者か、青年騎士の発言にアリサの目にスッと剣呑な光が射す。ケイトと同期らしき文官が慌てて言葉を重ねようとしたが、放たれた言葉は取り戻せない。
「そう言えば、ガロンドとケイトの二人は同期だったね」
「はい、御前様」「……はい」
唐突に話に割り込んで来たレイモンド老人に、二人の騎士が戸惑いも露にしつつも答える。惑いはケイトの方が大きいようだ。
「うんうん。みんな良く頑張っているね。お前達二人は騎士だったな。もう見習いは終わって正式採用されたのだったね」
今度は揃って返事が遅れた。
「お前達がこちらに出て来てから、はて何年経つのだったか?」
「丸三年、今年度は四年目になりますわ、お祖父様」
「うんうん。騎士の見習いは二年。それだのに未だに二人揃って雑用を押し付けられているのは何故なのだろうね?」
この問い掛けに応える者は無いかに見えた。しかしガロンドと同期に見える文官が忌々しげにボソリとこぼした。
「有り体に言って、虐めです」
もう一人の文官が「おい」と注意するものの、予め予測していたらしい。レイモンド老人とアリサが同時に王に視線を向けた。但し、それだけ。何も言わない、問い質さない。無言の抗議。
抗議の目を逸らし、アリサがケイトへ目を戻した。
「それはそうとケイト、先程から気になっている事がございます」
「え? はい、何でしょうか?」
ケイトが改めて姿勢を正す。
「腰に挿している刀の様子がおかしく見えるのは、わたくしの気のせいでありましょうか?」
「っ!!」
ケイトが息を詰めた。
この反応により、何かがあったのだとその場の全員が察したのである。
実は色々な苦労を抱えているハリシア出身組。
めげるな、挫けるな!
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