拉麺は締めですか?
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拉麺は何系拉麺がお好きですか?
アリサのテーブルに五つの蒸籠が運ばれる。王都組がそれを何か知らないのはもはや当然として、ハリシア組も知らなかったようだ。不思議そうな、しかし興味を押さえられない顔で見ている。
両手の大盆で全ての蒸籠を運び終えたミアがその場から離れようとした。その彼女の腕を突如アリサが掴む。
「え!?」
驚き固まるミアの腕を掴んだままアリサがブツブツ何かを呟く。おそらくは呪文。淡い光がミアを包んで消えた。
「………えと?」
「魔法のオジ様、こちらの料理を鑑定してくださいませんか?」
「……俺様が料理の鑑定すんの?」
戸惑うミアをそのままにアリサが請うも、魔法のオジサンこと局長はそれこそ戸惑う。
「某か良からぬ術がかけられているようなので」
「え!? あたし知りませんよ!? てか、そんなのできません!!」
「うん、大丈夫。ミアの事は疑ってないから。それと、公の場では、“あたし”ではなく“私”、ね」
「えと、はい。ワタシは気を付けマス」
何故か片言になるミアに生温い微笑をアリサが向ける間にも、魔法の局長が腰を上げてくれた。「どれだ?」と言いながら、結局全ての蒸籠を視てくれたらしい。
「………あー………マジであった。これ、呪いだぞ」
父アリシア伯爵が無言で立ち上がる。合流を果たしたアリシア伯爵と局長がボソボソ密談を交わしながら、ソレと思わしき蒸籠の蓋を開けて確認。局長が頷くと、伯爵と魔法騎士クラウドが蒸籠を持って退室して行った。
「一応、俺様は厨房確認させてもらう」
粛々と己の役目を果たす男達を尻目に、黙々とテーブルの上に並べられた飲茶を胃袋へと片付けていくアリサ。この娘、本当に恐いもの知らずである。
アリサが飲茶を片付けた頃合いで、他の面々もテーブルの上を綺麗に胃袋へ納め終えたようだ。ミアともう一人の見習いらしき青年がテーブルの上の食器を片付ける。局長も厨房から出て来たが、何も言わずに何処かへとフラリと出て行ってしまった。
何かしら察する物がありそうなアリサではあったが彼女は何も言わず、レイモンド老人にいたっては完全ポーカーフェイスで澄ましている。
呪いとは穏やかではない。
それでも二人は泰然として動じた姿は見せなかった。
アリサはそのまま、次なる献立を注文した。
「無理!」「もうお腹一杯です!」「でも食べたい……!」
ハリシア組から悲鳴が上がる中出て来た次なる一品は──
「ラーメン!!」「ラーメン♡」「拉麺♡」「らーめん♡」
熱い熱気が一気に弾けたのだった。
しかし、どれ程ハリシア組が騒ごうとも最初の一口は、アリサの審査からなのだ。
しかしてその裁定は………首を振った。
厨房からアリサの合否に首を伸ばしていた(ハリシア産)板前達が揃って呻き、項垂れ、天を仰ぐ。
「スープは濁りも無く澄みわたりコクも深い。具材は注文通りのワカメが良く生かされています。けれど──」
──ゴクリ、と息を詰める音。
「肝心の麺が、拉麺とは言い難し。拉麺の麺は麺類の麺。生麺は嬉しかったのですが、これは……スパゲッティーニですね。これは料理人の腕の問題ではなく、王都の水の問題であると判断すべきでしょう。拉麺を打つ為の水は条件があり、実質ハリシアの水以外では難しいというのが実情」
「そんなのいいです!」「スープは完璧なんスよね!?」「スープが拉麺ならパスタも拉麺です!」
「最後の意見は意味不明、ですわ………」
次から次へと挙がるハリシア組の声に、アリサが苦笑を浮かべると共に頷いた。一気に上がる歓声。
暴力的な香りと共に、麺を啜るという(王都の人間的には)暴挙とも取れる音が食堂に満ちる。いつもならば許容できないその音さえ、とてつもなく旨そうに感じるのだから、一口も食べずして胃袋を捕まれてしまったのかもしれない。
拉麺の匂いって、本当に暴力的ですよね!
アリサプロデュース料理(匂いのみのお預け)にひっそり落とされまくっているのは、実のところ護衛(近衛)騎士達です。哀れ。
自分も拉麺大好き♡
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